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私はこう考える【ダム建設について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/03/01 読売新聞朝刊
川辺川ダム 事業の必要要件欠く 目的薄れて合意形成ならず(解説)
 
「公共事業に求められるのは、必要性、治水や環境面などの科学的な妥当性、それに住民らの合意形成などの面の正当性だろう」
 公共事業の環境影響委託調査などを何度も行ってきた環境総合研究所(東京)の青山貞一所長の持論だ。
 川辺川ダム計画の大きな関門になっていた球磨川水系の漁業補償について、球磨川漁協総代会が、国土交通省との補償案を否決した背景には、計画そのものと国土交通省の計画の進め方に、青山氏の言う公共事業の三要件を満たせないものがあったといえる。
 その必要性のうち、農業用水確保のための利水目的では、利用する側の農民の多くが「不要だ」との声をあげていた。肝心の治水目的も、これまでの治水対策により、同じ雨・流量なら球磨川流域の洪水被害が劇的に減ってきていたのだ。
 しかも、アユ漁従事者の間では、既存ダムができてから水質が悪化しアユの質も落ちたとの声が強く、有明海のノリ被害をきっかけに「ダムは地元の漁業や観光業などに有害」との意見が一層高まっていた。
 そのうえ同省は、「漁業権は強制収用しない」と言いつつ「強制収用になれば、補償の多くを占める影響補償はすぐには出せない」と圧力をかけたように、合意形成でも無理を続けていた。
 これで同省は、ダム建設を進めるには強制収用以外に方法を見いだしにくくなった。だが、そうした方法は問題をこじらせるだけだ。むしろ、河川審議会のほか欧米など海外でも進んでいるダム以外の治水対策再評価の流れについて再考する機会とすべきだろう。
 建設中止の場合は、水没する予定だった五木村の村民には移転替え地対策などが問題になるが、同省が本体着工できる見通しも立っていないのに付帯工事など関連事業を時期尚早に進めた結果であり、責任を持って対応する必要がある。
川辺川ダム建設計画の経過
1963年 8・24 熊本県南部を襲った豪雨で洪水が発生。この年から3年連続で球磨川流域は洪水に見舞われ、死者・行方不明者は61人に
1966年 7・3 建設省が川辺川ダム建設計画を発表
1976年 3・30 建設省がダム建設基本計画を告示
  6・28 水没者地権者協議会がダム建設基本計画の取り消しを求め、熊本地裁に提訴
1981年 4・29 建設省が示していた補償基準で、五木、相良両村の賛成三団体が妥結
1984年 4・23 水没者地権者協議会と建設省が和解
1991年 5・13 水没地区に対するすべての補償基準交渉が終結
1996年 7・26 球磨川漁協が九地建にダム建設中止を申し入れる
  10・11 本体着工同意に伴い五木・相良村と建設省、熊本県が調印
1997年 5・23 仮排水路トンネル工事着工
1998年 6・9 建設省がダム建設基本計画を変更
1999年 5・20 建設省が球磨川漁協に漁業補償交渉開始を申し入れる
  7・31 仮排水路トンネル完成
2000年 2・29 球磨川漁協通常総代会で、事業計画案からダム建設絶対反対の文言削除
  8・29 球磨川漁協が全組合員を対象にしたアンケート結果を発表。建設反対が有効回答の過半数を占める
  9・1 球磨川漁協臨時総代会で、漁業補償交渉委員会設置を58対36で可決
  9・8 熊本地裁の川辺川利水訴訟で農民側敗訴の判決。農民の同意取得の手続きに違法性はないと判断
  10・2 九地建が土地収用法に基づく事業認定を申請
  10・24 球磨川漁協が漁業補償交渉委員会設置
2001年 1・27 国土交通省が球磨川漁協との漁業補償交渉で約16億5千万円の補償金額を提示
  1・29 球磨川漁協理事会が補償受け入れを承認
  2・28 球磨川漁協総代会が補償案を否決
 
 
 
 
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