日本財団 図書館


(23)繰返し大変形下の円筒形タンク底隅角部の簡易強度評価法
―極低サイクル疲労き裂成長の簡易評価法―
山下洋一、鳥越雅喜、茨田高志(IHI)
 
 地震時の大変形繰返しによる地上式円筒形タンク底隅角部の溶接ビード止端からの極低サイクル疲労き裂の成長を簡易に評価する手法を提案した。タンク底隅角部を模擬したL形溶接継手試験体の変位制御曲げ疲労試験を行い、極低サイクル疲労き裂の成長を測定した。FEM解析により得た隅角部に存在する亀裂モデルの全面塑性解をもとに定式化をはかり、J積分範囲、荷重点変位の簡易予測式を作成した。それらに基づいて円筒形タンクの2次元軸対称シェルFEM解析から得られる地震時応答変位レベルを考慮に入れることにより、隅角部の荷重・荷重点変位関係を計算しながらき裂成長解析を実施することが可能となった。そして、提案手法により、隅角部モデル試験の極低サイクル疲労亀裂成長特性を簡易に評価できることを示した。
 
隅角部き裂モデル
 
 
亀裂成長解析結果と試験結果
 
寺崎俊夫、山川大祐(九州工大)
 
 本報告はレーザ溶接による仮付け位置が明確な1層1パスの突合せ溶接の実験値と突合せ溶接をモデル化する数値解析手法を報告している。1層1パスで行う突合せ溶接は溶着金属の付与および仮付け溶融を考慮しなければ、数値解析により精度良く溶接変形を推定できない。
 図は要素分割および数値解析のモデル化により数値解析した計算結果と実験値を示している。横軸のx=536の位置では熱源前方の仮付けが降伏した時であり、その後の回転変形の影響が横収縮分布に現れている。
 
突合せ継手に生じる横収縮分布の実験値と
計算値の比較
 
奥本泰久、山本由加里(近畿大学)
 
 ブロックの建造スケジュールは組立、艤装、塗装の各工程を考慮し、それぞれについて作業量が平滑化される様計画されるのが望ましい。そこでこれらを考えてスケジューリングできるよう、最適化手法の1つであるタブー探索法を用いてブロックの投入順序の最適化を行った。また、タブー探索法がより有用であることを証明するために、最適化手法の1つであるバックトラック法と比較し検討した。その結果、組合せ数が多くなるにしたがってタブー探索法のほうが計算時間が短縮され、比較的最適値に近い値を導き出すことができた。
 
Calculation results by tabu search method
 
奥本泰久、藤岡慎治(近畿大学)
 
 管加工専門工場を取り上げ、管ユニットを効率よく大量生産するための最適投入計画について、分枝限定法とタブー探索法を併用し検討した。実際の工場では作業時間にばらつきがあるため、本論文は、ファジィスケジューリングの手法を取り入れ、納期と全体の作業完了時間を定式化し、作業完了に対する信頼度を求めた。その結果、最適投入計画では大量の組合せに対する最適投入順序が計算でき、納期とストック数の更なる改善が計れた。さらに、ファジィスケジューリングの手法を応用することによって、納期に対する作業信頼度が計算され上記の信頼性が高いことを立証した。
 
ファジィ納期とファジィ作業完了時間
 
(27)Sequential方式によるバラスト洋上交換の数値シミュレーション
―ばら積み貨物船横揺れ時の検討―
荒井誠、H.S.Makiyama(横浜国大)、
新郷将司(造技センター)
 
 バラスト水に含まれる海洋生物によるバラスト水移動先の生態系破壊が、新たな国際的海洋汚染問題として注目されている。Sequential法による洋上バラスト交換はこの問題を解決するための有力な方法であるが、バラスト水を一旦排出して新しい海水と入れ替えるというオペレーションを要するため、容積の大きいばら積み貨物船のバラストタンク等ではスロッシングの発生が懸念されている。本報では、著者らが開発したスロッシングの数値計算法を用いてバラスト洋上交換時の船体横揺れに対するスロッシング応答シミュレーションを行い、タンク天井に発生する衝撃圧力等を検討した結果を示す。
 
ケープ型ばら積み貨物船のトップサイドタンク下面に
発生する衝撃圧時系列計算結果(排水時間4時間の場合)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION