(4)水密戸開閉装置、自動スプリンクラ装置 水中型ビルジポンプ、退船警報装置へ給電する電路
船舶設備規程 第1種配線工事
保護方法については、(1)〜(2)と同様
規則等の当該用途に対する保護施工要求はない
系統・位置概略 |
保護適用箇所例 |
保護方法 |
具体的保護例 |
備考 |
舵機室への非常照明系統において機関室を回避し暴露部を布設するケース |
暴露部 |
暴露部に金属管及びプルボックスを設けて保護する。 |
写真 5.1.2 b |
第1種配線工事の2項に該当する方法 |
一般的な非常用発電機盤及び非常用照明盤からなる非常用照明系統 |
居住区 |
内張り天井裏に電路を配し隠蔽配線電路とする。 |
写真 5.1.2 h
写真 5.1.2 a |
壁、天井等により隠蔽または、電線ラックを使用することにより布設電線は他動的損傷を受けることがないため、がい装なし電線を使用しても問題ないと判断される。 |
居住区から他の区画への配線 |
電線ラックを使用する。 |
写真 5.1.2 a
写真 5.1.2 o |
非発室からの主電路 |
機関室内の照明配線 |
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所見
第1種配線工事の2項(金属製管を使用する配線工事)に従う工事、天井・壁内張り内による電路の隠蔽、電線ラック・船体構造を利用した電路の保護、2段電路の内側電路使用による保護、局所的なパイプ、金属覆いを用いた保護等の方法を採用することによりがい装なし電線の「非常照明設備への電路」・「外洋航行船の安全上必要な設備への電路」への採用は可能と考える。
動力、照明、船内通信、信号設備
規則等の当該用途に対する保護施工要求はない
系統・位置概略 |
保護適用箇所例 |
保護方法 |
具体的保護例 |
備考 |
動力線配線電路 |
機関室内の立ち上がり電路 |
2段電路の船体構造側に電線を布設する。電線の固縛にはビニル製結束バンドを使用 |
写真 5.1.2 k
写真 5.1.2 p
写真 5.1.2 s |
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動力線の外部配電経路(機関室〜甲板機器) |
配線の仕上がりを設計のうえ、仕上がりに合わせた形状板化された押さえを使用して電線を固定 |
写真 5.1.2 l |
天井面布設電路 |
水、熱の影響を受ける恐れのある箇所 |
電路計画で当該箇所を避けるように計画、やむを得ず布設する場合水の影響をうける箇所にはパイプ等により、熱の影響を受ける箇所には防熱処理を施したパイプ等により保護する。 |
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通常、天井面に布設される電路に関しては他動的損傷は受けないと判断する。 |
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所見
(5)項に同じ。
(a)引火性液体タンク、ポンプ室その他の引火性液体が漏えいし、又は蓄積する恐れがある場所
規則等の要求あり。使用ケーブルの規定は以下のとおり。
船舶設備規程 第1種配線工事、無機物絶縁+金属シースにより保護された電線
NK 無機絶縁銅被、鉛被金属がい装、非金属シース+金属がい装
系統・位置概略 |
保護適用箇所例 |
保護方法 |
具体的保護例 |
備考 |
天井布設電路LPG等のホールドボイドスペース
LNG運搬船 |
安全区域〜危険区域 |
安全区域・危険区域との貫通はコーミングを使用し防火・気密対応のシール材を詰める |
[安全区域]
写真 5.1.2 n
写真 5.1.2 q |
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[危険区域] |
全般 |
極力天井面を布設することで他動的な損傷を避けるよう考慮する。損傷を受ける恐れのある箇所についてはパイプ等により保護する。 |
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所見
当該箇所で使用されるケーブルは規則側よりがい装ケーブルが基本的に要求されている。ただし、当該区画に設けられる電気設備(防爆仕様等)の要求にあうパイプ工事等が可能な場合、通過電線をガス密された電線管、金属ダクト等により布設する場合には、がい装なし電線を使用できると考える。
(b)上甲板上の暴露部に布設する電路
規則等の要求あり。使用ケーブルの規定(7)(a)によるほか、下記の電路規定があり「上甲板に布設する電路は、防食処理した金属製線樋等で保護し、上甲板より離し、かつ、適当に伸縮性を持たせて布設しなければならない。」
所見
当該区画の配線には金属管工事が必要なことにより、適切な電線管及びプルボックスを使用して船体伸縮等も考慮して工事される場合には、がい装なし電線の使用も可能と考える。
(8)車両甲板区域を有する船舶の電路、車両甲板区域内の閉囲された場所及び排気用ダクト内に布設する電路
規則等の明確な要求なし。ケーブルの規定は以下のとおり。
船舶設備規程 明記なし
NK(検査要領) 使用に適したケーブルとは、一般的に無機絶縁銅被、鉛被金
属がい装、非金属シース+金属がい装をいう。
系統・位置概略 |
保護適用箇所例 |
保護方法 |
具体的保護例 |
備考 |
全般 |
天井電路 |
基本的にトレー方式電路をガーダーよりも高い位置に取付けている。 |
写真 5.1.2
e
写真 5.1.2 f |
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照明回路等 |
コンジットパイプ等を使用し船体補強材の内側に取付けている。 |
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全般 |
車両甲板垂直電路 |
鋼板製ダクト内を配線する。 |
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所見
当該箇所で使用されるケーブルは規則側よりがい装ケーブルが基本的に要求されていると判断する。ただし、当該区画に設けられる電気設備(防爆仕様等)の要求にあうパイプ工事等が可能な場合、通過電線をガス密された電線管、金属ダクト等により布設する場合には、がい装なし電線を使用できると考える。
全般を通じた保護工事における注意事項
1. 電線管を使用した保護方法を採用する場合
電線管内布設施工時の電線相互及び金属鋼管との摩擦によるシースの擦過損傷に注意が必要となる。また、電線布設長さが長く成ればなるほど電線自重と電線の引張り強さ(引張り試験WG報告参照)を十分考慮する必要がある。
2. 隠蔽・電線トレー、船体構造物の陰を利用した保護等を採用する場合
船体構造物、ぎ装品、電路材料等の接触する恐れのある箇所へは、接触箇所に鉛やゴム板等を当てたり巻いたりすることで布設工事中及び電線固縛後の電線への損傷を防止する配慮が必要である。
3. いずれの保護工事も施工後は電線の外観検査が困難となり、電線に損傷等があっても発見することが困難なうえ復旧にも苦労するため、工事中にがい装なし電線に損傷等与えないよう十分注意して布設工事を施工する必要がある。
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