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(6)評価
 本研究では、外側ビームのデータ間について、最適曲面近似及び共一次内挿によるデータの補間を実施した。また測線間においては、多項式による補間処理を施した。最適曲面近似及び共一次内挿処理で実施した補間後の水深データについて、両者の差を図22に示した。両者の差分比較は最大20cmあり、補間する面積が大きくなる探査幅の外側、すなわち外側ビームになるにつれて、最適曲面近似法と共一次内挿の結果の差が著しく増加している。一方、左舷右舷共に入射補角が40度よりも内側は、補間点が少ないため、両者の差はほとんど見られない。
 
図22. 最適近似曲面法に対する共一次内挿法の水深値との差
(上:両者の差を最大最小値で表現、下:-0.05〜+0.05の間で表現)
 
Line-1, 2(HYPACK収録)
 Data file = 008_1226. SX, 013_1226. HSX
 Total ping = 3938
 収録レンジ=25 m
 
Line-1, 2(HYPACK収録)
 Data file = 008_1226. SX, 013_1226. HSX
 Total ping = 3938
 収録レンジ=25 m
 
図23. 比高20cmをもたらす地形歪み
 
 図23は、この20cmの水深差がもたらす地形歪みの大きさを表したものである。送受波器直下から2m及び15m離れた点に、比高20cmの高まりがあった場合を想定して、これによる歪みの大きさを算出した。図より、直下近傍では約72cmの歪みが生じるが、15m離れた地点では約8cmとなる。原理的に斜距離補正では、比高が同じ場合、直下近傍の歪みが大きくなるが、水深データは直下近傍よりも外側ビームの方が抜けが生じやすいため、直下近傍の歪みは大きな問題とはならない。一方、15mはなれた地点の歪み8cmは、本研究の目標値の範囲内で、かつ十分に小さい。
 以上の結果から、本研究で実施した二つの方法による補間の例では、大きな差は認められず、本研究の目標値を達成するためには問題にならない。しかしながら、本研究で対象としたような浅海域で、照射覆域が狭い範囲では問題とはならないが、最適近似曲面の計算量は、共一次内挿に比べて多いため、SEABEAMで探査するような深海域では、照射覆域が広くなり、計算時間に差が出てくるものと思われる。
 本研究で実施したこれら3つの補間方法が全てではないが、水深データは複雑かつ多様であり、水深に応じてデータの性質や補間する範囲を吟味し、それぞれの地形に最適な補間方法を検討し、評価する必要がある。
 図24は、補間後の水深データにターゲットの水深データを組み合わせたものである。
 
図24. 補間後のターゲット設置付近の拡大図
(左:最適近似曲面、右:共一次内挿)







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