日本財団 図書館


6. 海外調査ニュース
●情報収集事業
調査団名:アジア・大洋州J班
対象国:キルギス共和国
調査分野:航空
調査期間(日数):15.3.5〜3.13(9)
 
【調査の概要】
キルギス共和国の主な空港位置図
 
 キルギス共和国は中央アジアの二大山脈、ティエンシャン(天山)山脈とパミール高原の交差する所に位置し、大半が標高2,500m以上の高地にあり、標高1,500m以下となるのは国土の8分の1ほどである。カザフスタン、中国、タジキスタン、ウズベキスタンと国境を接する。かつてはキルギス・ソビエト社会主義共和国として、ソビエト連邦に属していたが、1991年8月に独立を宣言した。面積は19万8,500km2、人口は452万人(1998年推計)。首都はビシュケクで、同国最大の都市である。
 ビシュケクから約270km、標高1,600mにあるイシククル湖は世界で4番目に深い湖であり、湖周辺は中央アジアのスイスと呼ばれ、旧ソ連邦内有数の保養地であり、旧ソ連全域から湖を中心に観光客が多く訪れている。ちなみに2002年の夏期(6月〜9月)にイシククル湖を訪れた観光客は75万人であった。観光客の国別割合は、カザフ:67%、キルギス:18%、ロシア:8%、ウズベキ:5%、その他:2%であった。その8割は近隣諸国からであり、旅客輸送における航空需要は高く、地域の観光開発のためにも、空港の整備を熱望する声は中央・地方政府とも大きい。しかし、イシククル湖への空の玄関であるチョルポンアタ空港の滑走路は1,760mしかなく、また滑走路は湖と山に挟まれた狭隘な場所にあり、滑走路の延長は不可能である。
 
リゾートホテル(250ベッド数)
 
 このような状況で、キルギス政府は高い需要の見込まれている航空輸送の増強に空港整備が急務と判断し、旧ソ連により計画され、1981年までに滑走路(2,000m)、誘導路、エプロンの工事が終わり、その後資金難で工事が止まったままであるタムチ空港(チョルポンアタ空港の西32km)を1990年に旧ソ連邦民間航空省により策定された改修計画をベースにB737、A310クラスの航空機が就航できる国際空港として整備することを策定した。改修計画で策定されたタムチ空港の旅客・貨物の需要予測は、2005年で旅客30万人、貨物100トン、2015年で旅客60万人、貨物200トンとなっている。今後、新空港として運用するためには旅客ターミナルビル、駐車場、場周フェンス、航行援助施設、非常用発電機、受変電施設、電話施設、給水施設、汚水処理施設、セキュリティー機器、空港車両機材等の施設が必要となる。また、標高1,600mの空港でB737クラスが離陸するには最低でも2,400mの滑走路長が要求され、あと約400mの滑走路延長が必要である。しかし、キルギス政府の慢性的な財政難により、キルギス国の自力による整備は非常に困難な状況にあり、日本政府による支援を期待している。
 課題としては、空港運営や管制業務を一部民間資本による所謂Joint Stock Companyが行っており、それらとの調整が必要である。
 
チョルポンアタ空港の全景
(湖と山に挟まれた滑走路である)
 
タムチ空港(2000m滑走路)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION