日本財団 図書館


別添3
中国の大学からの声
■清華大学 図書館 孟 艶華
 ご寄贈いただいた図書の中の芸術類の図書は、清華大学美術学院の教師にとって非常に参考書として活用されております。その中に一部は専門科目の教育に直接に関連性があり、一部は資料価値が高いものです。これらの芸術類の図書は日本の文化を理解するために非常に役に立つもので、直接な文化交流だと読者達は語っています。
 美術学院教師の図書の利用状況について下記のようにご報告致します。
 寄贈してくださった芸術類の図書は大体下記のように分類できます。
1. 芸術家の作品の絵画集
 「島田正治墨画集」、「室越健美画集」、「金森宰司画集」、「松村公嗣画集」、「中堀慎治画集」、「上村淳之画集」、「大矢英雄画集」等は、現代日本の芸術家と芸術家達の作品を紹介されています。これらの作品を通じて清華大学美術学院の教師は、日本の芸術家のそれぞれの芸術風格を理解することができます。例えば、島田正治の焦墨を主とする水墨画の風景と建築は、東方の水墨画に西洋のある種の造型手法を取り入れた作品です。金森宰司の油絵の夸張的な造型は、外国の景色と情緒を表現し、施されている色彩に異国情緒が溢れています。室越健美の作品は、現代的抽象主義の方法で世界を観察し、感情を表現しています。大矢英雄の超写実主義の肖像画は、非常に高い絵描きのテクニックで描写される女性肖像画は非常に細緻です。中堀慎治の人物画は、女性の感情世界をよく表現しています。上村淳之の密画で描写した鶏は、画家の自然、動物に対する優しい心情を表現しています。松村公嗣の作品はとても幅広いものです。奔放的なチベット風景と人物でも細緻な人物と花鳥でも芸術の真実な内容を表現しています。これらの日本の芸術家の作品に具現されている芸術家達の勤勉さと執着さ及び芸術を求める精神と豊富多様な表現技法も非常に貴重なもので、各国の芸術家が学ばなければならないものだと思います。
 「目と手で楽しむ絵本集 絵本と遊ぼう」の一冊には、児童の心理的成長に合わせて楽しく読書しているうちに自然に知識を吸収し、風格多様な良い児童図書です。日本の児童図書の著作者の素晴らしい功績に対する尊敬の意が湧いて止みません。
2. 芸術史、文物写真集
 寄贈図書の中に芸術史と文物写真集については研究価値が非常に高いものであります。例えば「大英博物館古代エジプト展」は、古代エジプト並びに古代エジプトの芸術珍品に関する詳細な資料を提供してくれました。「聖地 日光の至宝」は、全面的に日本における著名な仏教の聖地日光山の古代建築、文物、神話、信仰の由来を紹介しています。「大名茶人 松平不昧展」は、松平不昧という歴史人物を紹介していると共に、日本の茶文化並びに日本のそれぞれの歴史段階における経済、文化、芸術、民俗等を紹介しています。『HUDSONS HISTORIC HOUSES AND GARDENS』は、欧州史上における著名な建築と室内装飾を紹介しています。この本は、観光ガイドブックで、古代欧州社会生活の真実を理解するガイドブックでもあります。芸術とデザインの歴史を理解するための直観的な教科書でもあります。これらの本は綺麗な写真と詳細な文字説明により美術学院の教師にとって非常に貴重な講義の参考書です。大学の芸術専門教育において世界各国の芸術の歴史と伝統に対する研究において非常に重要な側面で、歴史と伝統に関する堅実な基礎は、芸術家と芸術デザイナーにとって重要な素養です。美術学院の教師達自身もこれらの基礎知識の蓄積を重視しています。従ってこれらの良質な画集は、美術学院の教師達にとって非常に有益なものです。
 その他に、[浮世絵今昔]は、世界的に有名な日本の浮世絵の歴史、製作技術、各歴史時期における特徴、現代の浮世絵作品を紹介しています。[芸大美術館所蔵名品展]は、日本の古代画から現代の油絵、彫刻、古今の陶磁器、漆工芸、金属工芸、蝋染め等を紹介しています。これら非常に専門的な内容は、清華大学美術学院の専攻方向とぴったり合致しており、画集の細緻な絵画と文字は、美術学院の教師の教学と研究にとって非常に参考になるものです。
3. 内容豊富な撮影集
 撮影関係の本は、ジャンルが広いものであります。例えば民間工芸、実用美術を紹介する『ARTESANIA POPULAR DE ESPANA』、日本独特の食文化を紹介する[新横浜ラーメン博物館]等の本、そして世界各国の国民が自然と闘いながらの生存状況を反映する「GREET RIVERS OF THE WORLD グレードリバー」、生活の中における多くの感動的な瞬間を展示される「Frends Japanese and Tennessans」、これらを読んで視野が広げられます。数多くの素晴らしい撮影作品は、非常に芸術性と鑑賞価値が高く、これらの撮影作品から見られる自然と社会生活の場面は美術学院の教師の感情世界を豊富にし、彼らの芸術的霊感を高めることができます。
4. 技法書
 「かこう英子手芸全科」「フラワー手芸百科」は、日常生活においてよく使われる手芸のテクニックを詳細に紹介されており、実用価値が高いものです。
 
