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最近の造船産業構造の変化に対応した造船技術の共同研究と開発の仕組み及びそのあり方

 事業名 造船技術研究開発課題の調査
 団体名 日本造船研究協会 注目度注目度5


第2部:海洋資源
分野4-海洋エネルギー
序論
 漁業および運輸のような伝統的な活動と比較して、海洋から重要なエネルギー源を手に入れることは、非常に若い活動である。ちょうど高々約50年間の活動でしかない。過去30年間北海における活動は特に胸躍らせるものでありまた大きな報いのあるものである。
 最も一般的な意味において、増大するエネルギーの需要を満足させるため、世界は木から石炭へ、石炭から石油へ、今日では石油からガスへ動いており、明日は、ガスから再生エネルギーへ動くであろう。
 二つの注意がなされなければならない−一つは倫理であり、二つ目は再生可能資源である。
 
1. エネルギー活動は、今や持続可能な開発原理により支配されつつある。これにより経済発展、環境保護および社会的責任が密接に相互に関連されている:[将来の世代の需要を満たすという能力を危うくすることなしに今日の需要を満たすこと]
2. 再生可能資源の現在のブームに関わらず、年率約20%という継続的な更なる開発の結果を持ってしてさえも、現在の総需要の高々約10%を満たすために、再生可能資源は20年以上かかるであろう。
 
 CO2排出に関して最も大きな排出源は石炭の燃焼である。石油は中間的であり、天然ガスはこの点に関しては望ましいエネルギー源である。(即ち、天然ガスによるCO2排出は石炭からの半分である)
 海洋石油およびガス開発産業は、成熟した地域において多大な処理可能な埋蔵を開発してきており、今日、安全性と環境標準を強化する一方、海洋生産のコストを減少することに集中している
 海洋開発産業の活動は、主に新規のより深度のある海域での開拓と開発に焦点が当てられている。北西ヨーロッパ、ブラジル、メキシコ湾、その他、そして−最も重要な西アフリカのもの、重要な深海油田(1000m以上の水深)が最近発見されている。
 今や水深2500mおよびそれ以上に存在する多数の地理学的見込みにより、大深度開発が動機付けられている。今日、55百万Km2の関心のある深水海底のうち、3百万Km2の深水海底が探査されおり、深海海洋石油開発は2010年までに10倍にまで増加するであろう。
 この新規海洋石油生産の大部分は西アフリカから来るに違いない。ここでは、推定される埋蔵量(1997)は、次の二つの大きな地域(米国、ブラジル)を合わせたものと、大雑把に匹敵するといわれている。そこでは、地理的条件は良好であり、また環境条件は北西ヨーロッパに比べはるかに穏やかである。
 沖合炭化水素の探索と生産は、経済的にもまた技術的においても重要な革新を開始したところである:石油会社は、発見から生産までの時間短縮を目的とし、新油田およびガス田の開発の方法を変えつつある。
 船型プラットフォームと潜海技術の展開は、発見から2、3年以内に石油を市場に出すことを目的とし、この改善を助けるものである。
 結果として、特定の油田発見に適用される技術は、もはや特注されたものでなく、船型浮体生産システム(Floating Production System(FPS))を含む、利用できるものの中から選択されるものである。
 結論として、海洋構造物と造船分野は今や、以前より、はるかに近いものであり、そしてこれは新しいかつ主な産業潮流である。
 ガス供給に関する限り、天然ガスはもっとも環境に優しい化石エネルギー源として認められている。天然ガスの世界的需要は過去25年において2倍以上となっており、21世紀の主要な燃料となることが予見されている。新ガス埋蔵の発見がその速度を増していることは、LNG輸送基盤の欠如が善処されれば、連続的かつ急激な市場需要は満足させられることを意味している。今日、世界的に分かっている総ての天然ガス埋蔵量はその50%が手付かずに地中に残されるという推定がなされている。
 このことは、沖合環境下でのLNG輸送および貯蔵技術を採用することとなる。
 この急激に発展しているシナリオにおいて、EUの装置およびサービス産業界にとっての重要な挑戦は、世界中の石油およびガス産業にとって競争力のあるまた技術的に革新的な製品を提供できるようになることである。
 
