1 各ノズル数と散布速度−油層厚との関係
(1)ノズル数4個の場合
ノズル数4個で散布を行った場合の特徴は次のとおりである。
1)油層厚約0.12mmまでの油層厚の油に対し、散布速度20ノットで散布率1.5%の散布が可能である。
2)タンク1回分の散布時間は900秒(15分)である。
ノズル数4個の時の油層厚と散布速度との関係を図IV-3.12に示す。
図IV-3.12 ノズル数4個の時の油層厚と散布速度との関係
(2)ノズル数8個の場合
ノズル数8個で散布を行った場合の特徴は次のとおりである。
1)油層厚約0.23mmまでの油層厚の油に対し、散布速度20ノットで散布率1.5%の散布が可能である。
2) タンク1回分の散布時間は463秒(7分43秒)である。
ノズル数8個の時の油層厚と散布速度との関係を図IV-3.13に示す。
図IV-3.13 ノズル数8個の時の油層厚と散布速度との関係
(3)ノズル数16個の場合
ノズル数16個で散布を行った場合の特徴は次のとおりである。
1)20〜30ノットの散布速度で散布する場合、約0.45mmまでの油層厚の油に対して、散布率1.5%以上の散布が可能である。
2)油層厚約0.17mmまでの油に対し、散布速度20ノットで散布率4%の散布が可能である。
3)タンク1回分の散布時間は242秒(約4分)である。
ノズル数16個の時の油層厚と散布速度との関係を図IV-3.14に示す。
図IV-3.14 ノズル数16個の時の油層厚と散布速度との関係
(4)ノズル数24個の場合
ノズル数24個で散布を行った場合の特徴は次のとおりである。
1)20〜30ノットの散布速度で散布する場合、約0.65mmまでの油層厚の油に対して、散布率1.5%以上の散布が可能となる。
2)油層厚約0.25mmまでの油に対し、散布速度20ノットで散布率4%の散布が可能となる。
3)タンク1回分の散布時間は162秒(2分42秒)である。
ノズル数24個の時の油層厚と散布速度との関係を図IV-3.15に示す。
図IV-3.15 ノズル数24個の時の油層厚と散布速度との関係
(5)ノズル数32個の場合
ノズル数32個で散布を行った場合の特徴は次のとおりである。
1)20〜30ノットの散布速度で散布する場合、約0.9mmまでの油層厚の油に対して、散布率1.5%以上の散布が可能となる。
2)油層厚約0.34mmまでの油に対し、散布速度20ノットで散布率4%の散布が可能となる。
3)タンク1回分の散布時間は121秒(約2分)である。
ノズル数32個の時の油層厚と散布速度との関係を図IV-3.16に示す。
6 検討結果と考察
(1)ノズル数4個の場合、計算上では散布速度20ノットで油層厚約0.12mmまでの軽質原油に対応が可能であるが、実際は油層厚が散布粒子径よりも小さいため、散布粒子が油層を突き抜けてしまい、油を分散させることは難しいと考えられる。
(2)ノズル数8個の場合、計算上では散布速度20ノットで油層厚約0.23mmまでの軽質原油に対応が可能であるが、実際は油層厚が散布粒子径よりも小さいため、散布粒子が油層を突き抜けてしまい、油を分散させることは難しいと考えられる。
(3)ノズル数16個の場合、計算上では散布速度20ノットで油層厚約0.45mmまでの軽質原油、油層厚約0.17mmまでの重質原油に対応が可能であるが、実際は油層厚が散布粒子径よりも小さいため、散布粒子が油層を突き抜けてしまい、油を分散させることは難しいと考えられる。
(4)ノズル数24個の場合、計算上では散布速度20ノットで油層厚約0.65mmまでの軽質原油、油層厚約0.25mmまでの重質原油に対応が可能である。重質原油に散布する場合、油層厚が散布粒子径よりも小さいため、散布粒子が油層を突き抜けてしまい、油を分散させることは難しいと考えられる。
(5)ノズル数32個の場合、計算上では散布速度20ノットで油層厚約0.9mmまでの軽質原油、油層厚約0.34mmまでの重質原油に対応が可能である。重質原油に散布する場合、油層厚が散布粒子径よりも小さいため、散布粒子が油層を突き抜けてしまい、油を分散させることは難しいと考えられる。
以上から、幅広い油層厚に対応するのであれば、ノズル数32個で散布するのが、最適であると思われる。
ノズル数と対応可能油層厚との関係を表IV-3.9に示す。
表IV-3.9 ノズル数と対応可能油層厚との関係
ノズル数 |
軽質原油(散布率1.5%) |
重質原油(散布率4%) |
4 |
0.12mm以下 |
- |
8 |
0.23mm以下 |
- |
16 |
0.45mm以下 |
0.17mm以下 |
24 |
0.65mm以下 |
0.25mm以下 |
32 |
0.9mm以下 |
0.34mm以下 |
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