 芸術は、豊かな想像力を必要としています。そのために各方面からの栄養素を取り入れなければなりません。当今のような高度に発達している情報社会においても、美術学院の教師達は、依然として文化内容が豊かで、高度な芸術価値を有する書籍を重宝しています。
 そのために、美術学院の教師達から清華大学の図書館を通じて貴協会に心からの感謝を是非伝えてほしいと依頼されています。良質な図書の寄贈、これらの図書を寄付する日本の団体と個人、これらの寄贈図書を順調に清華大学図書館に運ぶために苦労し、尽力された貴協会のすべての職員に感謝の意を表したいと思います。
 
■南京大学 日本語専攻院生 劉 恋
 私の大学−南京大学には日本文化図書館というのがあります。文科楼の一階にあって、中日文化研究センターに附属しています。2001年12月7日創立してから今まで2年4ヶ月が経ちましたが、利用者数は約2000人に至っているそうです。スペースがあまり大きくないのですが、書籍の保存環境がよく、管理システムかネットワーク化されて、日本の資料や文献などの調べには大変便利です。管理人の方もとても親切で真面目で、われわれ南京大学学内及び学外の利用者に大変高評されています。
 南京大学にはもともと大きい図書館があって、そっちのほうが広くて、蔵書も多いのですが、しかし日本に関しての資料や文献が割合に少なく、それと分類のほうも中国書と一緒に混ぜているから、使いにくいし、またわたしのような日本文化を勉強・研究しているものにとってはちょっともの足りない気がします。ですから、日本文化図書館という専門の図書館ができてから、われわれは本当に大いに助かっています。今では、日本文化図書館の蔵書はもう2万冊を越え、またその数は今も絶えずに増えているところです。大学の購入の書籍はもとより、日本の友人の方々からの協力も忘れられないことです。日本科学協会、日本国際交流基金、東京大学、京都仏教大学、講談社を初めとするたくさんの大学や友好団体が不定期的に大量の書籍を贈呈してくださいました。
 日本文化図書館は蔵書数が多い上に、歴史・政治・文学・経済・社会・哲学・宗教など多くの分野にわたって、古い時代のものがあれば新しい時代のものもそろっています。これは、われわれ読者にとってとても大変ありがたいことです。また、日本文化図書館には、今世界中に多大な関心を示されたホットポイントに関する書籍もたくさんあります。例えば、グローバリゼーションにおける環境問題や老人問題などです。私は今南京大学日本語学科で修士課程を勉強していますが、大学四年間も同じ学科で過ごしました。学部時代の卒論を書いたとき、日本の高齢化問題について資料を調べるために、よくこの図書館で本を借りていました。今は、文学史・文学鑑賞・日本文化概論や日本史などの講義のレポートを準備するのに、また論文の素材を探すにも、この図書館を使っています。普通に入手できない資料もこの図書館で入手したりしています。
 
