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4. 地元住民における新駅の需要について
 
 図4-1から分かる通り、新駅周辺住民のうち、8%が毎週何らかの目的で新駅を利用すると回答した。また、全体では7割近い住民が、新駅を利用すると回答した。なお、ここでは、冬季の動向は回答を別として調査した(図4-2)が、特に大きな違いを見ることはできなかった。
 今回の調査が地区住民約1万人のうちの5%(約500人)であることから、ここから、単純に比較した場合ではあるが、地区住民の約8%が日常的(毎週複数回)に新駅を利用したいと回答しているとすると、おおよそ1日800人の乗車客が新駅側で見込まれることとなる。ここに、駅前のまちづくりと併せて周辺地域から巣子駅へ向かう利用者の確保、パークアンドライドなどの推進によって周辺地区や近隣の市町村、路線バス、隣接する駅の利用者からの移行などを加えて、利用者の増加を図ることとなる。
 
図4-1 地元住民における新駅の需要(春・夏・秋)
 
図4-2 地元住民における新駅需要(冬)
 
5. 新駅までの移動手段について
 
 新駅の利用を予定する住民が想定している新駅まで移動手段は、次の図5の通り。徒歩が4割を占め、自転車とバイクが17%と続く。路線バスが約1割となっている一方、自家用車による送迎が12%と、自家用車の運転による新駅へのアクセス(14%)に匹敵する数値となっている。
 これにより、接続するバス路線網の整備などを計画する場合には、自家用車の利用からの転換を図るための利便性の向上、自転車や徒歩といった短距離の足としても利用しやすい環境の整備を検討していくことが必要であるといえる。
 
図5 新駅までの移動手段
 
6. 新駅の利用目的について
 
 新駅の利用を予定する住民が想定している新駅を介した鉄道の利用目的は、図6の通り。飲酒が27%と最も多く、次いで買物、旅行や出張と、実際は事象の発生頻度が低いであろうと思われる内容が上位に見られる。なお、通勤と通学の利用は、全体の16%となっている。
 特に飲酒や娯楽の利用が多いことに着目した場合、飲食店の集中する盛岡市内(盛岡駅)がその起点と捉え、週末を中心に盛岡方面からの深夜便の増発、最終便の繰り下げといった帰りの足の確保を図る施策を打つこと、併せて盛岡方面へ向かう際の行きの足としても利用しやすい環境作りを行なうことなどにより、鉄道の利便性と料金面での優位性をPRすることで、日常的な利用者として取り込むなどの利用促進策も検討できるのではないかと思われる。
 
図6 新駅(鉄道)の利用目的
 
7. 新駅を利用しない理由について
 
 新駅の利用を予定していない住民によるその理由(複数回答可)が、次の図7である。自家用車の優位性を挙げたのが約5割と多く、次いで新駅の立地、到着駅から目的地へ距離と続いていく。新駅より路線バスの優位性を挙げる声も15%見られた。
 自家用車の優位性に対する対処については、新駅の開設と併せて鉄道利用促進施策を展開する中で、いかに自家用車の利用による移動者に鉄道の優位性、利便性などの浸透を図ることができるかどうかがひとつのキーポイントになるものと思われる。
 その他の点についても、鉄道事業者による運行内容の見直し、住民が加わり行政と事業者が一体となった利用促進のPR展開などにより、それらの不便感覚の解消と有効性の周知に取り組むことで、解決を図っていきたい。
 
図7 新駅(鉄道)を利用しない理由







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