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平成15年度 ハノイにおける都市及び公共交通開発セミナー 報告書

 事業名 基盤整備
 団体名 海外運輸協力協会 注目度注目度5


2.2. 第2部 報告・発表「都市交通の現状と問題」
 
 
ハノイ市交通公共事業局(TUPWS) Bui Xuan Dung
「ハノイにおける都市交通の現状および2002年のバス輸送」
"Report on Present Situation of Urban Transport and Bus Service in 2002"
 
 ハノイの道路総延長は1,423キロメートルあるが、道路密度は低く、その分布も偏っており、不連続的な道路網は都市交通ネットワークとして機能が低いと言える。また、主要交差点と主要交差点との平均距離は380メートルである。道路幅員は、7〜10メートル幅のものは88%を占め、12メートル幅以上のものは12%のみである。また、道路用地の面積は(全体の)8%と少なく、そのうち駐車場等の用地は1%である。
 
 バスの整備現状は、ハノイのバス用の駐車場、デポ及びターミナルの面積は非常に少ない。また、バスの保守修理のための工場や設備は、時代遅れのものばかりで、整備企画には統一性がない。実際、これらの修理工場は修理というよりも、運送時間外のバスを駐車する場所と化してしまっている。また、バス停の未整備、サービス水準の低下など問題は少なくない。
 
 今日の公共運送事業の状況は、次のことが言える。
 
・都市道路網の整備の遅れからバス等の公共運送インフラは貧弱である。
・急速に郊外化進む都市部拡大と、多様化する市民の交通手段は、公共運送事業の発展に壁となっている。
・バス等の公共運送事業に対する政策は、統一性と安定性を欠けている。
 
 この様な背景を受けて、2002年のバス事業の目標は、バスとバスによる公共運送事業の質を向上させ、移動需要の7〜8%を満たすことと、2005年には移動需要の20〜25%を満たすという目標を目指した。それに伴い、2002年の目標を達成するためには次のようなことが求められた。
 
・バス路線網の再構築
・バスの新規購入
・運営管理の改善
・チケット系統の改善
・住民に対し、基準に基づいたバス事業の提供
 
 結果として、ハノイ人民委員会及び交通公共事業省の指導のもと、バス事業社は200台のバスを新規購入し、更にRenault社製のバス50台を引き受け、バス台数を合計で406台にした。また、バス停やバスブース等の基礎インフラを整備し、バス運営管理システムの新規整備を行った。
 
 それぞれについて具体的に説明をすると、バス路線システムの初期調整の結果、サービス範囲の維持・拡大を図り、主要なルートを接続させ、乗り換えを容易にした。また、スーパーや新興住宅地と主要交通路線を接続するフィーダーバスの試験運行を開始し、住民から高い評価を得た。
 
 改善されたバスサービスの一つに運行時間の拡張がある。運行開始時間を朝5時からとし、運行時間で区別すると17.5時間が6路線、16時間が4路線、15時間が14路線、14時間が4路線、13時間が3路線と運行時間の延長を実施した。また、運行頻度は5分から15分で一本という体制を取った。更に、路線とバス停の位置の厳守、定められた料金でチケットの販売、バスの清掃の徹底、出発時間の厳守、運転手と助運転手の適切なマナーの徹底等を行った。
 
 チケット系統の改善については、路線ごとに行きと帰りのチケット販売を実施。チケットの販売、チェックと管理の円滑化を図った。利用者の便宜を図るために、定期券の販売を行い、市内の14箇所でチケットの販売を行った。複数の路線の定期券を販売し、住民から高い評価を得た。
 
 こうして2002年の実績は、バス31路線の安定運行を実施し、バス路線長609キロに延長、2001年(506キロ)と比べ20%増の実績を達成した。バスの運行がある通りの全長は166キロで2001年(151キロ)と比べ10%増加。2002年の運送量は4,880万人で、2001年と比べ319%増加。住民の移動需要の12%を満たした。
 
 2003年の目標は、サービスの質を向上させ、8,000万人の運送量と移動需要の20%という目標を目指す。2003年、バスによる公共運送事業の拡大に関するハノイ公共事業局の考え方は以下の通りである。320台の新車のバスを購入し、現在使用しているバスの大部分を新車と取り替える。7路線の新規開拓を実施し、バス路線の全長を701キロメートルに延長する。市内及び新開発地域の面積の87%にバス路線システムを拡大する。運行頻度及び運行時間で大分すると3種類の路線がある。
 
