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○案件形成事業
調査団名:ベトナム国中南部港湾整備計画調査
対象国:ベトナム
調査分野:港湾
調査期間(日数):15.2.23.〜15.3.4.(10)
 
【調査の概要】
 
 ベトナム国の海運・港湾については、道路等の陸上交通と比べ、整備のための投資は比較的に低水準で推移してきた。現在までに日本のODAは、北部:ハイフォン港(JBIC)、カイラン港(JICA、JBIC)、中部:ダナン港(JICA、JBIC)、南部:カイメップ・チーバイ港(JICA)に限られている。このような状況の中で、今後、同国中南部の海運・港湾の整備に必要なテーマ(検討課題)は以下の分野が考えられる。
1)南部ホーチミン都市圏港湾の再配置、
2)大水深港湾の長期展望、
3)沿岸海運の拡充、
4)地域開発の為の地方中核港湾整備、
5)海運航行安全対策
 これらを踏まえ本調査では、情報の限られている下図に示す中南部の港湾について関係者へのヒアリング、現地踏査、情報・データの収集を行った。
 
 
現況と問題点
●ベトナム政府は、ホーチミン市の都市環境改善策の一環として、2010年までに都市部の既存港湾群を移転・再配置する方針を打ち出した。しかしながら既存港湾群の中核であるサイゴン港が1999年まで、ADB資金(30 Mil. USD)による荷役効率・施設改善事業を実施していること、港湾群の一部は軍部の管理下であること、それらの移転先がいまだ未定であることなどから、2010年までの再配置は困難と思われる。
●今後の大水深港湾開発の可能性としては、ベトナム政府関係機関、現地コンサルタントともに、ヴァンフォン港との共通認識を持っている。しかしながら、今後、南部において建設が予定されるチーバイ・カイメップ港のJICA調査段階においては、その必要性を認めていないことから、本邦援助による早期事業化は難しいと思われる。現実にベトナム政府はODAのみならず、BOT方式等、民間資本による事業実施を念頭においている。
●地方中核港湾の整備については、政府予算によりそれぞれの港(ニャーチャン港、クイニョン港、キーハー港等)が整備を進めている。それらは、国内沿岸海運というよりは、大型外国客船の寄航や輸出入貨物量の増加に対応するためのものである。またどの港も、近くコンテナヤードの整備・拡充を計画している。
●ベトナムにおける現在の航行安全対策施設は、灯台を例にとると、スペインの援助による整備事業が実施された後も、近隣アジア諸国の50%を下回る低い整備水準となっている。このためベトナム政府は、2007年を目標に91基の灯台を新規に設置し、近隣アジア諸国と同等の整備水準を確保する計画を推進している。
 
サイゴン港
 
ニャーチャン港
 
ヴァンフォン湾
 
今後の見通し
●ヴァンフォン港等の大水深港湾の開発は、今後、南部において実施されると思われるチーバイ・カイメップ港と中部ですでに建設中であるダナン港の様子を見極めつつ、今後の長期的なフォローが必要である。
●中規模港湾開発、および航行安全対策施設の整備については、それぞれ個別の案件ではその事業規模が小さいことから、沿岸海運航路網の中核となる中規模港湾の整備と、基幹となる沿岸海運航路の整備(進入航路の維持、航行安全対策施設の整備など)を効果的にリンクさせた案件の形成が必要である。







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