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バングラデシュ(People's Republic of Bangladesh)
(1)一般事情
1. 面積:14万4千km2
2. 人口:1億2,925万人、人口増加率:1.48%(2001年バングラデシュ統計局)
3. 首都:ダッカ
4. 人種:ベンガル人が大部分を占める
5. 言語:ベンガル語(国語)、成人識字率:48.7%(1998年、政府統計局)
6. 宗教:イスラム教徒88.1%、ヒンズー教徒10.5%、仏教徒0.6%、キリスト教徒0.3%
7. 略史:
1947年8月14日パキスタンの一部(東パキスタン)として独立
1971年3月26日バングラデシュとして独立
8. 政治体制・内政
(1)政体:共和制
(2)元首:イアジュッディン・アーメド大統領
(3)議会:一院制(総議席300)
(4)政府:首相:カレダ・ジア
(5)内政:
(1)1990年12月、民主化要求の反政府運動が高まる中で、エルシャド大統領は辞任し、1991年2月、中立的な暫定政権の下で総選挙が実施され、バングラデシュ民族主義党は(BNP)が第一党となり、ジアBNP総裁が首相に就任する。
(2)1996年2月に実施された繰り上げ総選挙では、主要野党は選挙をボイコット。野党の反政府運動に直面し、1996年3月、ジア首相は退陣。1996年6月、選挙管理内閣下で実施された総選挙ではアワミ連盟が21年振りに政権に復帰しハシナ同連盟総裁が首相に就任した。
(3)2001年10月、任期満了に伴う総選挙では、BNPが地滑り的勝利を収め、政権を奪回した。
9. 外交
 外交基本方針は、近隣諸国・イスラム諸国との友好関係維持、日本を含む西側援助国との協力関係強化。非同盟グループ、イスラム諸国会議、英連邦のメンバーである。2000年3月に南アジア地域で初めて包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准した。
10. 主要産業:農業、縫製品・ニット製品産業、水産業、ジュート加工業
11. 経済指標
(1)GDP: 47,826百万米ドル(00/01年)
(2)一人当たりGDP: 364米ドル(00/01年)
(3)経済成長率(GDP):5.2%(00/01年)
(4)物価上昇率:1.6%(00/01年)
(5)失業率:2.5%(96・98年度)
(6)総貿易額(00/01年):
(1)輸出6,463百万米ドル
(2)輸入9,363百万米ドル
(7)主要貿易品目(97/98年):
(1)輸出:縫製品・ニット製品、冷凍食品、ジュート製品、皮革
(2)輸入:資本財、繊維、原油・石油製品、鉄鋼
(8)主要貿易相手国(00/01年):
(1)輸出:英国、米国、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア
(2)輸入:インド、中国、日本、シンガポール、台湾、韓国
11. 通貨:カタ
12. 為替レート:1米ドル=57.9タカ(02年8月)
(出所)バングラデシュ統計局・大蔵省、IMF資料他
13. 経済概況
 アワミ連盟前政権下の積極的な財政・金融拡張政策は、GDP成長率平均5%以上の達成を導く一方で、財政赤字の拡大や外貨準備高の減少などマクロ経済の不均衡を招いた。BNP新政権は、マクロ経済の安定化を図る一方、税制改革を柱に財政拡張型の予算案を発表し、教育、保健、医療セクターを中心とする貧困削減を重視する姿勢を見せている。なお、バングラデシュが貧困を克服するためには、年率7%台の成長を持続的に達成する必要があるとされているが、2001年9月の米国同時多発テロ事件を発端とする世界景気後退は、欧米市場に80%以上を依存している縫製産業を中心とした輸出産業を直撃しており、バングラデシュ経済に大きな影響を与えつつある。IMF・世銀との構造調整計画の合意あり。
(出所)外務省ホームページ
14. 貿易概況
 2000年度(2000年7月〜2001年6月)の経済成長率は治安情勢悪化に伴う国内経済低迷と最大の輸出相手国である米国の経済低迷により、当初目標の6%を下回る5.2%にとどまった。2001年度に入ってからも輸出が米国同時テロの影響により減少を続けていたが、第3四半期に入り衣料品を中心に回復の兆しが見えている。一方、投資では2001年10月に実施された総選挙をにらんでインフラ部門への投資が控えられた影響により減少している。
 2000年度(2000年7月〜2001年6月)の実質GDP成長率は、当初目標の6.0%から5.2%へと下方修正された。2001年10月1日の総選挙に向けて、治安情勢が急速に悪化し、国内経済が冷え込んだことと、米国景気の低迷が原因といえる。2001年度も米国テロ事件の影響により4.8%と低調な伸びが予測されている。総選挙後に発足したジア政権は、財政難を理由に緊縮政策を採り、中国の無利子借款で会場建設の準備を進めてきた非同盟諸国サミットの開催をキャンセル、また、前政権が契約したプロジェクトを見直すなどした。しかし、外貨準備高は12億9,280万ドル(2002年2月時点)と輸入の2ヵ月分にも満たないレベルまで急減したままで、これを打開する切り札として期待されている天然ガスの輸出解禁には依然として踏み切れていない。さらに、外資による第2チッタゴン港建設についても既存港の港湾労働者による強硬な反対により一向に進展しておらず、事業環境の改善が遅れている。こうしたことから、早くも新政権の指導力に疑問符をつける見方があり、今後の政権運営が注目される。
 2001年度上半期(2001年7月〜2001年12月)の輸出は米国経済の後退により、前年同期比11.5%減の29億9,512万ドルと大きく落ち込んだ。特に9月の米国テロ事件により、第2四半期の輸出は15.1%減と第1四半期の8.0%減からさらに悪化した。しかし、第3四半期に入ると、主力の衣料品が回復傾向に入ったことから全体で4.1%増となった。第1〜第3四半期までの累計は前年度同期比6.9%減の44億4,898万ドル、品目別でみると、全体の約8割を占める衣料品が、最大の市場である米国の景気後退の影響を受け34億2,284万ドルで4.7%減となった。また、エビを中心とする冷凍食品も2億208万ドルと前年同期比で28.9%減少した。
 
表1-(1)バングラデシュの主要品目別輸出
(単位:100万ドル、%)
  1999年度 2000年度
金額 金額 構成比 伸び率
衣料品 4,352.4 4,860.1 75.1 11.7
冷凍食品 343.8 363.2 5.6 5.6
皮革製品 195.1 253.9 3.9 30.2
ジュート製品 265.9 230.4 3.6 △13.3
合計(その他含む) 5,752.8 6,467.8 100.0 12.4
 
  2001年度
第1四半期 第2四半期 第3四半期 第1〜第3四半期
金額 金額 金額 累計 伸び率
衣料品 1,242.0 1,047.8 1,133.0 3,422.8 △4.7
冷凍食品 89.7 67.7 44.8 202.1 △28.9
皮革製品 59.2 41.3 51.7 152.2 △13.4
ジュート製品 53.3 61.6 65.3 180.2 7.6
合計(その他含む) 1,606.0 1,389.1 1,453.9 4,449.0 △6.9
出典)バングラデシュ輸出振興庁資料よりジェトロ作成







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