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私はこう考える【天皇制について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/06/09 毎日新聞朝刊
[クローズアップ2004]皇太子さま文書 「人格発言」打ち消さず
◇行間に配慮求める−−宮内庁との関係も重視
 「キャリアとそれに基づく人格を否定する動きがあったのも事実です」。5月の訪欧前、皇太子さまが記者会見で衝撃的な話をしてから約1カ月。8日午後、皇太子さまが文書で示した「真意」は、「人格否定発言」について詳細に説明することを避け、真相解明は先送りされた形となった。しかし、文書の行間からはさまざまな思いも読み取れる。宮内庁は今回の皇太子さまの文書公表を受けて公務や皇太子妃雅子さまの医療体制の見直しを含めた具体的対策をどう構築するかが問われる。
【大久保和夫、真鍋光之、竹中拓実】
 「人格の大切な部分を否定するような動き」について皇太子さまは「今ここで細かいことを言うことは差し控えたい」と述べるにとどまった。だが、発言それ自体を打ち消すことはなく、むしろ「対象を特定して公表することが有益とは思いません」と間接的な表現で、人格否定の動きについて再度指摘した点が着目される。
 また、会見の発言は「現状について皆さんにわかっていただきたいと思ってした」と述べたが、皇太子さまが訴えたかった「現状」とは何か。
 訪欧前の会見で皇太子さまは、外国訪問がなかなかできなかったことでご夫妻が悩んでいたことを「一言お伝えしようと思います」と述べたことから、外国訪問がクローズアップされるようになった。しかし、今回の文書では、それだけではなく、「お世継ぎ問題について過度に注目が集まっているように感じ」「伝統やしきたり、プレスへの対応等々」にも言及した。皇室という特別の生活環境をめぐるさまざまな要因が深く絡んでいることを力説した。
 雅子さまの今後について、「その経歴を十分に生かし、新しい時代を反映した活動を」と述べたのは、外務省のキャリア外交官の道を断念して皇室に入った雅子さまに配慮し、海外訪問などの役割を重視するよう求めたものと思われる。
◇会見と違う表現も
 これまでの会見と表現が変わった点もある。「宮内庁ともよく話し合っていきたいと思っています」という部分だ。以前の会見では、「宮内庁にも考えてもらいたい」と宮内庁にげたを預けるような表現をしていた。今回は、宮内庁とコミュニケーションをとる決意を述べている。今回の発言が大きな波紋を呼んだだけに、宮内庁との関係をより重視する姿勢を示そうとしたようだ。
◇国民に解決策なく結局、穏便な表現に−−「ミカドの肖像」などの著書がある作家、猪瀬直樹氏の話
 訪欧前の雅子妃を気遣い、宮内庁に抗議した発言は「ワタシハ人間デアル」という実質的に初めての「人間宣言」だった。
 だが、現行憲法上では、皇室は人間ではなく象徴。皇太子殿下は国民に“救出”を求めたが、1億人の舅(しゅうと)・小姑(こじゅうと)は勝手に意見は言うだけで解決策は持ち合わせていない。
 結局、文書による穏便な表現に落ち着かざるをえなかったのではないか。雅子妃が自由に外国訪問できる環境づくりが望ましいが、その場合は永田町や霞が関ではなく、宮内庁でもなく、皇太子殿下自身の企画・立案による親善訪問をお考えになったらどうか。そのためには民間人をプロデューサーとするなどの工夫が必要だ。
◇宮内庁への明確な異議申し立てだ−−慶応大教授で「女帝誕生」など天皇に関する著書が多い笠原英彦氏の話
 今回の文書は、訪欧前の発言に比べトーンダウンしたようにも見えるが、「新しい時代を反映した活動」といった表現などから、私はむしろ、宮内庁に対する明確な異議申し立てだと思う。象徴天皇制は長い歴史の中でも新しい制度である。こうした中、天皇の役割は時代に即して、時代を反映した活動に変えていくべきだとのお考えを示された。訪欧前の発言は、皇太子さまの肉声が聞くことができたとして全般的に国民は肯定的にとらえたと思う。今後、宮内庁には殿下自身のお考え、ご希望を可能な範囲で具現化していくことが求められる。改善点が見られないと、妃殿下の回復も早まらないのではないか。
