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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/08/07 毎日新聞朝刊
[国連改革と日本]常任理事国入りを問う/5 ロビー外交
◇ODA背景の票集め 途上国調整には限界
 有効投票180票中、当選に必要な3分の2以上を大きく上回る142票。日本は昨年10月21日、国連総会で通算8回目の安全保障理事会非常任理事国入りを果たした。小和田恒・国連大使は直後の会見で「(各国からの)約束と(投票)実態の間に大きな差はなかった」と述べた。「安保理にふさわしい国」という評価を得るため、徹底した選挙運動が実ったことに誇らしげでもあった。
 改選5カ国のうちアジア枠1をインドと争う選挙戦に、外務省は早くから綿密な戦術を練った。
 選挙でモノをいうのは国連を舞台にした「ロビー活動」。外務省がその新兵器として登場させたのは片倉邦雄・エジプト、寺田輝介・メキシコ、黒河内久美・軍縮会議代表部ら、7人の大使だった。大票田であるアフリカや中南米の国に顔が利いたり、国際機関で経験豊かな顔ぶれがニューヨークに集まった。
 非常任理事国選挙立候補を決めた1994年暮れ、外務省は全世界に散る大使に「インドがライバル。全力を挙げよ」と訓令した。この時、国連代表部に勤務したことがある大使の中から「小さい国は本国ではなく国連に常駐する大使が実際に投票を決める例が多い。大使を動員してロビー活動をやってはどうか」と提案があった。
 投票日が近づき、票読み用のパソコンまで持ち込んで国連代表部内の「選挙本部」に三々五々集まった7人に、小和田大使は「ともかく各国大使とメシを食ってくれ。工作してくれ」とはっぱをかけ、担当する国を割り振った。
 集票活動で威力を発揮したのが、相手国への経済協力に関する資料だ。「経済協力は本国の開発関係の省庁が担当することが多く、ニューヨーク生活の長い外交官は意外と実態を知らない」(外務省筋)として、数字を挙げて日本の協力がいかにその国の発展に役立っているかを説明。「『日本はこんな素晴らしいことをやっていたのか』と役に立った」(大使の一人)という。
 「非同盟の代表」を自負するインドが核実験全面禁止条約(CTBT)反対で支持を減らす「敵失」に助けられた面もあった。しかし、予想外の大差の要因が政府開発援助(ODA)を集票マシンとしてフル回転させたロビー活動だったことは間違いない。
 国連には「日本は常任理事国の能力があることを証明してきた。非常任理事国を繰り返しこなしてきたこともその一つだ」(米国務省筋)と、過去の実績に対する素直な評価がある。今回の非常任理事国入りにも「次」に向けた実績作りという見方が多い。
 外務省には「常任理事国を多数決で決めるなら、日本は160票はとれる」という自信満々の声もある。この夏、「戦略的外遊」と銘打って閣僚がアフリカや中南米を重点に派遣されたが、「常任理事国入りへ最後の足場固め」という側面もあった。
 だが、ODAを背景に非常任理事国入り選挙で培った集票ノウハウには限界がある。途上国からの常任理事国をどうするかコンセンサスのないまま、多数決で日本だけを常任理事国に選出する投票などあり得ないからだ。
 池田行彦外相は7月末のアジア歴訪で20近い国の外相に「米国も途上国の常任理事国入りに前向きになり、改革の機運は盛り上がっている。秋までに大筋で合意させたい」と説いた。しかし、ガリ前国連事務総長は4日の池田外相との会談で「途上国の常任理事国入りで結論を出すには多くの作業が必要だ」と述べ、難航を予想している。
 今回は途上国も「自分たちの代表」を常任理事国に送り込めるかどうかの正念場であり、日本かインドかの選択を迫った非常任理事国選とは様相を全く異にする。外務省関係者は「これは彼らの国益をかけた闘いであり、日本が口を出せる筋合いの問題ではない」と、苦しい立場を語る。
 精力的なロビー活動によって「非常任理事国入り8回」という勲章を手にしてきた日本だが、常任理事国入りの正念場にきてジレンマに悩む=つづく
 
 
 
 
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