VI-2-3 スキマー外部の洗浄方法の検討
スキマー外部の洗浄方法については、ビニールシートの上にスキマー本体を載せて、外部から作業員がスプレーガンにより水又は油の液体を高圧で噴霧させて洗浄するイメージで検討を行った。
VI-2-3-1 外部洗浄用スプレーガンシステムの検討
市販の高圧洗浄機を使用した洗浄効果の試験を行い、外部洗浄用スプレーガンシステムの検討を行った。
1 試験条件
スキマー内部洗浄効果確認試験に同じ。
2 使用資機材
(1)高圧洗浄機 Showa製 KW-156
高圧洗浄機の要目を表VI-2.2に、外観を写真VI-2.11に示す。
(2)試験片(ステンレス板)(試料油塗布用)
(3)試料油(ボンノックM3800)
表VI-2.2 高圧洗浄機の要目
型式 |
Showa製 KW-156 |
電源 |
3相 200V |
最大消費電力 |
3.6KW |
定格電流 |
13A |
噴射圧力 |
15〜150bar |
最大吐出量 |
12l/min |
製品重量 |
35kg |
|
写真VI-2.11 高圧洗浄機の外観
3 試験要領
(1)ステンレス板に試料油(潤滑油ボンノックM3800)を塗布した。
(2)高圧洗浄機から試験片に約60cm離れた距離から20barの噴射圧力で水を噴射して、試料油の洗浄の状況を観測した。
(3)高圧洗浄機から試験片に約5cm離れた距離から150barの噴射圧力で水を噴射して、試料油の洗浄の状況を観測した。
(4)試料油の上に灯油を塗布した後、高圧洗浄機から試験片に約50cm離れた距離から20barの噴射圧力で水を噴射して、試料油の洗浄の状況を観測した。
試料油の洗浄の状況を写真VI-2.12、13に示す。
写真VI-2.12 噴射圧力20barでの噴射
写真VI-2.13 噴射圧力150barでの噴射
4 試験結果
試験結果を、表VI-2.3に示す
表VI-2.3 高圧洗浄機を使用した洗浄効果の試験結果
噴射圧力 (bar) |
灯油の使用 |
噴射種類 |
試料油の洗浄結果 |
20 |
なし |
水 |
洗浄されなかった |
150 |
なし |
水 |
水の圧力により洗浄された |
20 |
汚油にあらかじめ塗布 |
水 |
洗浄された |
|
5 まとめ
当初、スキマー本体外部に直接水を噴射して洗浄効果を調査する予定であったが、洗浄効果を客観的に観察するため、ステンレス板に試料油としてボンノックM3800を塗布した試験片に水を噴射して、その洗浄効果を確認した。
20barの圧力で水を噴射した結果、試験片に付着した試料油を落とすことができなかった。これは、試験片に試料油を塗布してから48時間以上経過していたため、試料油が高粘度となり固く試験片に付着したため、20bar程度の圧力水では剥離しなかった。
次に噴射圧力を高圧洗浄機の最大圧力である150barとして至近距離で水の噴射を行ったところ、水圧により表面の油が剥離するのが観察された。
更に、汚油の表面に灯油を塗った後に20barの圧力で水を噴射したところ、表面の油が簡単に落ちるのが観察された。
以上から、油の粘度が高い場合、水の噴射だけでは油分を落とすことは難しいため、あらかじめ汚れた油面に灯油を塗布した後に水を噴射させて洗浄を行うか、灯油そのものを噴射させて洗浄を行う方法が有効であることが分かった。
油防除作業の終了時にスキマーや移送ホース等を洗浄し、翌日の作業あるいは保管のための保守が必要となる。この洗浄による周辺の汚れが発生する。これを防止するための洗浄受け皿を作製することとした。
1 洗浄受け皿に必要な条件
(1)スキマー本体の他に作業員が数名入って作業ができる広さがあること。
(2)スキマー本体の洗浄に使用した汚水(汚油)をある程度貯めることができる深さであるとともに、受け皿の中に雨合羽を着て長靴を履いた作業員がまたいで楽に入ることができる高さであること。
(3)シート部については、入手が簡単で使い捨てが可能な既存の製品であること。フレームについては、軽量で強度のある材質であること。
(4)現場で使用するために軽量、コンパクトで可搬型であること。
(5)現場で簡単に組み立て使用できること。
2 検討結果
(1)スキマー本体(フォイレックス)の最大幅約2.3m及び作業員数名の作業スペースを考慮して、広さを4m×4mとした。
(2)深さ(高さ)を50cmとした。
(3)シート部については、市販されているブルーシートとした。
フレームについては、耐食性、耐久性などに優れた特性を備えているステンレス鋼を使用した。
(4)フレームとベースを分割式とした。分割後のフレームについては、1個あたりの長さが2m、高さが50cmとなった。
(5)フレームをベースに差し込み、シートを被せるだけで組立が完了する仕様とした。
3 洗浄受け皿の作製結果
|