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東京財団研究報告書2004-6 日本の近未来ビジョンと初等教育改革

 事業名 相互交流による国際ネットワークの形成及び政策課題研究等
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


8. 篠原寿一
NPO法人「新現役ネット」教育を考える懇談会代表
 
[共同参加者]
船橋利幸/NPO法人「新現役ネット」教育を考える懇談会事務局長
 
(2003年7月16日研究会実施)
 
□講師のお話
◎「新現役ネット」とは
 
 はじめに「新現役ネット」について少しご説明いたします。これはいまから2年前に設立されました。「中高年の人たちがもっている知識とか技能とかを、これからもう一度社会に役立てることができるような環境を作れないだろうか」という外交評論家の岡本行夫さんの呼びかけで始まったものです。それで、中高年の人たちをまずネットワークで結び、同じ目的をもった人同士がグループを作り、それぞれが自主的に活動するような組織を作りました。新しい現役として、もう1度その能力を発揮していこうということで、「新現役ネットワーク」といいます。現在シニアの皆さん1万1,000人が参加しております。
 事務局は、4人しかおりませんが、その1万1,000人の人たちがかなりのグループを作り、いろいろな活動をやっています。その中で、自分たちの主張とか意見を社会に提言していきたいというグループがいくつかありますが、私たちのやっておりますこともその中のひとつです。現在は、「教育を考える懇談会」というものをやっております。
 今日は、この「教育を考える懇談会」のこれまでの活動成果といいましょうか、活動内容および提言のようなものをお話させていただきますが、まずその前に、私、篠原の簡単な自己紹介をさせていただきます。私は昭和17年生まれの61歳です。日本IBMにずっと勤務しておりまして、ちょうど50歳のときに早期定年退職制度を使い独立をいたしました。その後、一時期、コンピュータ専門学校で教員をやっておりましたが、新現役ネットの話を聞き入会し、今日に至ったということです。
 
◎教育荒廃の原因は、憲法・教育基本法・日教組・文部科学省にあり?!
 
 「教育を考える懇談会」は、正式には今年の5月にスタートしたのですが、その前段階として去年から勉強会をやっておりまして、これまで都合5回やってきました。メンバーは、30名ほどでおおむね50代後半から60代の男性が中心です。
 最初に、「世界からみて日本の教育はどうなんだろう」という議論から始めてみました。ほんとうに様々な意見が出てきました。主だったものをいくつかご紹介させていただきます。
 ひとつは、日本国憲法の問題で、「憲法前文が諸悪の根源だ」という意見です。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して・・・」という文言に代表されるものを、まともに教え込まれてきたということが問題だと。そして、その憲法を押しつけた当の米国では、「国旗に忠誠を誓わせるというような教育を一貫してやっている」という意見です。
 2つ目は、教育基本法です。これが昭和22年に成立したときにはまだ教育勅語があったわけでして、「教育勅語と教育基本法と2本立てで日本の教育は進むはずだったところ、結局GHQの圧力で教育勅語が廃止された。そのために倫理観、あるいは道徳規範というものがまったく失われたまま今日に至っている。これがいまの教育崩壊の原因である」という意見です。
 3つ目が、日教組の問題です。日本国憲法、教育基本法の背景に流れる理想的な平等思想や人権思想を何の検討も加えず、極めて単純に妄信し、それにもとづいた「偏向教育」を徹底して推し進めてきた、という意見です。
 最近起こった事件ですが、所沢高校とか国立の第二小学校の例があります。国立の場合でいえば、小学生が校長に対して「僕たちの卒業式で国旗を掲揚したのはけしからん。土下座して謝れ」というようなことをいったそうですが、これは明らかに日教組の先生が子供たちや、あるいは父兄を利用して言わせているのだろうということです。
 4つ目が文部省、現在の文部科学省の問題です。これは、要するに、「文部科学省の迷走が教育界を混乱させている」という意見です。
 「行政当局と日教組が協調して偏向教育に走ってきた」とか、「教育にかける予算が非常に少ない」、「歴史教育が歪められている」とか、「義務教育は税金で賄われているわけだから、国家目標を教育に反映すべきだ」などというものです。
 それで、日本の教育現場が混乱しているのは、国の基本方針がはっきりしていないからではないか、ということになるのですが、こうした基本的な問題のほかにも、不登校、いじめ、学級崩壊、学力低下、親子関係、先生の教師としての自覚や資質の問題、といった個々の問題に関する意見も数多く出され、まさに議論百出という状態でした。
 ですから、これでは何も決まらないということで、では、この懇談会の中で何か提言をまとめてみようという話になったわけです。例えば、「サッチャーとかレーガンの教育改革を検証しよう」とか、「母親が子供を育てる大切さを見直そう」とか、「宗教について論じてみよう」と、いったものです。これが、1回目の勉強会でした。
 
