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2 都道府県イベント事業(都道府県事業)
 
(1)内容
 住民の地域伝統芸術等に対する意識啓発に資するため開催される、地域伝統芸術の紹介や発表、シンポジウム等の事業(都道府県イベント事業)を実施する際に、都道府県に設置されたイベント実行委員会等に対して財団法人地域創造が助成を行うものである。
 助成額は1イベント実行委員会あたり、助成対象事業経費から入場料等収入を控除した額の10分の10以内とし、400万円を基準額とする。
 
(2)成果・問題点等
・都道府県イベント事業は、地域レベルで様々な伝統芸能等を披露する場として好評を得ており、この5年間でのべ35道府県において開催されてきた。しかし、複数回開催した地域を除き、実開催地は18道府県にとどまっている。
 
<都道府県イベント実績>
年度 採択数 開催県名
平成11年度 4 青森県、神奈川県、島根県、山口県
平成12年度 5 山形県、埼玉県、愛知県、奈良県、徳島県
平成13年度 8 北海道、山形県、埼玉県、神奈川県、愛知県、滋賀県、奈良県、徳島県
平成14年度 10 青森県、山形県、福島県、埼玉県、山梨県、岐阜県、愛知県、三重県、徳島県、鹿児島県
平成15年度 8 埼玉県、京都府、和歌山県、鳥取県、島根県、広島県、徳島県、鹿児島県
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<都道府県イベントの例>
イベント名 概要
「奥羽越の民俗芸能まつり」
(福島県)
福島・山形・新潟三県の三匹獅子舞を通じて、文化の交流の足跡をたどろうとするもので、ワークショップで獅子舞の所作の意味や、獅子頭や楽器を例に三県の共通点や違いなどの解説を行い、その後、三県の5つの獅子舞を実際に上演する。
「ふるさとの人形芝居と歌舞伎」
(愛知県)
地域に伝承されている芸能文化を紹介。国指定重要無形民俗文化財に指定されている愛知県知立市の人形芝居「山車からくり」をはじめ、4つの地域の人形芝居・歌舞伎をそれぞれやさしい解説付きで上演。
 
3 映像記録保存事業(市(区)町村事業)
 
(1)内容
 各地域の失われつつあり、かつ記録の少ない伝統芸術等を映像に記録・保存する市(区)町村に対して経費を財団法人地域創造が助成。
 助成額は1市(区)町村あたり、助成対象事業経費の10分の8以内とし、320万円を基準額とする。
 
(2)成果・問題点等
・毎年多数の申請があり、市(区)町村のニーズは依然として高い。これまで、毎年約30程度の採択があり、平成15年度までで合計159市(区)町村が採択されている。
・全国の市(区)町村数(約3,200)に比べると、採択された地域伝統芸術は少なく、また、過疎化の進行や市町村合併の進展等により、地域伝統芸能等の保存・継承が難しくなってきている地域が多くなってきている。
 
<映像記録保存事業の採択件数>
年度 申請 採択
11年度 30市町村(18府県) 28市町村(17府県)
12年度 49市町村(26都府県) 29市町村(19都県)
13年度 51市(区)町村(23都府県) 33市(区)町村(19都府県)
14年度 36市町村(25道府県) 32市町村(23道県)
15年度 39市町村(25都県) 37市町村(23都県)
205市(区)町村 159市(区)町村
※平成13年度は、追加採択(4件)を含む。
※平成15年度は、追加採択(3件)を含む。
 
文化芸術振興基本法(平成十三年十二月七日法律第百四十八号)抜粋
前文
 文化芸術を創造し、享受し、文化的な環境の中で生きる喜びを見出すことは、人々の変わらない願いである。また、文化芸術は、人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに、人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである。更に、文化芸術は、それ自体が固有の意義と価値を有するとともに、それぞれの国やそれぞれの時代における国民共通のよりどころとして重要な意味を持ち、国際化が進展する中にあって、自己認識の基点となり、文化的な伝統を尊重する心を育てるものである。
 我々は、このような文化芸術の役割が今後においても変わることなく、心豊かな活力ある社会の形成にとって極めて重要な意義を持ち続けると確信する。
 しかるに、現状をみるに、経済的な豊かさの中にありながら、文化芸術がその役割を果たすことができるような基盤の整備及び環境の形成は十分な状態にあるとはいえない。二十一世紀を迎えた今、これまで培われてきた伝統的な文化芸術を継承し、発展させるとともに、独創性のある新たな文化芸術の創造を促進することは、義々に課された緊要な課題となっている。
 このような事態に対処して、我が国の文化芸術の振興を図るためには、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重することを旨としつつ、文化芸術を国民の身近なものとし、それを尊重し大切にするよう包括的に施策を推進していくことが不可欠である。
 ここに、文化芸術の振興についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、文化芸術の振興に関する施策を総合的に推進するため、この法律を制定する。
 
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、文化芸術が人間に多くの恵沢をもたらすものであることにかんがみ、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術に関する活動(以下「文化芸術活動」という。)を行う者(文化芸術活動を行う団体を含む。以下同じ。)の自主的な活動の促進を旨として、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図り、もって心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
 
(基本理念)
第二条 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されなければならない。
6 文化芸術の振興に当たっては、地域の人々により主体的に文化芸術活動が行われるよう配慮するとともに、各地域の歴史、風土等を反映した特色ある文化芸術の発展が図られなければならない。
 
(国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、文化芸術の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
 
(地方公共団体の責務)
第四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関し、国との連携を図りつつ自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
 
第二章 基本方針
第七条 政府は、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るため、文化芸術の振興に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
 
第三章 文化芸術の振興に関する基本的施策
(芸術の振興)
第八条 国は、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術(次条に規定するメディア芸術を除く。)の振興を図るため、これらの芸術の公演、展示等への支援、芸術祭等の開催その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
(伝統芸能の継承及び発展)
第十条 国は、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎その他の我が国古来の伝統的な芸能(以下「伝統芸能」という。)の継承及び発展を図るため、伝統芸能の公演等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
(芸能の振興)
第十一条 国は、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く。)の振興を図るため、これらの芸能の公演等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
(地域における文化芸術の振興)
第十四条 国は、各地域における文化芸術の振興を図るため、各地域における文化芸術の公演、展示等への支援、地域固有の伝統芸能及び民俗芸能(地域の人々によって行われる民俗的な芸能をいう。)に関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
(学校教育における文化芸術活動の充実)
第二十四条 国は、学校教育における文化芸術活動の充実を図るため、文化芸術に関する体験学習等文化芸術に関する教育の充実、芸術家等及び文化芸術活動を行う団体(以下「文化芸術団体」という。)による学校における文化芸術活動に対する協力への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
(地域における文化芸術活動の場の充実)
第二十七条 国は、国民に身近な文化芸術活動の場の充実を図るため、各地域における文化施設、学校施設、社会教育施設等を容易に利用できるようにするための措置その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
(地方公共団体及び民間の団体等への情報提供等)
第三十条 国は、地方公共団体及び民間の団体等が行う文化芸術の振興のための取組を促進するため、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
(地方公共団体の施策)
第三十五条 地方公共団体は、第八条から前条までの国の施策を勘案し、その地域の特性に応じた文化芸術の振興のために必要な施策の推進を図るよう努めるものとする。







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