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(4)必修と選択について(図5-10)
 障害児教育関連科目についての履修は必修と選択のどちらが望ましいと考えるかという問いに対しては、「必修」がよいと考える者が86.4%であったのに対し、「選択」がよいと考える者は7.1%であり、「必修」とすることが必要であるとする者の方が多かった。
 
図5-10 
障害児教育関連科目の設定の形態に対する回答別人数及びパーセンテージ
 
 またその理由を尋ねたところ図5-11-a)及びb)のようになった。
 必修がよいという理由としては、「教師として全員に必要だと思うから」が最も多く、今後はすべての教員が障害児教育についての知識を持つべきであると考えていることが明らかになった。その一方で、選択がよいという理由として「専門外だから」を挙げている者もおり、意識改革が必要な教員も少なからずいるようであった。
 
図5-11-a) 
障害児教育関連科目についての履修のあり方(必修がよいと思う理由)
 
図5-11-b) 
障害児教育関連科目についての履修のあり方(選択がよいと思う理由)
 
(5)大学での障害児教育関連科目の履修の有無(図5-12)
 大学在学中に障害児教育関連科目を履修したことがあるかという問いに対しては、「ない」と答えた者が76.1%であるのに対して、「ある」と答えた者は22.1%にとどまっていた。現場の教員の4分の3以上が大学で障害児教育についての教育を受けておらず、今後研修等で対応していく必要性があることが示唆された。
 
図5-12 
大学での障害児教育関連科目の履修の有無に関する回答別人数及びパーセンテージ
 
 また「ある」と答えた者に履修した科目の中で教員になって役に立ったと思うものがあればその内容を書いてもらったところ、図5-13のようになった。「実習等の体験」が役に立ったという回答が多く、次いで、「障害児教育概論」、「指導法」、「教育の見方、捉え方」が続いた。体験を重視する一方で、全体的な知識も必要と感じているようであった。
 
図5-13 大学在学中に役に立ったと思う障害児教育関連科目の内容
 
(6)障害児教育関連科目の中で学習するのが望ましいと考える内容(図5-14)
 障害児教育関連科目の中で学習するのが望ましいと考える内容については、「障害についての概論、知識」が最も多く、全般的な知識が必要であると考えていることが伺われた。次いで、「指導法」が多く、これは、小中学校の教員が障害児と直接かかわる機会が多くなってきていることが反映されていると思われる。
 
図5-14 障害児教育関連科目について学習するのが望ましいと思う内容
(拡大画面:80KB)
 
4. まとめ
 全体的に、教員は障害児教育に関して大学で障害児教育関連科目の履修の必要性を感じているようであった。教員のほとんどが、大学で障害児教育関連科目を履修してこなかったという事実と合わせてみると、現場の小中学校の教員が障害児と関わらざるをえなくなっている状況であるのに対して、自らが障害に関する知識、技能を持ち合わせていないことに苦慮している様子が伺われた。内容としては、障害児教育の全体的な幅広い知識の上に、障害児の具体的な指導に関することを必要と感じている傾向がみられた。現場の教員は大学における障害児教育関連科目の履修の必要性を強く感じており、大学のカリキュラム編成においては、これらの現場の声に耳を傾けるべきであると思われる。







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