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私はこう考える【天皇制について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/01/06 読売新聞朝刊
「平成の皇室」に親近感 読売新聞社全国世論調査の内容
〈即位の礼と大嘗祭〉
◆「大嘗祭の位置づけ」意見割れる◆
 天皇が内外に即位を宣言する「即位の礼」と、皇室の伝統行事「大嘗祭」(だいじょうさい)について、政府は昨年末に即位の礼を国の行事、大嘗祭を皇室の公的行事とする基本方針を決めたが、国民はどう受け止めているのか。
 まず即位の礼では「盛大に祝うべきだ」12%、「式典には賛成だが、派手にしない」65%、「式典は必要ない」5%、「関心がない」16%となり、三分の二は派手にはしない式典に賛成している。また式典の不必要、無関心が合わせて21%もいた。
 「盛大に」を年代別に見ると、六、七十歳代で20%前後、また二十歳代が13%と、三十―五十歳代を上回っている。職業別では、商・工・サービス業が18%で最も多く、支持政党別では自民党支持者が16%、民社党支持者11%。
 式典には賛成だが、派手にはしないというのが国民の意向のようで、五十歳代で73%、管理・専門職で68%、農林・水産業と主婦で69%、自民党支持者で70%の高い率だ。派手かどうかの線引きは難しいところだが、式典の主催者が留意すべき点だろう。
 「関心がない」は、九州で23%、二十、三十歳代で25%、労務・サービス職で23%、共産党支持者で36%、支持政党なし層で26%。
 一方、大嘗祭について聞いたところ、「政府の国家行事として行う」18%、「皇室の私的行事として行う」25%、「皇室の公的行事として行う」25%、「行う必要はない」5%、「関心がない」19%。「皇室の私的行事」と「皇室の公的行事」がほぼ同率となり、国民世論は固まっていない。
 大嘗祭の詳細が、よく分からないためか、「答えない」が9%も。
 地域的には、「私的行事」では、関東の30%が最高。九州は「国家行事」が21%、「公的行事」12%で、「公的にやるなら国家行事」の傾向、「関心がない」も26%とぬきんでている。
〈天皇制〉
◆「象徴制」73%支持◆
 天皇制については、「いまの象徴天皇のままでよい」とする人が73%と大多数で、「元首の地位を明確にし、天皇の権限を強めた方がよい」は7%、「天皇制は廃止した方がよい」は5%−−となっている。
 昨年一月調査に比べると、「象徴天皇」は9%、「元首の地位を明確にし−−」は2%それぞれ減っているが、これも「関心がない」が増えたことによる(2→13%)。
 天皇制についての考えは、八六年二月調査とほぼ似た結果となっている。
 年代別にみると、「象徴天皇」は、二十歳代61%、四十歳代74%、六十歳代85%と、年代が上がるにつれて増える傾向を示す。「天皇制廃止」は二十、三十歳代で8%と全体平均を上回り、五十歳代以降では2―1%にとどまり、世代間の差がくっきり出ている。「関心がない」は、二十歳代で23%、三十歳代で19%と、若年層の天皇制に対する意識の希薄さが目立つ。
 「象徴天皇」や「元首の地位を明確にし−−」と答えた人に、これからの皇室のあり方を聞いたところ、「いまのままでよい」が55%で、約半数を占めた。これに対し、「もっと親しめる皇室をめざすべきだ」が37%、「もっと威厳のある皇室をめざすべきだ」が7%となっている。
 八六年二月調査に比べると、「いまのままでよい」が8%減り、「もっと親しめる皇室を−−」が6%増えており、開かれた皇室を望む声が多くなりつつあることをうかがわせる。
 年代別では、「いまのままでよい」は年代が上がるに従って増え、「もっと親しめる皇室を−−」は、二十歳代41%、四十歳代38%、六十歳代34%と、若い年代ほど多い。「もっと威厳のある皇室を−−」は、七十歳以上でのみ10%を超え、11%となっている。
〈天皇への気持ち〉
◆「尊敬」含め7割好感 「関心ない」増え25%◆
 ご即位から約一年経過した時点の天皇に対する気持ちとしては「親しみを感じる」53%、「尊敬している」16%、「おそれ多い」2%、「反感をおぼえる」1%−−となっており、約半数が親近感を抱いている。即位直後の昨年一月に行った電話調査と比べると、「尊敬している」や「おそれ多い」などは変化がみられないが、「親しみを感じる」は17%減っている。
 これは「関心がない」(25%)が増えたためで、昭和天皇の崩御、新天皇の即位で急速に盛り上がった皇室への関心がやや薄らいできたためか。昭和天皇ご在位中の八六年二月調査では、「親しみを感じる」は35%。国民は、いまの天皇により身近な印象を持っているようだ。
