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●情報収集事業
調査団名;中近東・アフリカD班
対象国:マラウイ・タンザニア・ガンビア・(セネガル)・(ザンビア)
調査分野:船舶・船員
調査期間(日数):15.2.24.〜15.3.11.(16)
 
【調査の概要】
 
背景
 訪問先の各国からは、船舶あるいは船員教育機材の供与要請または供与要請準備等をすすめていることから、それらに対する当該国内の動向を把握すると共に船舶及び船員教育機材の現状を調査し、その運用実態を確認する必要がある。また、これら諸案件について当該国のEOJ、JICA等関係機関からも夫々の事情、周辺情勢及び案件に対する見解等を聴取し、我が国からの支援の可能性を把握することを目的として調査を行った。
 
調査内容
(1)マラウイ国
 海運局長、大蔵省次官等と面談するとともに、船齢52年のILALA号や修理設備の調査を行った。老朽化した貨客船に対する小型新造船の供与については1998年にトッププライオリティで我が国に対し要請が出されたが、保守管理面の不安などにより取り上げられなかった経緯がある。今回の調査では運航補修の面では全く問題が無いことが確認でき、マラウイ湖における重要なライフラインとなっている貨客船の確保が必要であり、その供与が実現すると効果は周辺国にとっても非常に大きなものと思料する。
(2)タンザニア国
 ザンジバル運輸省局長、カルメ大統領、DMI校長、大蔵省局長等と面談した。
 ザンジバルでは漁船、小型貨物船などの海難に対する救難、また海難に起因する海上汚染事故に対処出来る救難船がなく、人命救助・油汚染防止の見地から小型救難艇の供与を要請している。保守管理については港湾公社が充分に対処できる体制であり問題はなく、我が国の救難艇供与による、有事の際に迅速な対応が出来る体制を構築すべきである。
 ダルエスサラーム海員学校(DMI)は東アフリカ唯一の海員養成施設であり周辺国からも多数参学しているがSTCW95条約に合致した教育機材が設置されていないため、その要求に沿った機材の供与を2002年に緊急要請したが見送られた。海員養成に不可欠のこれら機材の整備と共に、IMOホワイトリストにタンザニアがリストアップされるよう国際基準に合致した教育機関とするなどの観点から必要な支援を行うべきである。
(3)ガンビア国
 ガンビアはガンビア川によって南北に分けられており、フェリーによってその経済活動が維持されている。ガンビア川中央部のフェリーは15年前に我が国から供与された2隻が稼働しているものの、酷使された結果劣化がひどく、1隻は部品などの不足により係船修理待ちの状態である。乗組員の士気は高いものの、部品不足と修理機械類の不備は如何ともしがたく、本船のリハビリテーション、部品供給策とともに新造代替なども含めて綜合的に対策を検討する必要がある。
(4)ザンビア国
 在ザンビア日本大使館はマラウイ国を兼轄しているため、マラウイ湖貨客船の現状などについて報告した。
(5)セネガル国
 在セネガル日本大使館はガンビア国を兼轄しており、大使館による調査に基く意見聴取及び情報交換等を行った。
 
問題点と今後の見通し
(1)マラウイ国
 現況における老朽船1隻での運航は、ライフラインとして人/物資運搬の巡航サービスを行うにはもはや限界にきており、安全面から見ても懸念される状態である。マラウイのみならず周辺のタンザニア、モザンビークとの物資の交易に貢献している稗益効果も非常に大きなものであり、我が国としては安全面、人道面から何らかの支援を行うことが当該地域の発展に資するものと考える。
(2)タンザニア国
・ザンジバルでは漁船、小型貨物船などの海難事故、これらに起因する油汚染事故及び増加している観光船の保安に対処する小型救難艇の供与が望まれている。最近も漁民の海難事故が発生したとのことである。これら人命救助や環境保護の観点から我が国の無償資金協力による救難艇(レスキューボート)を配備し、有事において迅速な対応が出来る体制を構築する必要がある。
・ダルエスサラーム海員学校(DMI)は地域の重要な教育機関であるがSTCW95条約に合致した教育機材が無く、IMOホワイトリストにも記載されていないため我が国としては国際基準に合致した教育機関として、船員の人材育成を行い、周辺国との安全な湖上/海上輸送の発展を図る等の観点から機材の無償供与など必要な支援を行うべきである。今後は、DMIと大蔵省が本件について協議を行うため、そのフォローが必要となる。
(3)ガンビア国
 我が国から供与したフェリー2隻はその就航地域と利用度から見て、ガンビア及びセネガルにとってライフラインであると言える。しかし酷使による疲弊はひどく、早急な修理、部品の供給が必要である。勿論代替新造船も考慮すべきであるが、何れが最も有効な手段であるかよく検討する必要がある。本件については、2002.12月のJICA調査団の報告結果をフォローする必要がある。
 
マラウイ湖桟橋に接舷している浮きドック
 
ガンビア国フェリーポイント南側より出港風景







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