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資料2
 
「滝沢村のバス交通等に関するアンケート」
調査結果(概要)
 
 この調査は、バス交通を中心とした公共交通に対する、住民の意見や関心度合いなどを把握するため、平成15年2月に、村内全地区から無作為に抽出した16歳以上の住民、合計1,500人を対象として実施したものである。
 配布および回収については、村の統計調査員を活用し、集計および分析については、岩手県立大学総合政策学部教授の元田良孝先生による指導のもと、同大学生に協力いただいた。また、調査に係る経費については、交通エコロジー・モビリティ財団を通じて日本財団の助成金の一部を活用した。
 アンケートを配布した1,500人のうち、1,189人から回答があり、その回収率については79.3%であった。
 調査結果に一部について、次に紹介する。
 
1. 日常の主な移動手段について
 
 日常の外出の際、最も多く利用する移動手段について、本村全体では、「自家用車」への依存度が圧倒的に高いことが分かり、「自家用車の送迎」の9%を含めると、「自家用車」のシェアが7割程度を占めている。次いで、「路線バス」が13%、「鉄道」が6%、「自転車」が4%と続いている。
 
(1)全体
 
日常の主な移動手段について(N=1189)
 
(2)年代別、地区別
 
日常の主な移動手段について(年代別)
移動手段  年代 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上
路線バス 18.2 11.3 5.2 6.8 15.4 19.1 19.6
福祉バス 0 0 0 0 0 1.9 3.5
会社等の送迎バス 1.1 0.7 0 0.5 0.9 0 0
鉄道 29.5 4.6 2.1 2.4 5.3 7.4 4.9
自家用車の運転 4.5 70.2 82.5 82.6 62.6 41.4 22.4
自家用車の送迎 13.6 5.3 3.6 1.9 6.2 16.0 25.9
タクシー 0 0.7 0.5 0 0.9 1.2 2.8
バイク 2.3 1.3 1.0 0.5 0.9 0.6 0.7
自転車 25.0 2.6 2.1 0 3.5 2.5 4.9
徒歩 1.1 0 0 0.5 0.9 1.2 2.1
その他 0 0.7 0 0.5 0.9 0 0
(単位:%)
 
日常の主な移動手段について(地区別)
移動手段  地区 小岩井 大釜 篠木 大沢 鵜飼 姥屋敷 元村 川前 巣子・長根 一本木 柳沢
路線バス 1.8 2.9 0 8.1 24.6 2.6 15.9 4.4 17.5 13.5 5.0
福祉バス 0 0 0 2.7 0.5 0 0.5 0.6 0 0 10.0
送迎バス 0 0 0 0 0.5 0 0.5 1.1 0 0 0
鉄道 14.5 10.1 15.2 5.4 0 2.6 1.1 23.3 1.0 1.9 5.0
自家用車の運転 69.1 69.6 57.6 54.1 54.3 78.9 57.4 46.1 66.0 65.4 57.5
自家用車の送迎 9.1 5.8 12.1 5.4 7.0 13.2 9.3 9.4 9.7 11.5 20.0
タクシー 0 0 3.0 0 2.5 0 0.3 1.1 1.0 0 0
バイク 1.8 0 0 0 1.0 0 1.1 1.7 0 1.9 0
自転車 0 8.7 12.1 8.1 4.5 0 5.8 2.2 1.9 3.8 0
徒歩 0 0 0 0 0.5 0 1.3 0.6 1.9 0 2.5
その他 0 1.4 0 0 0 0 0 0.6 0 0 0
(単位:%)
 
 年代別では、20〜50歳代の層で「自家用車の運転」、10歳代の層では「鉄道」と「自転車」、高齢者層では「福祉バス」や「タクシー」の利用が他に比べて多い。
 地区別では、路線バスが多数設定されている鵜飼や元村、巣子・長根の各地区は「路線バス」の利用も多く、鉄道駅の立地する小岩井や大釜、篠木、川前の各地区では、「路線バス」に代わり「鉄道」の利用も多く見られる。一方、公共交通機関の不便な山間地区では、姥屋敷と柳沢はともに「自家用車の運転」が多く、柳沢では加えて「自家用車の送迎」や「福祉バス」の利用における比率が他地区に比べて高い。
 このことから、公共交通機関が至便となっている地区では、公共交通機関の利用が浸透していることが分かるが、公共交通機関が不便な地区では、自家用車が中心として利用されており、高齢者などの交通弱者にとっては、外出手段や機会が限られていると思われることが考えられる。
 
2. 日常の主な移動区間について
 
 集計・分析結果について、表に示した。
 
 ※表中数値掲出欄における網掛け部分は、濃色は同一地区内における移動、薄色は平日に相互間を結ぶ定期路線バスが開設されている(H15.10.6現在)区間の移動を示す。
 
(1)全体〔集計・分析表2(1)〕
 
 村内各地区の区分を細分化していることもあるが、本村住民の日常生活における移動の多くは、各居住地と盛岡市中心部の間に見られることが分かった。これは、村民の就業や購買の多数が官公署や事業所、商業施設が多く立地する盛岡市内に依存していることからも分かる。この他、村内各地から盛岡市内の大規模病院やショッピングセンターなどが立地する地区への移動も多く見られた。中でも、鵜飼、元村地区からは、隣接する盛岡市青山・月が丘地区への移動、巣子・長根、川前地区からは、近接する同市みたけ・厨川地区への移動を中心に多く見られた。これらの多くは、日常の生活サイクル上での買物、通院などによるものと考えられる。
 さらに、小岩井、大釜、姥屋敷地区から雫石町、一本木地区から西根町などといった、各地区から商業地などがある隣接の町への移動もそれぞれ見られた。
 村内では、商業地や病院の多い元村、巣子・長根地区へ対して各地区の周辺地区から、役場や総合病院がある鵜飼地区では全村域から、それぞれ移動が多く見られた。
 
(2)日常の路線バス利用者〔集計・分析表2(2)〕
(※「1 日常の主な移動手段について」における、「路線バス」回答者)
 
 主に路線バスを日常の移動手段としている住民の日常における移動の多くは、その居住地区から比較的多くの直通バス路線が設定されている盛岡市内へ向かっていることが分かった。一方、相互間を結ぶバス路線が未発達となっている村内間における移動には、路線バスがあまり利用されていない。
 また、盛岡市上田地区や都南地区など大規模病院が立地している地区へ対しては、直通バス路線が未整備の地区からであっても路線バスを乗り継ぐなどによって、移動を行なっている利用者がいることが分かった。
 このことから、路線バス利用者の多くは、便数の多い直通のバス路線で結ばれている区間の範囲内で移動を行なうこと、逆に乗り換えが生じる区間の移動については、ほとんど路線バスが利用されていないということが考えられる。
 
□村内の地域区分
 
※次頁以降の表における村内各地区の区分については、自治会単位を基本とし、次の通りとした。
 
(拡大画面:457KB)
 
〔集計・分析表2(1)〕
(拡大画面:282KB)
 
〔集計・分析表2(2)〕
(拡大画面:267KB)







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