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私はこう考える【天皇制について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/11/12 毎日新聞朝刊
[社説]即位10年 平成の皇室に確かな歩み
 
 「天皇陛下御在位十年記念式典」が、きょう12日、政府主催で行われる。小渕恵三首相を式典委員長に、都道府県知事、各国大使ら約1300人が出席してお祝いする予定だ。 陛下は、即位後初の記者会見(1989年8月)でこう述べている。 「憲法に定められた天皇の在り方を念頭に置き、天皇の務めを果たしていきたいと思っております。国民の幸福を念じられた昭和天皇をはじめとする古くからの天皇のことに思いを致すとともに、現代にふさわしい皇室の在り方を求めていきたいと思っております」
 陛下は、この10年、まさにこの発言の通りに、着実に歩んでこられたのではないか。思えば、内外ともに大変な10年だった。日本ではバブルの崩壊から長い不況が続き、阪神大震災、一連のオウム真理教事件など大きな災害・事件も相次いだ。
 この間、天皇、皇后両陛下は、実に活動的だった。「国民とともに」をモットーに、多くの機会を作って直接国民と触れ合った。被災地にはいち早く出向き激励した。「こどもの日」「敬老の日」などには、福祉施設に足を運んだ。
 戦後50年の95年には、昭和天皇が唯一訪問できなかった激戦地沖縄、被爆地長崎・広島、それに大空襲で多数の犠牲者が出た東京の下町を巡る「慰霊の旅」をした。皇室外交も盛んで、米、英、中国など外国訪問は8回に及んだ。外国からの賓客との会見は、昭和時代の2倍近い。
 さまざまな場で自らの考えを積極的に語るようになったことも目を引く。陛下の語録でとりわけ印象的なのは、憲法に対する思いだ。昨年5月の記者会見では、「(憲法には、天皇は日本国の象徴であり国民統合の象徴であると定められているが)どのように在るのが象徴にふさわしいかということが、いつも念頭から離れないことでした」と話した。
 即位にあたっては「皆さんとともに憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い・・・」「憲法を遵守(じゅんしゅ)し・・・象徴としての務めを果たすことを誓い・・・」と述べている。
 陛下は、現行憲法の規定に基づいて最初から「象徴」として即位した初めての天皇になる。象徴天皇制の真価が問われる10年でもあったが、陛下はこの点でも極めて賢明に務めを果たしてこられたように思う。
 明治憲法では、天皇は主権者であり、神聖にして侵すべからざる存在だった。特に昭和に入ってから、軍部などが暴走、国を破滅に追いやったが、その際あらゆる場面で利用されたのが、「天皇」だった。
 その教訓を、忘れてはならない。過ちを繰り返してはならない。陛下自身「長い歴史を通じて政治から離れた立場において・・・国民の福祉と幸福を念ずるというのが日本の伝統的天皇の姿でした。・・・(憲法が)天皇は国政に関与せず、内閣の助言と承認により国事行為を行う、と規定しているのは、このような伝統に通じてのものであります」(93年)と述べている。
 象徴天皇は、日本の伝統にも沿うものであり、一時期の天皇絶対主義の方が異様だったのだ。
 天皇の政治利用は、あってはならないことだが、今も付け込まれる余地がないとはいえない。主権者である私たち国民が、心しなければならないことだろう。
 
 
 
 
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