 年代別にみると、「親しみを感じる」は四十―六十歳代で62―60%と全体平均を上回る。「尊敬している」は、二十歳代9%、四十歳代11%、六十歳代24%と年代が上がるにつれて増える。これとは逆に「関心がない」は、年代が下になるほど増え、二十歳代で50%、三十歳代で35%にのぼる。
〈皇室報道〉
◆「今程度でよい」73%◆
 新聞やテレビなどで報道される皇室関係のニュースについて、国民はどう見ているのだろう。「いまより増やしてほしい」と答えた人は13%。これに対し、「いま程度でよい」と答えた人は73%と七割を超えた。
 これを年齢別にみると、「増やしてほしい」とする人は高齢者に多い。一方、二十―二十四歳は「いま程度でよい」が58%なのに対し「減ってもよい」が26%と比較的高い。
 政党支持別に見ると、「いま程度でよい」が多いのは、自民党(78%)、社会党(76%)、公明党(71%)のそれぞれの支持者。民社党(50%)、共産党(48%)の支持者はやや低い。
〈天皇への期待〉
◆「国際親善」1位◆
 いまの天皇は、七日に昭和天皇の喪が明けると、ふだんの生活に戻られる。「喪が明けたあとの天皇にどんなことを期待するか」を聞いたところ、「外国を訪問し、国際親善に努める」と答えた人が39%とほぼ四割を占めた。
 一方、「国内各地へ出かける機会を増やす」と答えた人も34%と高い。昭和天皇がご高齢で、あまり諸外国に出かけられることが少なかっただけに、国民はいまの天皇に対し、国際交流に一層励まれることを期待しているようだ。
 また、喪が明けると、国民との接触の機会が増えることが予想される。国民は、これまでも天皇が行事などに参加して気軽に声をかける姿になじんでいる。こうした姿勢を続けることを望んでいるといえそうだ。
 いまの天皇のご関心が深いとされる「社会福祉や環境保護のために努力する」ことを挙げた人も33%と比較的高い。
 これらに対し、「憲法に定められた国事行為に専念する」と答えた人は11%。国事行為は国会の召集や栄典の授与など形式的な儀礼行為だが、それだけだとかえって国民と天皇との距離が離れてしまうことを国民は感じ取っているのかもしれない。
〈皇室の変わった点〉
◆「家庭的な雰囲気」より強く◆
 昭和から平成になって、いまの天皇や皇族を含めて皇室が変わったと感じるところをあげてもらった(複数回答)。それによると、「身近な感じがする」34%、「家庭的な雰囲気を感じる」33%、「重々しさが薄らいできた」27%−−が上位三位を占めた。
 これは昭和天皇が、戦前までの神聖なイメージを引きずっていたことや、激動の歴史を国民とともに歩んできたことに比べ、現在の皇室では、皇太子さまが自らのご結婚問題に言及したり、礼宮さまが皇太子さまに先んじてご婚約を決めたことなどによるものとみられる。
 「考えをはっきりと言うようになった」が14%、「国際親善に意欲的に取り組んでいる」が12%と続く。
 年代別にみると、「身近な感じがする」は、二十歳代24%、四十歳代34%、六十歳代44%と、年代が高くなるほど多い。「家庭的な雰囲気を感じる」は、五十―六十歳代で40―36%と全体平均を上回る。「考えをはっきりと言うようになった」は四十―六十歳代で16%と他の年代より多い。
〈元号と西暦〉
◆元号派が4分の3占める◆
 ふだんの生活の中でよく使うのは、元号か西暦か−−調査では、元号派74%、西暦派9%、同じくらい使う併用派16%だった。「平成」時代になって三週間後の昨年一月の調査では、「元号を使いたい」が64%、「西暦を使いたい」28%だったから、希望とは別に、実際の生活ではやはり元号を使う機会が圧倒的に多いと言えそうだ。
 年齢別にみると、元号派は六十代の85%を最高に、最も低い二十代でも63%もいる。西暦派は、二十代が15%いるだけで、あとはすべてひとけた台だ。
 政党支持別では、元号派は自民、公明、民社党支持者がほぼ八割で、社会、共産党支持者の七割弱と約10%の開きがある。
 また、都市の規模別の元号派は、大都市で69%、町村で78%。
 全体に元号派が多いが、強いて特徴をあげれば、高齢、保守的で、地方在住者に多い傾向がみえる。
〈記念硬貨の肖像〉
◆賛成50%、反対19%◆
 今秋の「即位の礼」を記念して十万円の記念硬貨が発行される。
 昭和天皇ご在位六十年記念硬貨では、硬貨にご肖像を入れる案は実現しなかったが、今回の硬貨にご肖像を入れることについては、50%が賛成し、反対は19%に過ぎない。
 別の質問で、いまの天皇に対する気持ちを「おそれ多い」と答えた人の78%、「尊敬している」という人の68%が賛成派。また、年齢別でも、二十代の賛成派は40%に過ぎないが、四十代以上はすべて五割台で、七十代以上になると58%にも達する。
 反対の理由として、従来、天皇のご肖像を入れるのはおそれ多いから、と一般に受け取られてきたが、この結果によると、そうした反対論の根拠は薄そうだ。
 天皇を敬う気持ちが強いほど、また、年齢が高いほど賛成派が多いのは、硬貨などにご肖像があった方が親しみを感じるからだろうか。
 
