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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/01/26 読売新聞朝刊
[20世紀どんな時代だったのか](219)国際連合創設=上(連載)
◇戦後体制
◆大前提に大国の「拒否権」
 国際連合の創設(四五年)は、第二次大戦を通じ圧倒的な超大国にのし上がった米国の主導で進められた。その陣頭に立ったのはフランクリン・D・ルーズベルト大統領(在任三三―四五年)である。
 四一年八月、ルーズベルトは大西洋上で英国のチャーチル首相と初会談を行い、侵略国の武装解除など戦後世界の指導原則を定めた「大西洋憲章」を発表した。これは、米国がハーディング、クーリッジ、フーバーと続いた孤立主義の政権から決別、ウッドロー・ウィルソン大統領(在任一三―二一年)以来の「国際主義」外交に再び乗り出す出発点となった。ルーズベルトはしかし、戦後世界の秩序形成のための「国際組織」にはいっさい言及しなかった。
 ルーズベルトの頭にあったのは、第一次大戦後、ウィルソン大統領主唱の国際連盟が米上院の承認拒否で失敗に帰したことだ。「孤立主義の影がまだ濃い時期で、米国民の猛反発を食いかねないとの懸念が大統領にあり、慎重にならざるを得なかった」と歴史家のスティーブン・シュレシンガー氏は語る。
 しかし一方でルーズベルトは、後に国連憲章となる青写真作成を国務省にひそかに命じ、国務省は四一年末に立案に着手する。米国はこの年の十二月に日独と開戦、時は急を告げていた。四二年一月、枢軸国と戦う米英、ソ連、中国など二十六か国代表はワシントンで「連合国による宣言」を発表、結束維持を表明した。この時、「連合国」を表現するのに使用されたのが、現在、国際連合と訳されている「ユナイテッド・ネイションズ」だ。最初にこの言葉を思いついたのがルーズベルトだと言われる。
 歴史家ロバート・ディバイン氏の著書「セカンドチャンス」によると、この言葉がひらめいたルーズベルトは同意を求めるため急いでホワイトハウスに泊まっていたチャーチル首相の部屋にかけこんだ。その時、チャーチルは風呂(ふろ)を浴びていた。四一年末のことだ。「チャーチルは素っ裸でごらんのように隠すものは何もありませんと大統領に言って同意を与えた」(シュレシンガー氏)という。
 このころから、ルーズベルトには「同盟主要国である米国、英国、ソ連、中国の四大国で世界の平和を維持しようとする『四警察官構想』があった」と元国務省高官のジェームズ・サタライン氏(エール大国連研究所)は指摘する。後にフランスが加わり五大国は安全保障理事会で拒否権を持つことになるが、現在に至るまで国連が大国主導で動いてきた原型がここにあった。
 拒否権構想について、シュレシンガー氏は「国際連盟は約五十か国の執行評議会(国連安保理に相当)メンバー国がすべて拒否権を持ち何事も決まらなかった。この教訓が、限られた大国だけに拒否権を付与しなければならないという米国の強い信念につながった。新しい国連は、強制力というキバを持つ必要があった」と分析する。
 国務省の立案作業にあたり、ルーズベルトは二つの原則を厳守した。ひとつは立案作業に米上院の代表を入れること、いまひとつは大戦終了前に国際組織を創設することだった。「国際連盟が上院に葬られた経験があったため、特に共和党議員の取り込みが必要だった。また戦後では各国の平和創設の熱意が失われるのではと心配したため」(シュレシンガー氏)だった。
 カイロ、テヘランで四三年十一月に行われた首脳会談で四大国の意見調整が行われたが、間もなく、安保理の拒否権などをめぐって米英とソ連の対立が表面化する。中東欧に対する影響力拡大を図るソ連と米英などの不信感は、同盟の衣をまといながらも次第に膨らんでいった。
(ニューヨーク 寺田正臣)
〈5大国〉
 米英ソは当初から確定していたが、ソ連は中国を加えることに難色を示した。しかし米国は、日本対策の意味合いと、白人支配に対する非白人諸国の懸念に配慮して中国の参加を主張、ソ連を説得した。国力が疲弊していたフランスは当初、「大国」とはみなされなかったが米英の後押しで44年末に参加が確定した。
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