■江南大学 図書館
 当図書館は、対外文化交流を重視しています。多くの機関との間に文献資源の共有という固定な交流関係を確立しており、そして他の図書館とも幅広く学術研究を進め、人類知識の共有と文献資源の相互利用等に取り込んでいます。近年、一部の機関と外国の友人のサポートを得てアジア基金会、中米の架け橋、日本科学協会等の機関からも図書を受贈しています。特に2000年以来、日本科学協会から9回も寄贈してくださった図書とジャーナルは、35,700冊以上であります。寄贈図書とジャーナルの分野がさまざまで内容が豊富です。中に一部の図書とジャーナルは最近出版された学術的価値が高いものもあり、総合大学の各学科の教師と学生に喜ばれております。寄贈図書の利用状況は下記のとおりです。
 「Science」、「Nature」、「Chemistry Letters」、「Analytical Chemistry」、「Langmuir」、「Cell」、「The Journal of Biological Chemistry」、「Journal of Molecular Biology」、「Microbiology」、「Journal of Bacteriology」等多くのジャーナルは、閲覧室に開架され、多くの購読者に愛用されています。利用量が多くすでに固定の読者群が形成されています。
 『毎日新聞』、『朝日新聞』、『日本経済新聞』の三大新聞の縮刷版は、中国国内の教師と学生にとって最近の日本社会の状況を理解し、日本の社会、文化、経済の発展を研究するための参考価値の高い新聞であります。
 そして社会科学分野の読物、語学類の読物は、持に日本語を専攻している読者にとって役に立つものであり、日本語の書籍は特に日本語の愛好者に喜ばれています。
 より多くの読者に日本語版の文献を理解し、利用していただくためには、図書館は数回にわたって「日本語文献の検索と利用」と題するシリーズ講座を開設しました。同講座に参加したのは、教師、博士課程と修士課程の学生及び学部の学生であります。彼らは、日本語を勉強する意欲が非常に高く、日本語版の図書とジャーナルに対する需要が高まっています。日中友好団体の文化交流のルートを通じて研究のための必要な文献をより多く獲得してほしいと語っています。
 
