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2-3 木更津地区の概況
(1)自然環境
 1)小櫃川河口干潟(盤洲)
 一般には盤洲、あるいは盤洲干潟として知られている東京湾に現存する最大の干潟であり、河口湿地、前浜干潟、浅瀬から構成される。
 小櫃川河口に存在する河口湿地は、面積約30ヘクタールの三角州からなっている。湿地全体の3分の2が潮間帯であり、ヨシ・アイアシ群落が優占し、汽水性と内湾海洋性両方の底生動物が生息する。前浜干潟は最大干潮時で沖合約1.2kmまで露出する。
 
図2-8 小櫃川河口干潟の概要
出典:沼田眞、風呂田利夫、東京湾の生物誌、築地書館
 
 2)富津岬・富津干潟
 富津岬は、東京湾の内湾と浦賀水道を区分する砂嘴であり、南房総国定公園に指定されている。富津岬の北部には面積約200ヘクタールの富津干潟が広がっており、その沖には東京湾ではほとんど見られなくなった大規模なコアマモ群落が存在する。小糸川に通じる水路と富津漁港への航路で東と西に分断されているが、航路の東西で生物相大きな差はない。2
 
 3)小櫃川
 房総丘陵を源流として君津市、木更津市、袖ヶ浦市を流れる小櫃川は、流域面積273.2km2、流路延長約88kmの2級河川で、千葉県内では利根川に次ぐ流路延長を誇る。流域は多雨地帯に属しており、ほぼ中間地域での年間平均雨量は、約1,880mmとなっている。3
 
図2-9 富津干潟の概要
出典:「調べます!日本全国の干潟:富津干潟」を一部加工
 
 同河川の水は、河口から約10km付近で取水され、市原市、袖ヶ浦市、木更津市、君津市、富津市に住む約30万人の飲料水になるほか、流域2,800haの水田や近郊野菜の農業用水として利用されている。
 
 4)小糸川
 主として君津市内を流下する小糸川は、流域面積142km2、流路延長約280km の2級河川である。河口部は、木更津港君津地区の新日本製鐵専用岸壁と小糸川漁港となっているが、土砂の堆積が多いため新日本製鐵により定期的に航路浚渫が行われている。 4
 
(2)社会環境
 1)概況
 本研究で検討対象とする盤洲干潟を中心とする木更津地区は、千葉県の君津支庁管区であり、袖ヶ浦市、木更津市、君津市、富津市の4市から構成される。
 4市の人口推移を図2-10に示す。これをみると、首都圏から最も離れた富津市は、1975年以降すでに人口は漸減傾向にあるが、その他の3市は1990年までは増加傾向が見られる。1990年代に入ると人口の伸び率は低下し、木更津市は漸減傾向に、君津市も1995年以降は漸減傾向にある。4市の中では唯一袖ヶ浦市が2000年以降も微増ながら増加傾向にある。
 
図2-10 4市の人口推移
資料:
平成14年千葉県統計年鑑
千葉県毎月常住人口調査月報(2003年4月版)
 
 同地区では、平成14年の各市議会の定例会において、4市の合併に関する法定合併協議会の設置が審議されたが、袖ヶ浦市議会において否決されたため、4市合併については白紙状態となっている。
 また、同地区の沿岸部には千葉港と木更津港の港湾区域が設定されているほか、表2-1に示す海岸保全区域や漁港区域(牛込、金田、小糸川、富津)が設定されている。
 
表2-1 木更津地区の海岸保全区域
 
海岸名 地区海岸名 延長(m)
木更津 高須 400
高須1号 1,957
高須2号 1,268
畔戸 4,450
富津 青堀 2,500
北富津 700
合 計 11,275
出典:千葉県君津土木事務所ホームページ
 
 
 以下に、各市の概況を記す。
 
図2-11 木更津地区の概要
 
 (1)袖ヶ浦市
 袖ケ浦市は首都圏から50km圏内に位置し、人口約59,000人、面積約95km2である。臨海部は、かつて浅草ノリの養殖やあさりの産地として、夏には海水浴場として賑わった袖ケ浦海岸が広がっていたが、昭和40年代の埋立事業により自然海岸は姿を消し、現在同市の沿岸部は、すべて千葉港の港湾区域(北袖ヶ浦地区と南袖ヶ浦地区)となっている。造成地には、東京電力の袖ヶ浦火力発電所のほか、石油ガスコンビナート、化学工場等が立地しており、LNG(液化天然ガス)年間受入量は世界一といわれている。
 なお、南袖ヶ浦地区の突端に袖ケ浦海浜公園が整備され、市民の貴重な憩いの場となっている。
 (2)木更津市
 木更津市は古くから海上および陸上交通の要衝として栄えた人口約123,000人、面積140km2の都市である。
 袖ヶ浦市との境界線から小櫃川河口部分までは「1)自然環境」で触れた盤洲が広がっており、その海岸線には、牛込漁港、金田漁港(中島地区・瓜倉地区)の漁港区域が設定されている。また、東京湾の対岸に位置する川崎市川崎区浮島から同市中島を結ぶ東京湾アクアライン(全長15.1km)が平成9年12月に開通した。
 小櫃川河口以南の沿岸部は、木更津港の港湾区域に指定されているが、小櫃川河口と木更津内港の間には陸上自衛隊の木更津駐屯地が存在する。小櫃川河口の北側には、1960年代に建設された工業用水の新日本製鐵が小櫃川の河川水による鉄の冷却試験のために建設した浸透実験池があり、さらにその北側には、2000年7月にオープンした「スパ三日月龍宮城」と2002年7月にオープンした「スパホテル三日月」が立地している。
 (3)君津市
 君津市は4市の中で東京湾と接する海岸線の延長がもっとも短いが、面積は約320km2、と4市中最も広大な面積を誇っている。また、同市には小櫃川・小糸川が流れており、それぞれの上流には亀山ダムと片倉ダム、三島ダムと豊英ダムが存在している。
 かつては約4kmの自然海岸を有していたが、1960年代に埋め立てられて木更津港の君津地区となり、現在は新日本製鐵が立地している。小糸川河口から富津市との境界線の間には小糸川漁港があり、同港の漁港区域が設定されている。
 (4)富津市
 富津市は東京湾内湾の湾口付近に位置する、人口約52,000人、面積約205km2の都市である。
 君津市との境界線から木更津港の港湾区域の南端までは富津地区と呼ばれ、その埋立地の一部には東京電力の富津火力発電所が立地している。また、この地区はリサイクルポートの指定を受け、現在関連企業の誘致が進められている。木更津港富津地区の南側には富津漁港(富津地区)の漁港区域が設定されている。さらにその南側は、南房総国定公園に指定されている富津岬となっている。
 なお、富津漁港付近には若干の放置艇、不法係留等が見られるほか、富津岬周辺海域では近年水上バイクの利用者が目立つようになっている。







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