 <雅子さまの様子についての5月10日の皇太子さまの会見要旨>
 雅子には、外交官としての仕事を断念して皇室に入り、国際親善を皇族として、大変な、重要な役目と思いながらも、外国訪問をなかなか許されなかったことに大変苦悩しておりました。今回は体調が十分でなく、本人も大変残念がっております。
 雅子にはこの10年、自分を一生懸命、皇室の環境に適応させようと思いつつ、努力してきましたが、私が見るところ、そのことで疲れ切ってしまっているように見えます。それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です。
◇5月の記者会見について皇太子さまが説明した文書
 私の、ヨーロッパ3カ国への訪問前の記者会見での発言に関して、少し説明したいと思います。
 記者会見では雅子がこれまでに積み上げてきた経歴と、その経歴も生かした人格の大切な部分を否定するような動きがあった、ということをお話ししました。その具体的内容について、対象を特定して公表することが有益とは思いませんし、今ここで細かいことを言うことは差し控えたいと思います。会見で皆さんにお伝えしたかったのは、私たちがこれまで直面してきた状況と今後に向けた話です。
 記者会見以降、これまで外国訪問ができない状態が続いていたことや、いわゆるお世継ぎ問題について過度に注目が集まっているように感じます。しかし、もちろんそれだけではなく、伝統やしきたり、プレスへの対応等々、皇室の環境に適応しようとしてきた過程でも、大変な努力が必要でした。私は、これから雅子には、本来の自信と、生き生きとした活力を持って、その経歴を十分に生かし、新しい時代を反映した活動を行ってほしいと思っていますし、そのような環境づくりが一番大切と考えています。
 会見での発言については、個々の動きを批判するつもりはなく、現状について皆さんにわかっていただきたいと思ってしたものです。しかしながら、結果として、天皇皇后両陛下はじめ、ご心配をおかけしてしまったことについては心が痛みます。
 皆さんに何よりもお伝えしたいことは、今後、雅子本人も気力と体力を充実させ、本来の元気な自分を取り戻した上で、公務へ復帰することを心から希望しているということです。雅子の復帰のためには、いろいろな工夫や方策も必要と考えますし、公務のあり方も含めて宮内庁ともよく話し合っていきたいと思っています。多くの方の温かいお励ましに、私も雅子もたいへん感謝をしています。雅子が早く健康を回復し、復帰できるよう、私自身も全力で支えていくつもりです。
 最後に、雅子の回復のためには静かな環境が何よりも大切と考えますので、引き続き温かく見守っていただければ幸いに存じます。
◇雅子さまの歩み◇
93年 6月 皇太子さまとの「結婚の儀」
94年 11月 サウジアラビア、オマーン、カタール、バーレーン訪問
95年 1月 クウェート、アラブ首長国連邦、ヨルダン訪問
99年 2月 ヨルダンのフセイン国王の葬儀参列
  12月 ベルギーのフィリップ皇太子の結婚式出席
01年 12月 敬宮(としのみや)愛子さま出産
02年 12月 ニュージーランド、オーストラリア訪問。訪問前の会見で、結婚後に外国訪問が難しい状況になったとして「その状況に適応することに、大きな努力が要った」と発言
03年 12月 帯状疱疹(ほうしん)で宮内庁病院に入院。宮内庁が雅子さまに関し、春ごろまで公務を休むと発表
04年 1月 「もとの元気な自分を取り戻したうえで、なるべく早く公務に復帰して務めを果たすことができるよう努力したいと思います」と心情をつづった所感を公表
  3月 長野県軽井沢町の小和田家の別荘で静養
 
 
 
 
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