■吉林大学 図書館
 日本科学協会の寄贈図書は読者と対面されてから、幅広い読者層からの注目を集めております。吉林大学北東アジア研究院は、日本問題を研究している教師、博士課程と修士課程の学生、外国語学院と経済管理学院並びにその他の学院(学部)の専門家と学者並びに学生達は、日本科学協会寄贈図書とジャーナルの主要利用者です。
 近年、吉林大学の日本問題を研究している学者達は、国家級、省(部)級の研究課題に取り込んでいる過程において文化という視点から問題の実質を追及する傾向があって寄贈図書の中の文化類の図書とジャーナルは愛読されております。具体的に「文化と伝統」、「文化批判としての人類学」、「型の日本文化」、「比較文化」、「日本と東洋文化」、「罪と罰の法文化史」、「文化の新しい歴史学」、「歴史・文化・表象」等は比較的に購読率が高いです。
 政治、法律類の図書とジャーナルに対する需要も比較的に多いです。吉林大学の研究者達は日本の社会思想、時代的理念、大衆心理、民族感情等におけるここ十数年来の変化に対して濃厚な興味を持っております。冷戦後における与野党をはじめ、各政治力の増大と減少、分化、再編、交替を含む日本の政治体制の変化に注目していると共に、日本の政局の動揺、将来の発展方向、小泉政治改革のプロセス、日本の国際関係と国際戦略、中日関係のホットポイント等にも多くの関心を寄せています。寄贈図書の中には特に愛読されているのは、「大国の興亡」、「日本人の国際化」、「誤解される日本人」、「日本人の論点」、「日本存亡のとき」、「日米関係のグローバリゼーション−−協力と摩擦の構図」、「アジアはどう変わるか」、「文明の帝国」、「アジア新潮流」、「近代日本の政治文化と象徴」、「北東アジアの新風―環日本海新時代の原点をさぐる」、「日本人の選挙行動」、「日本人の可能性と限界」、「日本官僚事情」、「現代行政と官僚制度」、「市民生活と自治体責任」、「市民文化と文化行政」、「北東における日本と中国」、「海洋島嶼国家の原像」、「太平洋の世紀」、「国際化時代に生きる日本人」、「2000年の世界と日本」、「小泉純一郎と田中真紀子」、「2001繁栄の選択衰退の行方」、「アジア太平洋共同体」、「アジアの時代−日本の孤立は避けられる」、「冷戦後の世界と日本」、「アジアの安全保障 80-90年」、「日本―その姿と心」、「日本のアイデンティティー−西洋でも東洋でもない日本」等です。
 日本経済に関する研究課題は、従来から吉林大学の研究活動の重点で、優位性を持つ学科の一つです。従来から学者達の関心を引き、衰えない課題は、20世紀90年代日本経済の停滞、近年の蘇生、産業のレベルアップと産業移転、ビッグバン、環渤海経済圏、東亜経済の一体化、日本とASEANのFTA、中日間の貿易摩擦と知的所有権の保護等です。これらの研究によく購読される本は、「日本企業のアジア戦略」、「アジア太平洋新論」、「アジアの発展とリスク」、「21世紀、中小企業はどうなるか」、「東アジアの奇跡―経済成長と政府の役割」、「人間化の経営学」、「本の企業システム」、「21世紀型企業」、「アジア経済論」、「ベンチャー経営の基本戦略」、「アジアの財閥と企業」、「東アジアの構造調整」、「東アジアの国際交流と経済発展」、「日本経済の大逆流―円安と金融破綻が襲う」等です。
 社会学の関わる分野は、比較的に広く、吉林大学の社会科学研究における従来からの重点領域の一つです。寄贈図書には、社会発展、社会構造、社会生活、社会問題に関する図書、管理学、人口老齢化、社会保険と社会福祉、資源と環境、都市と農村等のジャンルの図書とジャーナルの購読者が多いです。購読率の高い図書は、「人類の滅亡と文明の崩壊の回避」、「日本人口の転換構造」、「現代の人口問題」、「人口都市化の理論と分析」、「新しい都市経営の方向」、「明日の都市」、「都市経営論・序説」、「都市への警告」、「現代大都市の問題」、「日本の都市政策」、「国際化時代の都市と農村」、「現代都市論」、「都市の精神」、「人口流動の地域構造」、「町内会と地域集団」、「アジアの地域と社会」、「地球都市」、「人間と都市環境」、「地球は復讐する」、「破滅予測の限界」、「未来地球からのソール」、「当世もののけ生態学」等です。
 語学類の図書とジャーナルは、外国語学院、文学院の語学専門の教師と学生に愛読されております。ただし語学類の図書とジャーナルは数量的には比較的に少ないです。文学類の図書とジャーナルの購読者は、主に外国語を専攻している学部生ですが、文科系、理科系における外国語レベルの高い学生もいます。
 自然科学というジャンルの図書とジャーナルの利用者は、主に理科系各学院(学部)の教師と学生です。とりわけ、コンピュータ、ネットワーク、通信、電子、生命科学、バイオテクノロジー、ナノテク、新材料等を含むフロンティア学科、ハイテク・ニューテク、先端技術に関する図書とジャーナルは愛読されております。
 
■吉林大学 経済学院 助教授 経済学博士 田 中景
 日本語を第一外国語として勉強しております。研究方向は、世界経済と日本経済です。吉林大学図書館に寄贈いただいた日本語版の図書は大変助かっております。
 私は、「国有企業の改革の鏡−日本の経験と教訓」(中国経済出版社、2003年1月出版)、「日本経済−過去、現状、将来」(中国経済出版社、2004年1月に出版の予定)の2冊の本を作成していた過程において、寄贈図書は大いに参考になりました。具体的に『日本の公企業』(独占分析研究会編)、「金融大国日本の凋落−岐路に立つ邦銀の国際化戦略」(太田康夫)、「公的規制の経済学」(植草益)、「戦後50年の日本経済」(勝又寿良)、「戦後日本経済躍進の根本要因」(高橋亀吉)、「日本の難問」(佐和隆光)等を参考にしました。







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