4.1 炭化水素
 多くの炭化水素開発につきものの不確定性は、深海での冒険的試みにおいても基本的には変わらない。しかし深海海底の地質に関する知識と確信は、成熟した大陸棚および陸上に近い海底のものに匹敵するものではない。深海海洋石油開発は。確かに地球科学における新しい研究を要求するものである。同様なことが深海流体の流れの機構についても云える。現在の深海流体流れの概念は、数十年の歴史はあるが、石油生産者が深海において直面する埋蔵地のタイプのものともはや一致しない。
 これらの問題は沖合海洋開発の範疇をはるかに超すもので、この文書の中では扱わない。しかし、もし海事分野の産業の競争力について注目するならば、深海沖合に関して、次の重要なまた戦略的なR&Dの課題が浮かび上がってくる:
●深海技術と作業
●海中技術
●ガス連鎖最適化
 
4.1.1 深海炭化水素エネルギー開発
 鍵となる重要なことは、産業が主な問題に付きよりクリーンで安全な技術を提供することである。これらは、それぞれ次に述べられている:
●環境条件:設計の観点における波浪、潮流と風の累積的作用、および浮体および付属するライザーと係留ラインの相互作用の分析。深海における給水柱に特別の留意がなされなければならない。
●測地的深海底位置決めシステム。
●正確な現場評価、海事生態系分析、開発事業計画の環境影響のシミュレーションと最小化。深海の周辺および濁度の研究のための高度調査技術、海底地質の性質および危険性の明確化。深海底が、ある場所においては作業を妨げるかもしれないような極端な性質を示し得るということが次第に明らかになっている:不安定斜面、乱れた潮流、高速密度水、内部波および海底流がこの状況の原因になる。このことは、深海井の場所の選択の前に慎重な調査が必要であり、そして地球物理学的および地質学的調査能力における新しい需要を提示する。
●低環境影響掘削および生産技術:縮小した設置面積および多角的油田、掘削装置による環境影響の削減。
●有害物質の排出の最小化:水、ガスおよび掘削処理物、漏油の防止と処理、掘削泥の改善
●有害ガス排出を最小化すること:非ガス燃焼、パイプラインのメタン漏洩の最小化、CO2および他の温室ガス排出の削減
●現存の沖合設置構造物の撤去/再利用および100%撤去あるいは再使用できる新世代の沖合構造物
 
 炭化水素埋蔵の効果的開発は、危険、不確定性および開発と生産の費用の減少および回収率の増加により達成されるであろう。
●海底地震手法を含む高分解能多次元および多成分地震工学技術。深海の沖合においては、伝統的な作業以上に、石油生産者は非計画的保守から計画的保守に移行することを望んでいる。4D/4C地震像は、生産している油田地帯の流体の動きをモニターするために重要である。この技術は、その潜在能力一杯までには、まだ開発されていない:1000mあるいはそれ以上の水深での地震信号を記録すること、さらに加えて、受信機の配置という問題は克服されているどころではない。
●より良い貯蔵施設およびモデリング技術
●相互的地質学的掘削、知能化油井、インテリジェント工事進行システム
●貯蔵施設モニタリング
●IORおよびEOR技術
●新しいそしてより効率的な沖合生産施設、TLP、FSOおよびFPSO等を含む。
●新流体装置、多層流技術、ダウンホールおよび海底ポンプ、分離装置を含む。
●ガス処理、沖合処理(分離、リサイクリング、生産)
 
4.1.2 新世代生産システム
 海洋技術が、新海域HC埋蔵の開発のために、発展されねばならないであろう。
 新世代の浮体装置が、経済的、効率的かつ環境に優しい深海域での操業のために必要である。それは次のものを包含している:
●生産技術の海洋化
●掘削と生産試行を行なうことの出来る新形式掘削船とプラットフォーム
●新形式支援船
●位置決め技術(アンカーリング、係留およびダイナミックポジショニング)
●現実的海洋下条件における動的挙動を考慮した、新ライザーおよび非ライザー技術、ライザーおよび流れ管技術;油井管の生産性の保存のための技術:蝋およびハイドレート形成
●ROVs(Remote Operated Vehicles)。遠隔操作あるいは海中生産ユニットのモニタリングのための新技術。(音響通信、新命綱方式、その他)
●海中およびダウンホール水分離と再注入
●深海作業後方支援技術
●浮体施設上のLNGおよび浮体施設上でのガス液化調整のようなガス連鎖最適化のための新技術
●沖合陸揚げ貯蔵および蒸発化ターミナルの新概念の開発
●ハイドレート化抑制
 
