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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/03/20 毎日新聞朝刊
<新時代の国連>/9 アンゴラの反省 選挙結果を尊重させる
 
 一月下旬。国連本部二階の安保理議場外側のホールで、各国報道陣は国連報道官に詰め寄っていた。「要するにアンゴラのPKO(国連平和維持活動)はどうするのか。決議案の文章では分からない」
 確かに、安保理決議は苦渋に満ちたものだった。「アンゴラPKOを首都に集結する」。内戦再発で要員規模縮小を求めたガリ国連事務総長報告に応えたもので、要するに、全面撤退への一里塚だった。
 エルサルバドルへのPKOを一つの成功例とするなら、こちらは今のところ失敗例と言わざるを得ない。
 当初、アンゴラでも成功への予兆はあった。一九九一年五月、内戦状態にあった政府軍とアンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)が和平合意、昨年九月末には、PKO監視の下で独立後初の大統領選挙も行われた。選挙の三日前には地元紙に両軍の兵力統合、新アンゴラ軍創設で合意との見出しが躍り、その翌日にはルアンダ郊外の海を見下ろす大統領公邸で式典が行われた。その後のパーティーでアンスティー国連アンゴラ特別代表(英国人女性)が両軍の司令官とダンスに興じる場面さえ見られた。
 しかし、十六年に及ぶ激しい内戦のしこりは、たやすくとけるものではなかった。それから数週間後、UNITAは選挙結果を不満として戦闘を再開、全面和平への期待は裏切られたのである。和平合意のみつ月期間はわずか一年八カ月。約七百人も投入した国連PKOは今や、わずか六十人程度。風前のともしびなのだ。
 アンゴラの反省は、選挙後のトラブルに事前に対策を講じていなかったことである。国連としては、この教訓をカンボジアPKOに生かしたいところ。ところが、こちらも別の事情があり、問題含みだ。
 カンボジアでは、一年前、ブルーベレーの軍隊、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)は、「白馬の騎士」として迎えられた。しかし、制憲議会選挙を前にした今、「田んぼの中のかかし」とささやかれる。
 ポル・ポト派と政府軍の戦闘は続き、停戦協定はとうの昔に破られている。UNTACの停戦監視団(UMNO)は、見守るだけで、軍事的には何もしない。
 ただしUNTACはひたすら平和的解決の道を採る。和平協定を軍事力で守らせる権限が与えられていないからだ。
 昨年六月、ポル・ポト派が武装解除を拒否、同派支配区にUNTACの立ち入りが認められなかった際、国連先遣隊のロリドン司令官が武力行使も辞さない、との強い姿勢を打ち出した。しかし、「UNTACは国連の伝統的な平和的解決方式を貫きたい」という明石代表の意見が通り、ロリドン司令官は解任された。
 「カンボジアPKOは、これまでのPKOの総決算。その成果を試すものであり、同時に新しい問題を提起している象徴的なケースである」と明石代表は言う。ポル・ポト派の問題についても、選挙で選ばれた新政権が民主政権であれば同派の基盤はなくなるとし、「北風より南風がいい」と言い切る。
 国連PKOが展開しているのは世界十三カ所。個々に事情があり、明暗さまざまだ。しかし、国連の意思はここへきてはっきりにじみ出てきている。
 三月八日、安保理は「カンボジアの選挙結果を尊重する」というごく当たり前のような決議を採択した。だが、この決議の裏側には「結果を無視するものは、国際社会で自己主張を行う権利を認めない」という決意がのぞいている。国連PKOの試行錯誤はようやく着地の方向に動いているようだ。
(バンコク・草野靖夫、ニューヨーク・田原護立、ハラレ・福井聡)=つづく
【経済社会理事会】
 国連および関連機関の経済、社会、文化、教育、保健、人権分野の政策・活動を調整する機関。54の理事国(任期3年)で構成。日本は91―93年の理事国。補助機関として統計、人口、社会開発、人権、婦人の地位、麻薬の6委員会などが設置されているほか、傘下に世界銀行など16の専門機関を抱える。また600以上の非政府組織(NGO)が諮問機関としての地位を与えられている。
 
 
 
 
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