《質問と回答》 (数字は%)
 
◆いまの天皇が即位してからほぼ一年たちましたが、あなたは、いまの天皇に対して、どんな気持ちをお持ちですか。次の中から、一つだけあげて下さい。
・おそれ多い 2.4 ・親しみを感じる 52.7 ・関心がない 25.1
・尊敬している 15.8 ・反感をおぼえる 1.3 ・答えない 2.7
 
◆いまの天皇制について、次にあげる意見のうち、あなたのお考えに最も近いものを、一つだけあげて下さい。
・いまの象徴天皇のままでよい 73.1
・元首の地位を明確にし、天皇の権限を強めた方がよい 6.5
・天皇制は廃止した方がよい 4.7
・関心がない 12.9
・答えない 2.7
 
◇【前問で「いまのまま」「権限を強める」と答えた人だけに】
これからの皇室のあり方として、次の中から、あなたのお考えに最も近いものを、一つだけあげて下さい。
・もっと親しめる皇室をめざすべきだ 36.6
・もっと威厳のある皇室をめざすべきだ 7.2
・いまのままでよい 54.9
・答えない 1.4
 
◆1月7日に昭和天皇の喪が明けると、いまの天皇はふだんの生活に戻られます。あなたは、喪が明けたあとの天皇にどんなことを期待しますか。次の中から、二つまであげて下さい。
・外国を訪問し、国際親善に努める 39.0
・国内各地へ出かける機会を増やす 34.3
・日本の文化、伝統を守るために努力する 26.1
・社会福祉や環境保護のために努力する 33.1
・憲法に定められた国事行為に専念する 11.1
・その他 0.2
・関心がない 13.4
・答えない 3.8
 
◆今年11月、皇室関係の事柄を定めている法律(皇室典範)に基づく行事として、政府主催の「即位の礼」が行われます。これについて、次の中から、あなたのお考えに最も近いものを、一つだけあげて下さい。
・盛大に祝うべきだ 11.6
・式典には賛成だが、あまり派手なことはしない方がよい 64.5
・式典は必要ない 5.3
・関心がない 15.9
・答えない 2.7
 
◆同じく今年11月、皇室の伝統行事である「大嘗祭(だいじょうさい)」が行われます。これについて、次の中から、あなたのお考えに最も近いものを、一つだけあげて下さい。
・伝統を重視し、「政府の国家行事」として行う 17.9
・憲法で政教分離の原則が定められているので、「皇室の私的行事」として行う 25.4
・伝統と政教分離の原則の両方を尊重し、「皇室の公的行事」として行う 24.9
・行う必要はない 4.6
・関心がない 18.6
・答えない 8.6
 
◆昭和から平成になって、いまの天皇や皇族を含め、皇室が変わったと感じるところがありますか。あれば、次の中から、いくつでもあげて下さい。
・身近な感じがする 34.0
・家庭的な雰囲気を感じる 33.2
・重々しさが薄らいできた 27.3
・行動的である 8.3
・国際親善に意欲的に取り組んでいる 11.7
・考えをはっきりと言うようになった 13.8
・警備の壁を薄くしようとしている 10.0
・その他 0.3
・変わったとは感じない 26.7
・関心がない、答えない 6.0
 
◆あなたは、新聞や雑誌、テレビなどで報道される皇室関係のニュースについて、いまより増やしてほしいと思いますか、いま程度でよいと思いますか、それとも、いまより減ってもよいと思いますか。
・増やしてほしい 13.3 ・いま程度でよい 73.2
・減ってもよい 11.3 ・答えない 2.2
 
◆政府は、来年の「即位の礼」を記念して10万円の記念硬貨を発行します。あなたは、この硬貨に天皇の肖像を入れることに、賛成ですか、反対ですか。
・賛 成 50.4 ・反 対 18.7
・その他 6.3 ・答えない 24.7
 
◆あなたは、ふだんの生活や仕事で、元号と西暦のどちらをよく使いますか。
・元号をよく使う 73.6 ・西暦をよく使う 9.1
・両方同じくらい使う 16.4 ・答えない 0.9
 
[調査の方法]
 ・調査実施日:89年12月15、16日
 ・調査対象者:全国の有権者3000人(250地点)
 ・抽出方法:層化多段無作為抽出法
 ・実施方法:調査員による個別訪問面接聴取法
 ・有効回収数:2063人(回収率69%)
 ・回答者内訳:男45%、女55%▽20歳代17%、30代19%、40代22%、50代19%、60代15%、70歳以上8%▽大都市(東京23区と政令指定都市)20%、中都市(人口10万人以上の市)36%、小都市(同10万人未満の市)19%、町村25%
 
 
 
 
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