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(3)参加機関
 参加機関は、(1)項で述べたように流災協及び港災協及び関係団体の32団体であり、各協会の参加機関数は次のとおりである。
・第四管区海上保安本部
・伊勢湾流出油災害対策協議会 ⇒ 17機関
・四日市港湾災害対策協議会 ⇒ 13機関
・その他⇒海上災害防止センター、石油連盟
(4)訓練参加船艇および航空機
 訓練に参加した船艇は34隻、航空機5機であり、各機関の所属船艇数及び航空機数は次のとおりである。
 
・第四管区海上保安部⇒航空機2機
・流災協 ⇒ 船舶15隻
・港災協 ⇒ 船舶11隻
・三重県警察本部 ⇒ 航空機1機
・愛知県警察本部 ⇒ 航空機1機
・三重県警察本部所属 ⇒ 航空機1機
(5)訓練参加総人員
 訓練参加総人員は約280名である。
 
 以上に記載された流出油防除訓練に対し、当センター職員は後で述べる想定4、5、6の訓練に参加した。
 
2 訓練シナリオ
(1)想定4(航海禁止措置)
 
1020 想定4 発動
 航空機による調査の結果、流出油はA号破口部から風下側に拡散浮流している。被害の拡大も予想されることから、第四管区海上保安本部に「伊勢湾流出油災害対策協議会」の出動を要請した。
 四日市海上保安部長は、港災協連絡調整本部長兼流災協現場指揮官として指揮を執る。
 
1022 四日市港湾災害対策協議会・現場連絡本部員は、大量流出油事故対策本部(巡視船みずほ現場本部)に集合
 
1025 大量の原油が流出し、今後流出油防除にかかる作業に必要なため、海防法42条の8の規定に基づき、A号を中心とする半径1,500m以内を航泊禁止とした。警戒船「さるびあ」、「あらしま」、「あいち」が付近船舶に対し航泊禁止措置の周知にあたる。
 
 想定4における警戒船、航空機等の配備状況を図VII-2.2に示す。
 
図VII-2.2 想定4における警戒船、航空機等の配備状況
囲い線部分が想定4の警戒船等
 
(2)想定5(1次オイルフェンス展張及び浮流油の回収等)
 
1030 想定5 発動
 A号の損傷は左舷喫水線付近の4番タンクのみであり、同タンクからの原油の流出は止まっているが、流出量は約1,000キロリットルと推定される。
 
 「諏訪丸」、「春日丸」によりローブーム1800を1次オイルフェンスとしてA号船尾側に250m待ち受け展張。
 「椿丸」が、A号と1次オイルフェンス間の浮流油をデスミコンビネーションスキマーにて回収。
 「かすみ」が油吸着マットにて回収。
 
 想定5における作業船舶等の配備状況を図VII-2.3に示す。
 
図VII-2.3 想定5における作業船舶等の配備状況
 
(3)想定6(2次オイルフェンスの展張、浮流油の回収及び放水拡散処理)
1042 想定6 発動
 A号付近に展張した1次オイルフェンスから原油が漏れ出し、風下側の沿岸に流れつつある。漂流予測によれば、沿岸に漂着するおそれがある。
 
1042 「さつき」、「第3鈴鹿丸」によりB型オイルフェンスを2次オイルフェンスとして、1次オイルフェンスの外側100mに300m待ち受け展張。
 「白龍」、「ちた」は1次・2次オイルフェンス間の浮流油を油吸着マットにて回収。「しらとり」は、1次オイルフェンス東側に拡散した濃い部分の残存浮流油をシクロネにより回収。
 「だいおう」、「あさくら」は、1次オイルフェンス西側に拡散した濃い部分の残存浮流油を、短型オイルフェンスを展張のうえ、フォイレックスミニスキマーにより回収。
「しらいと」、「あさかぜ」、「しょうりゅう」、「ちとせ丸」、「にしな」、「とば丸」、「末広丸」、による放水拡散処理実施。
1107 訓練終了
 
 想定6における作業船舶等の配備状況を図VII-2.4に示す。
 
図VII-2.4 想定6における作業船舶等の配備状況
 
3 想定6における防災船「だいおう」の油回収訓練
 国内の油防除訓練の第1回目の調査として、集油オイルフェンス(海上災害防止センターとブリジストン(株)との共同開発)と油回収装置(FOILEX TDS200型)との組合せによる油回収訓練の状況を伊勢湾防災株式会社所属の防災船「だいおう」に乗船の許可を得て調査した。
 防災船「だいおう」の外観を写真VII-2.1に示す。
 
(1)油回収訓練の内容
 油回収訓練は、本訓練シナリオの想定6に「A号付近に展張した1次オイルフェンスから流出油が漏れ出し、風下側の沿岸に流れつつある。漂流予測によれば沿岸に漂着するおそれがある。」と流出油の状況が記述されている。
 この流出油に対して、「だいおう」及び「あさくら」は、1次オイルフェンス西側に拡散した濃い部分の残存流出油を、集油オイルフェンスを展張の上、スキマーにより回収する役目となっている。
 「だいおう」は上記の流出油状況及び発動により、油回収を開始した。
(2)防災船「だいおう」の主要目
長さ 45.00m
幅 9.00m
深さ 3.80m
総トン数 299トン
速力 17knot
主機関 ニイガタ 6L28HX型 出力2000PS×750RPM 2基
(3)「だいおう」乗組員及び油防除作業員
だいおう乗組員 5名
油防除作業員 6名
クレーン作業 1名
船首側 ガイド索さばき等 2名 
船尾側 オイルフェンス等投入・揚収 3名
(4)供試資機材
 供試資機材の要目を表VII-2.1に、供試資機材の搭載の状況を写真VII-2.2に示す。







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