4.1.3 ガス連鎖の最適化
 主要な目的は、消費者市場に近く、天然ガスを持ってくることである。
 電力生産のような、複合サイクルを使っている新しい市場の開発に押され、化石燃料の中で、最も汚染が少ない天然ガスの定常的な需要の増加が今後来るものと思われている。
 天然ガスの新しい方式による調整、輸送および貯蔵が必要とされている。
 戦略的開発が次において為されなければならないであろう:
●ガス変換工程。“メタンからの液体”変換は、硫黄フリーおよび固体粒子無しの完全なディーゼル燃料を製造することが出来るということが、留意されなければならない。これは、環境性能を改善するため現行のディーゼル燃料への添加物としても使用できる。この点において、研究は、主に沖合で使用するための効果的、コンパクトでかつ安全なガスから液体変換モジュールとシステムの開発に焦点を当てなければならない。
●高圧力パイプライン
●LNG連鎖におけるコスト削減
 
4.1.4 情報通信技術の応用
 石油とガスの分野においてシミュレーションは広く使われる。
 シミュレーションコードがますます並行処理コンピュータに移植されている。
●3-D石油埋蔵シミュレーション
●被害最小化のための3-Dガス爆発シミュレーション
●地震データ外挿による油井発見
●船体−波浪誘起荷重仮想現実および深海作業シミュレーション
 
4.2 海洋再利用エネルギー
 長期的展望において、世界的規模での産業および発展途上国におけるエネルギーの増大する必要性は、公害物質およびCO2排出の必要とされる削減と関連して、総ての可能な再生可能エネルギー資源によってのみ達成され得る。
 再生可能海洋エネルギー源は、世界的に最大のエネルギー潜在力を提供し、先進産業国および発展途上国の両方において使用され得る。これは長期的視点において、特別の注目に値することである。
 再生可能海洋エネルギー利用は、異なるエネルギー源(海洋熱エネルギー、波浪/潮流エネルギー、太陽および風エネルギー)、また多角的エネルギ潜在力(電気、水素)と淡水、海産物、バイオマス製品および特別な物質の加工に関する潜在力等、を結びつける統合化エネルギー源の確立を考慮に入れることである。そのような組み合わせは、海洋エネルギー再使用可能資源を最大限に商業的に利用するに際し、経済的損益分岐点をより早く達成する機会をあたえる。
 海洋再生可能エネルギー(風エネルギー、波浪エネルギー、海洋熱エネルギー、潮流エネルギー)を変換する基本的原理は、幾つかの実証施設によって明らかにされてはいる。しかし特に将来における海洋エネルギー源の本格的な利用のための商業的規模のプラントに関連しては、高い商業的および技術的リスクがまだ存在している。これらの資源の将来開発は、更なる基本的R&Dおよび実証の活動を必要とする。
 風エネルギー変換技術は、陸上では、新しい市場の立場に達している。今日、水力発電技術を別として、これは再生可能エネルギー源に対するもっとも進歩した変換技術である。この技術を、多大な風エネルギー潜在力を与えるという海上沖合に展開することは、最も可能性のあることである。
 
4.2.1 海洋風エネルギーシステム
 コスト削減潜在力は特に重要であり、また将来において大規模風力基地を設置することを容易にするものである。
 この目的を達成するため、エンジニアリング研究の分野は次のものを含む:
●風資源評価
●風タービンの大型化
●基礎
●設置の後方支援
●保守
 
4.2.2 海流、潮流、および新しい海のエネルギー
欧州海岸線に沿う適切な場所の評価
 海洋および潮流資源については、最も見込みのある場所が存在している。これはノルウェー、英国、アイルランド、ギリシャ、フランスおよびイタリアにとり特に関心があるものである。そのような多くの場所は、欧州の非開発地域に隣接していることが明らかになっており、地域的エネルギー供給は地域網を強化することを推し進めるとともに経済発展に有益であろう。
 
パイロットシステム
 典型的な北欧また南欧の場所に適用するために、特定な場所に対して、詳細な流れの計測、海底地形および土質の分析を含んで、最適設計を確認し、概略設計を行なうこと。
 更なる詳細エンジニアリング研究のための鍵となる分野はつぎのものを含む:
●ローターの形式を含むシステム配置およびモデル試験によるシステムの最適化
●フェール−セイフシステムの研究と開発において支援となる計算機シミュレーション
●コスト削減
●設置、運転および保守のための工程と技術
●フェール−セーフな自動制御システム







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更新日: 2019年8月10日

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