日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 教育 > 成果物情報

東京財団研究報告書2004-6 日本の近未来ビジョンと初等教育改革

 事業名 相互交流による国際ネットワークの形成及び政策課題研究等
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


□質疑応答
 北矢 個別の現場での、具体的なことにどう対応するかというのは、やっておられると思うのですが、それ以前のシステムの再編成の問題ですね。どうにもならない事象が全部集中してきている。その集中してきている矛盾に対して、個々の対処法をどうするかということをやらなきゃいけないのですが。
 大島 比較論でいうと、例えば、私立と公立ではかなり際立っているでしょう。私立の場合だったらできの悪いのは「辞めろ」といえる。
 諸富 しかし私の実感ですが、私立の方ができの悪い先生が多いのではないでしょうか。公立は一定程度の研修をやらせますが、私立の場合、「研修というのを初めて受けました」という教師が多いのです。明らかに質の悪い教師がいても、辞めさせることができない。組合でお互いを守り合っているからです。
 完全にクラスが崩壊していても、表に出ません。おおっぴらにいえないような悲惨な事件が起きていても、学校の経営に関わりますから、全部握り潰すことがあるようです。私立の質がいいとは、いえないと思います。
 大島 私立の場合は、辞めさせる自由があるだけに、親と子供と先生との関係がすっきりしているんじゃないかと思ったんですけどね。先生の話を聞いていますと、何か世の中真っ暗ですね。
 諸富 しかし、上手くいっているケースもあると思います。ですから、私は、まず教師同士の関係をこれからどうすればいいかという話になると思います。いま悪い方向に向かっていて、じつは今年、教師の人事評価という最大のガンが生まれそうです。教師の人事評価のあり方が、非常に形式的で、減点主義なんです。
 これが、どういう弊害を及ぼしているかというと、東京のある学校の例ですが、こういうご時世ですから、クラスの中でも問題を起こす子供がいるのは当たり前なので、そういうことにどう対応するかを学校全体で話し合うべきところを、「うちのクラスの何々ちゃんがこんなことをしていて」というと、それは担任教師のマイナス評価につながってしまうので、校長先生の前で話せない、ということが起こっている。つまり、先生方が職員室などで、クラスのことをますます話せなくなっていくわけです。
 要は、形式的な全国一斉の人事考課は、やめて欲しいということです。
 指導力不足教師に辞めてもらえるシステムは必要です。たしかに、いじめのリーダーみたいな教師って結構いるんです。例えば、子供の身体的欠陥をあげつらうのが多いのですが、マサオ君が鼻がちょっと大きいとします。そうしたら先生が、例の「なんでだろう」を使って「マサオ君の鼻が大きいのはなんでだろう。はい、みなさん、ご一緒に」とかいっているのです。親が文句をいったら、「僕は子供を追いつめた教育をするのが方針なんです。絶対正しいと思ってます」と、ガンと変えないらしいのです。こういう問題のある教師は3校に1校はいます。それで、こういうのは治らない。だから、辞めさせたほうがいいのです。
 それから、学校を変えていく中心となるような優秀な教師をどんどん評価してやって、給料をアップしていいんです。しかし、いま東京都が何をやっているかというと、教師の相対評価なんです。校内でランクを付けるのです。子供たちには絶対評価といって、ランクを付けるのをやめたのに、教師には全部ランクを付けているのです。ランクなど付くはずはないですし、特に荒れている学校は、皆一丸となってやらないといけないのです。
 それから、校長に評価の権限を与えすぎているのです。校長と馬が合わない人は、指導力不足教師として研修に回されるわけです。ひたすら、公園の掃除とかやらされるわけです。「何でこんなことを」と恨みをもって、人格が歪むだけなんです。この前、ある県で、研修担当の先生に聞いたら、「結構優秀な人が来ているんです」といいます。よく聞くと、校長と馬が合わないということなんです。校長が、そうした評価をできるような絶対的な能力をもっているかというと、そうではないのです。中にはひどい校長もいますから。
 やはり。評価をするとしたら、校長、教頭もするけれども、同僚からの評価、子供たちからの評価、親からの評価、総合評価でやればいいのです。全員厳密な評価などというものは、できるはずはないのです。
 評価の対処も、上と下だけにして、総合的にいろいろな角度から評価をしたほうがいいというのが、私の提案です。
 それから、小学校5年生以上の問題でいうと、こんな調査があるのです。子供たちに「悩みを誰に相談したいですか? 誰には相談したくないですか?」と聞く。そうすると、勉強の悩みは担任でいいというのですが、中学生ぐらいになると、いちばん相談したくないのは担任なんです。学級の担任の先生に恋の悩みとか、友人関係の悩みを話したくはないのですね。それにも拘らず、日本の学校は、学級担任ということに中心を置き過ぎています。ですから、これはちょっと緩やかなシステムにしないといけない。特に小学校の5、6年生の学級の担任制はすごく無理があると思うのです。思春期に入っていて、いろいろなことを感じるにも拘らず、1人の大人に全部教わって、馬が合わなかったら最悪です。
 大島 早熟になっているということってあるんでしょうね。
 諸富 それは、ありますよね。ですから、これは実際に横浜や関西の一部でやっている学校もありますが、かなり荒れている地域では、小学校5年生以降はシステムを変えて、教科担任制にしているのです。
 それから、いまなぜ学級崩壊が1年生で起きやすいのかというと、急にやらせ過ぎるからなんです。幼稚園とか保育園は自由にやっておいて、小学校1年生にいきなり席にじっと座っていなさいというのには、無理がありますね。小学校1年生は、半分幼稚園のような内容にする。例えば、イギリスでは、小学校1、2年生と3、4年生は別の学校なんです。1年生の様子を見ていると、半分は幼稚園に近いです。これくらいの内容にしないと、子供たちの現状に合わないのではないかという気がします。それに、1年生は20分授業にしてしまう。1年生は40分も席に座っていられないですね。子供たちの現状に合わせないで、一律に1年生から6年生まで全部を1人の担任が担当して、全部40分授業などというのは、現状に合わないのではないかと思います。
 大島 学級崩壊も、地域によってかなり進んでいるところと、対策を打ち始めているところもあれば、まだ学級崩壊がそれほどでもない地域もいろいろあるから、それを一律に文部科学省がああしろ、こうしろというのも駄目ですね。基本的にもっと現場に決定権限をもたせる必要があります。







サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
2,798位
(35,367成果物中)

成果物アクセス数
3,014

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2022年12月3日

関連する他の成果物

1.WORKING PAPER 12. 「『専守防衛』策と日本の安全-自衛を全うすることが可能か-」
2.政策提言書「日台関係強化の為の6つの提言-良き隣人を再確認しよう-」
3.東京財団研究報告書2004-1 教員免許状取得希望大学生に対して障害児教育に関する知識、技能をいかにして身につけさせるか
4.東京財団研究報告書2004-3 安楽死合法化に向けて-オランダの安楽死法をベースに-
5.東京財団研究報告書2004-4 我が国の外周離島(外周領域)保全のあり方
6.東京財団研究報告書2004-5 外国犯罪の動向とその対策-若干の提言-
7.東京財団研究報告書2004-7 国際協力NGO活性化の方策
8.東京財団研究報告書2004-8 電子自治体における情報活用-地方自治体における介護情報を事例に-
9.東京財団研究報告書2004-2 日本人の安全保障に関する新構想
10.「実感! マリーンウィーク ’03」
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から