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(5)バリアフリー化に関する問題点
(1)利用者のニーズの把握
■何らかの形でニーズ把握を行っている事業者は約7割にあたる8事業者。投書箱やホームページ等により定常的に行っているのは、3事業者
 利用者のニーズを把握するために講じている手段としては、「過去に利用者アンケート調査を実施」が3事業者(林田バス、徳之島総合陸運、鹿児島市交通局電車事業課)で最も多く、「車内やターミナルに投書箱を設置」(岩崎バス、徳之島総合陸運)と、「ホームページ上で意見・要望を受け付け」(徳之島総合陸運、鹿児島市交通局バス事業課)が2事業者ずつあった。また「その他」では、鹿児島市交通局電車事業課が、モニター制度により意見・要望を受付けている。
 
図4-3-6
利用者のニーズを把握するために講じている手段(複数回答 n=11)
 
(2)バリアフリー化に関する問題点
■既存車両の改造、新規車両の導入とも困難
 対象路線におけるバリアフリー化に関する問題点として、「現車両の改造は困難であるが、新規車両の購入も今の状況では無理である」(奄美交通)との回答があげられた。
 
(6)今後のバリアフリー化への対応
(1)バリアフリー化に対応した新規車両の導入
 今後、対象路線においてバリアフリー化に対応した車両を導入する計画については、林田バスが2004年度以降に導入を計画している他、鹿児島市交通局バス事業課でも、時期は未定であるが、車両更新時にノンステップバスを導入する計画がある。しかし、これらはいずれも本土での対応であり、離島部では、現在のところ計画は立てられていない。
 
(2)バリアフリー化を進める際の課題
■費用負担に加え、低需要路線での新車投入の困難さ、道路構造上の問題
 対象路線において、今後バリアフリー化を進める際の課題には、ほとんどの事業者が、「バリアフリー化にかかる車両購入費の増加に対する費用負担」をあげた。
 民営と公営にわけて課題をみると、このほかに民営では「他の路線と比較して需要が多いとは言えないため、新車が投入できない」が多く、少ない需要のもとでの新規車両の導入は難しいとしている。一方、公営では「利用者の意向把握、意見調整」が多く、民営と公営の課題に差があることがわかる。
 「その他」の回答からは、「対象路線は山間部走行が多く、低床式車両では運行に支障をきたすと思われる」(奄美交通)や、「県道が改善されること」(徳之島総合陸運)というように、離島内の道路の整備状況が悪い点があげられた。
 
図4-3-7 バリアフリー化を進める際の課題(複数回答 n=11)
 
(7)自由回答
 海上輸送とこれに接続する陸上交通機関の連携したバリアフリー化についての自由意見として、次のようなものがあげられている。
 
・本島と結ぶ船舶航路は週に5便(1日1便)で早朝04時(下り)、夜22時(上り)という時間帯である。4〜5年前まで約2年程、対象路線があったが、利用者がいないため廃止し、現在対象路線はない。(大島運輸)
・大都市部はともかく、地方の路線バス運営は大変厳しく、自前で満足のいくバリアフリー対応をするには限界があると思われる。(桜島町営バス)
・バリアフリー化については、港湾施設関係の建物を一企業にまかせず公共の施設で建築し、考えて欲しい。(まつばんだ交通バス)







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