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 国・地域別では、衣料品の主要輸出先である欧米が上位を占めた。米国は前年に続き最大の輸出相手国となったが、衣料品輸出が落ち込んだことにより16億3,536万ドル(前年同期比12.0%減、シェア36.8%)にとどまった。以下、ドイツが5億2,613万ドル(12.8%減、シェア11.8%)、英国が4億8,078万ドル(10.0%増、シェア10.8%)と、上位3カ国で全輸出の約60%を占めた。衣料品産業は、2004年末までに多国間繊維取り決め(MFA)によるクオータが廃止される予定であり、欧米市場における中国やインドなどとの競争激化が予想されることから、国際競争力の強化が課題である。
 一方、2000年度の輸入は−前年度比11.4%増の93億6,309万ドル(借款・贈与分14億2,980万ドル、EPZ内輸入分6億8,541万ドル含む)であった。品目別では衣料品の原料である繊維・同製品が20億1,261万ドル(前年同期比13.5%増)、紡績機械等の繊維機械を中心とする機械機器が9億9,310万ドル(42.8%増)と急増、鉱物が7億4,136万ドル(2.0%増)となった。
 国・地域別(EZP内輸入分除く)では、インドからの輸入が高品質米であるミニケーツの需要増により穀物輸入が116.8%増、1億8,421万ドルと急増したことで11億8,400万ドル(42.2%増、シェア13.6%)となった。日本は4億8,176万ドルの借款・贈与が大きく寄与し、合計では8億4,603万ドル(23.5%増、シェア9.7%)で2位。以下、シンガポール、中国、香港、台湾、韓国と続きアジアが上位を占め、シェアも60%近くに達した。
 
表1-(2)バングラデシュの主要品目別輸入
(単位:100万ドル、%)
  1999年度 2000年度
金額 金額 構成比 伸び率
繊維・同製品 1,772.9 2,012.6 21.5 13.5
機械機器 695.3 993.1 10.6 42.8
鉱物 726.9 741.4 7.9 2.0
化学製品 515.6 592.0 6.3 14.8
農産物 542.0 552.3 5.9 1.9
合計(その他含む) 8,403.3 9,363.1 100.0 11.4
出典)バングラデシュ銀行
 
 また、2001年度7月から2002年2月末までのL/C決済ベースの輸入では、52億5,049億ドル(前年同期比6.6%減)であった。主な品目別でみると1位の繊維生地・アクセサリーは、衣料品輸出の落ち込みの影響で同12.4%減の13億822万ドル(シェア24.9%)。以下、設備機械4億734万ドル(シェア7〜8%)、石油および石油製品3億7,929万ドル(シェア7.2%)と続いた。衣料品輸出の落ち込みが顕著だった一方で、繊維機械を中心とする設備機械の輸入が30.1%増加したのは、輸出が好調だった前年度中の輸入契約が増加したためと思われる。
 2000年度の対日貿易は、輸出が1億735万ドル(前年同期比9.7%増)と3年ぶりに1億ドル台を回復した。輸入(借款・贈与分4億8,176万ドル、EPZ内輸入分4,554万ドル含む)は8億9,157万ドル(同14.0%増)となり、貿易赤字は1億25万ドル増加して7億8,422万ドルに拡大した。輸出を品目別にみると、主力のエビが2,852万ドル(同8.7%増)で1位、これに皮革製品、衣料品と続いた。輸入(借款・贈与、EPZ内輸入分除く)は鉄鋼が1億2,836万ドル(同21.2%増)、中古車を中心とする自動車が7,735万ドル、繊維機械を中心とする機械が5,688万ドルと続いた。鉄鋼輸入の増加は日本の市況悪化により日本国内鉄鋼業者が価格を引き下げたことと、当国市場での需要が冷延鋼板に比べ高い品質が求められる熱延鋼板へとシフトしたことが背景にある。繊維機械では特に紡績機械が急増した。この背景には、前政権時に輸出促進策として推進していたキャッシュ・インセンティブ、すなわち国内産の糸から作った衣料品の輸出にはFOB価格の25%が助成されるという制度により、紡績業者が急増した結果、2001年のみで日本から約7万錘の紡績機が入ったことがあげられる。しかし、新政権になり、深刻化する外貨準備不足により同制度は停止され、当地日系大手商社によれば、2002年に入ってからの繊維機械需要は低調になっている。また、日本の「貿易統計(通関べース)」によると、2001年(暦年)の対日輸出は前年比11.1%増の140億1,535万円だった。これまで常に1位だった冷凍エビは21.9%減の27億2,605万円(シェア19.5%)と急減し、代わって46.3%増加した履物が28億7,714万円(シェア20.5%)と最大の品目となった。エビの輸出を手がける日系大手商社によると、主力のブラックタイガーの一部がウィルスに感染したことにより日本市場向けのスペックが合わず、注文が減少したことが影響したという。







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