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私はこう考える【国連について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/03/18 毎日新聞朝刊
<新時代の国連>/7 事務局の機構改革 寄り合い所帯、利害交錯
 
 「国連本部では何人が働いているのか?」「三分の一だ!」
 国連内部にこんな有名なジョークがあるが、国連安保理常任理事国(五カ国)がガリ事務総長に強く求めたのは肥大化した事務局の改革、つまり人事構成のスリム化だった。この要請を受けてガリ総長は、事務次長レベルの大幅削減と、十二部局の統廃合を実施したが、事務職員の総数が大幅に減ったわけではなかった。
 スリム化を目指す事務総長の前に立ちはだかったのは、各国の思惑だった。主要ポストから常任理事国メンバーの五カ国を外すのは難しいし、途上国の人員を削減すれば大きな反発を受ける。人事をめぐる駆け引きは寄り合い所帯である国連の宿命なのである。
 非常任理事国が国連で一つのポストを握るのは容易なことではない。
 一九九一年秋、英国から日本に、あるメッセージが届いた。
 「次期国連事務総長にプロフェッサー・オワダを推薦したい」
 オワダとは、現在外務事務次官の小和田恒氏。突然の打診は、同氏の国際的な知名度と冷静な判断力を評価してのことだった。外務省は小躍りした。しかし、このポスト争いは、結局、「これまで一度も輩出していない」アフリカの強い希望が通り、エジプトのブトロス・ガリ副首相に決まった。
 この人事のてんまつは、どうやら「英国がアフリカ候補つぶしに動いたと見られるのを避けるため」(外務省筋)、小和田氏を担ぎだそうとしたものらしい。
 “小和田事務総長”は結局実現せずに終わったが、外務省は人事面でも日本の役割が国連の場で期待されていることの一つの表れと評価した。
 しかし、そんな期待をひっくり返すような事態が待ち受けていた。今年一月の世界保健機関(WHO)の次期事務局長をめぐる選挙だ。
 日本は、数少ない国連関連重要ポストの一つである中島宏事務局長の再選を画策、当時の厚生政務次官をシリア、チュニジア、エジプトに送り、支持を要請した。
 米国や欧州共同体(EC)が中島氏の指導力などを問題にし、対抗馬にアブデルムメーヌ前事務局次長(アルジェリア)を擁立したからだ。
 「事務局長は最低二期は務めてきた。ここで負けては国際的な日本の面目にもかかわる」(外務省筋)という意地もあり、必死のテコ入れの結果、中島氏十八票、アブデルムメーヌ氏十三票。辛うじて勝ったが、いまだにしこりが残る。
 これと直接関係するかどうかは分からないが、二月中旬のボスニア・ヘルツェゴビナに対する救援活動を巡る国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緒方貞子高等弁務官への非難も、「日本たたきの一環」と見えなくもない。
 緒方弁務官は、安全面を考慮して救援活動の大幅縮小を宣言。これに対し、ガリ国連事務総長は活動再開を命じ、UNHCRの独断を非難したとも取れる事態となったのである。最終的に事務総長の命令に従う形で決着したが、「これまで現場の判断でやってきた援助の縮小や中断に、事務総長が命令という形で干渉するのは異例。だれかが事務総長に入れ知恵したのでは」と関係者は言う。カネは出すが、それ以上の貢献を渋る日本への批判は確かにある。
 冷戦が終わり、米ソ二大国支配体制から脱却した国連。しかし、組織の肥大化は改まらぬばかりか、各国の利害が交錯、伏魔殿になりつつある。
(ニューヨーク・田原護立、政治部・佐々木雅裕)=つづく
◇メモ
【国連の機構】
 (1)全加盟国の代表で構成される総会(2)安全保障理事会(15理事国)(3)経済社会理事会(54理事国)(4)信託統治理事会(5理事国)(5)国際司法裁判所(裁判官15人)(6)事務局――の6主要機関のほか、各主要機関に付属する多くの専門機関がある。事務局は昨年3月、ガリ事務総長の下で大幅改組を行い、63人の事務次長・事務次長補を49人に削減、12部局を統廃合した。
 
 
 
 
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