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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/08/08 毎日新聞朝刊
[国連改革と日本]常任理事国入りを問う/6 消えぬ「改革反対」
◇韓国など根強く抵抗、拒否権の扱いも焦点
 7月9日、ソウルに一時帰国していた韓国の朴銖吉・国連大使は地元記者団に「常任理事国の拡大を伴う改革には反対する」と語った。「個人的見解」と断ったうえでのことだったが、日本政府は「なぜこの時期に」と真意をいぶかり「韓国政府の公式見解ではないと承知している」と火消しに躍起となった。
 常任理事国の拡大問題で金泳三(キムヨンサム)・韓国大統領は「その方向でコンセンサスができれば強く反対はしない」(1995年10月の国連総会演説)との立場を明らかにしている。日独の常任理事国入りに大統領が「消極的支持」を与えたものと受け止められていただけに、朴大使の発言は日本の常任理事国入りをめぐる韓国内の複雑な感情を改めてあぶり出した格好だ。
 常任理事国拡大に割り切れない思いを抱いているのはカナダも同じだ。主要国首脳会議(G8)のメンバーであり国連平和維持活動(PKO)では世界有数の実績を残しながら、カナダを常任理事国にという声は聞こえてこない。
 「韓国は中国、日本という大国に挟まれ、カナダは隣に米国という巨人がいるという地理的宿命が災いしている」と国連外交関係者は語る。安保理改革論議もスタートから4年目に入ると、韓国やカナダの常任理事国拡大への抵抗感の根強さが、次第にクローズアップされるようになってきた。体を張って阻止するつもりはなくても、心情的に納得のいかない改革ならつぶれてしまった方がありがたい、という本音がそこにはうかがえる。
 「日本の常任理事国入りには国際社会のコンセンサスがある」と胸を張る外務省だが、韓国やカナダの例を見るまでもなく、一皮むけば各国の本音はさまざまだ。中でも、現在の常任理事国5カ国(P5)のうち日本の常任理事国入り支持を明確にしていない唯一の国・中国の対応は今後の大きな焦点になる。
 今年3月、中国の有力週刊誌「北京週報」は日本の常任理事国入りに関して「大国の地位を再び求める過程で日本がとっている道は非理性的で健全さに欠ける」との論評を掲載した。4月30日には、訪中して江沢民国家主席と会談した山崎拓・自民党政調会長が「日本の常任理事国入りに中国も協力してもらえないか」と持ち掛けたが、江主席は答えず、話題を変えたという。
 中国は冷戦後の世界秩序作りが米国主導で進むことに反発しており、軍部を中心に「日米防衛指針(ガイドライン)」見直しに警戒感を強めている。「常任理事国としてアジアを代表するのは自分だけでいいという自負心」(政府筋)もあり、米国の忠実な同盟国とみなされている日本の常任理事国入りを支持する空気はうかがえない。
 これに対し、中国や欧州が独自色を強めつつあることを懸念する米国は、扱いやすい同盟国・日本を常任理事国の一員に迎え入れることで、政治力強化を図ろうとしている。安保理改革をめぐる米中間の駆け引きが、日本の常任理事国入りの悲願を左右する場面もないとは限らない。
 また、ロシアも常任理事国となる日独に拒否権を与えない方針を打ち出しており、日露関係筋は「拒否権付与への支持・不支持は今後の対日外交でロシアが切れる数少ないカード」との見方をしている。
 こうした中、ドイツは理想としてきた「5(P5)+2(日独)=7(拒否権などで7カ国が対等の立場に立つ)」はもはや不可能と判断し、拒否権の自主的不行使宣言など、妥協策を真剣に検討しているといわれる。日本も表向き「新常任理事国に拒否権が与えられなければ、新旧常任理事国に権限上の差異が生じる」(小和田恒・国連大使)との原則論を繰り返しているが、各国のムキ出しの利害や思惑が交錯する中、より現実的な落としどころを真剣に模索する時期にきたことは間違いない。=つづく
 
 
 
 
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