1999年12月現在フィリピンでは、423社の新造船・修繕船（以下SBSRと略す）企業が海事産業局（MARINA）から免許を受けている。これらの企業は、ルソン島に165社（39%）、ビサヤ諸島に113社（27%）、ミンダナオ島に145社（34%）という風に、全国の戦略的位置に立地している。新規参入企業の大半はミンダナオ島に集中している。

　これらの企業を設備能力別に分類すると、121社が、船舶の建造、修繕、その他の入渠工事用の設備を具えている。これらの造船所のうち9社は大型、14社は中型、79社は小型造船所で、また19社が修繕船設備を具えている。

　最大のシェア（36%、152社）を占めるのが沖修繕業者または無設備業者と分類されている事業者である。次いで小型艇建造事業者のシェアが35%（148社）となっている。

　第1表に、事業部門別、地域別にわが国の公認SBSR企業の数を示す。

　

　

　設備面で見ると、フィリピン国内には221基の入渠設備があって、その合計能力は2002年現在で794,510DWTに達する。うち204基（92%）がmarine railwayと総称される設備、5基（3%）が乾ドック、9基（4%）が浮ドック、3基（1%）がリフト・ドックである。

　

　

　第3表に示すように、新造船／入渠設備の規模順で上位9工場の合計能力は、上記221工場の合計能力の84%を占めている。これら9大造船所のうち5社は、外国資本との合弁新造船・修繕船企業である。サムバレスのSubic Shipyard & Engineering, Inc.、バタンガスのKEPPHIL Shipyard, Inc.、セブのKeppel Cebu Shipyard, Inc.からなるKeppelグループは、シンガーポールのKeppel Corporation Ltd.の子会社、セブのTsuneishi Shipyard (Cebu), Inc.は日本の常石造船株式会社の子会社、そしてセブのFBM Aboitiz Shipbuildersは英国のFBM Marine GroupとAboitiz Groupの合弁企業である。9大造船所のうち、7社がフィリピン造船工業会（PHILSAR）の会員で、PHILSAR加盟企業を合わせれば業界の能力総計の82%を占める。