◎子供たちのモラル低下は親の責任
 
 2回目の勉強会では、海外の事例も参考にしながら、では、われわれは、いま何をすべきなのか、というような観点から議論を進めてみました。内容を大別しますと、憲法や法律の問題、学校教育の問題、それから家庭における父親と母親の役割です。
 ざっと申しあげていきます。まず、「日本人はいかにあるべきか、というようなことを、はっきりするのが大事なのではないか、そうした中で教育も進めればよい」という議論です。
 私が専門学校の教員をしておりましたときに、学生たちの就職試験のために、作文の練習を何度もやっていました。あるとき作文のテーマとして、「日本人とは何か、日本人について論ぜよ」というのを出題したんです。そうしたところ、ある学生が、「日本人だけを対象にするのは、他の国民に対しての差別である」ということを書いて、「だから、僕はこれを論じられない」と。この学生の思考がある意味、特殊だったのかもしれませんが、ここまで偏向教育が進んできたのかなあと、そのとき強く感じた経験があります。ですから、こうした学生もいるというのが現実なのです。
 それから「愛国心を育てる教育が必要である」とか、「占領政策で日本はおかしくなった」とか、アメリカに14年間生活したという人なのですが、「日本の民主主義は結局歪められてしまった」と。あるいは、「国家に尽くす人間の育成を目標に掲げるべき」、「天皇制を廃して大統領制に移行すべきだ」というような意見も出ました。
 また、「現在の学習指導要領ではモラルを教えるようになっていない」、「教育勅語のようなものを国会で決議すべき」、「エリート教育を実施すべき」、「師範学校を復活すべき」、「総合学習もこれでよいのか」という意見。「将来、日本には何だかんだといっても他国の人が入ってくることが予想される。それに対する整備が必要だ」というような意見もありました。
 さらには、「子供たちが自分たちの国に自信がもてるような歴史教育が必要である」、「東京裁判史観からの脱却が必要だ」とか、「コミュニケーションやディスカッションが教えられていない」、「日本には楽しく教えられる教師のプロがいない」、「数学の時間が短すぎる」、「権利と義務のうち、権利だけが強調され過ぎた」、「海外で暮らしてみて、日本人の品格が落ちて、日本人は馬鹿にされていることを実感した」などです。
 また、身近な家庭の問題として、「父親が授業参観等に行かない」、「何でも学校の責任にすべきではない」、「もっと家庭でやることがある」など。それから「男女平等の意味をはき違えた女性が多く、同様にジェンダー・フリーについてもそうだ」というのもありました。
 そして、「子供のモラルの低下は、家庭でちゃんと教えられていないからだ」と。それから「モラルに反することはその場で注意しなくてはいけないが、逆に、刃物などで刺されないように注意しないといけない」ということです。特に電車の中での子供たちや少年たちの振る舞いには、目に余るものがよくありますから。
 これは、ラジオ番組で聞いたことですが、スウェーデンの親は、電車の中で子供には座席に絶対座らせないそうです。日本の場合は、子供に座らせて親が立っています。やはり、小さいときからの躾というのは非常に大事だと思うのですが、その辺りがどうもできていないのではないかと思われるのです。ですから、子供たちのモラルが低いのも、大部分は親が教えていないからだと思うのです。自分もいい加減なことをやっていますから、親が自信をもって教えられなくなっているのではないか、という気がします。







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