 第1路線は、運行時間1日16時間で、そのうちピーク時間帯が8時間、通常時間帯が8時間あり、運行頻度をピーク時間帯が5分/1本、通常時間帯が10分/1本とする。
 
 第2路線は、運行時間1日14時間で、そのうちピーク時間帯が6時間、通常時間帯が8時間あり、運行頻度をピーク時間帯が10分/1本、通常時間帯が15分/1本とする。
 
 第3路線は、運行時間1日13時間で、そのうちピーク時間帯が6時間、通常時間帯が7時間あり、運行頻度をピーク時間帯が15分/1本、通常時間帯が30分/1本とする。
 
 このように運行時間帯と頻度を調整することによって現在の課題の解決を図る。
 
 更に、バスのサービス水準の改善を図るために、各バス路線のバス停での待ち時間を3〜5分程度に短縮し、路線の乗り換えの待ち時間を5〜7分に短縮する。また、バス停、待ちブース、バス専用道路といったバス用のインフラの改善・整備を図る。
 
 また、バスによる公共運送事業における公共運送事業社の主力的な役割を維持させるために、必要な政策を積極的に行う。例えば、バス事業への補助金の計算にコスト単価を反映させる。様々なセクターによる、ハノイの公共運送事業への参入を促進する。バスチケットとチケットの販売方法の多様化を図る。生の通学や労働者の通勤のため、送迎バスサービスを普及させ、効率化と住民の便宜を図るなどがある。
 
 
ベトナム国運輸省 交通開発戦略研究所(TDSI South) Tran Doan Phi Anh
「ホーチミン市が直面している都市交通問題と課題」
"Urban Transport Problems and Issues Facing ホーチミン市"
 
 JICAが実施中のホーチミン市都市交通調査(以下、HOUTRANS)は、TDSI-Southとホーチミン人民委員会が主要カウンターパートとして実施している。
 
 調査は2002年8月27日から始り、今までほぼ6カ月間の作業が完了した。我々は調査キャンペーンとして実行している。我々がキャンペーンと呼ぶのは、これらの調査は、今まで実施した交通関連調査に比べて大規模であるからである。3ヵ月後にはJICA調査団と協力し、13の交通関連調査が終了する。中でもホーチミン市の大学やコンサルタントを含む5つの機関で実施したインタビュー調査は、2万8千世帯を対象としている。インタビュー調査自体は終了し、現在専門家による調査データの処理と分析の作業を行っている。今日のセミナーでは、ホーチミン市が直面する都市交通問題と課題について述べる。
 
 ハノイとの相違や類似点を比較するために、ホーチミン市の特徴を最初に説明する。交通渋滞の状態はホーチミン市とハノイで類似しているが、ホーチミン市の交通渋滞はより深刻であろう。ホーチミン市の人口は約7百万であり、ハノイは約3百万である。ホーチミン市の端から端までの距離は、ハノイの約2〜3倍ある。ホーチミン市はバスに多額の補助をしている。ホーチミン市のモデル路線のバス料金は1000ドンであるが、ハノイでは2500ドンである。ハノイでの一日の乗客数は8万であり、ホーチミン市でも同じ数字である。乗客数でホーチミン市は、困難に直面していると言えよう。ホーチミン市の人口はハノイの約2倍である。一人当たりの所得では、ホーチミン市はハノイより高く、全国で一番多い地域である。これらのことがどのようにホーチミン市での都市交通に反映されるであろうか。
 
 ホーチミン市は12の中心地区とそれを取り囲む5つの内部地区そして5つの外部地区で構成され、2002年の統計人口は530万人であり、ベトナム内外から約170万人が訪れる。人口密度は、中心部で高く、5つの周辺外部地区で最も低い。
 
 モータリゼーションに関しては、オートバイの登録台数は、ホーチミン市は現在200万台のオートバイがある。人口統計と比較すると、二人に1台弱になる。この割合から見てもホーチミン市で、オートバイ問題は、本当に解決が困難であると言える。 一方、自動車所有は際立って増加していない。しかし将来、ハノイではほとんど家に車庫がない反面、ホーチミン市での車庫数は多いことから、将来のホーチミン市における自動車登録台数の増加はハノイより速いと思われる。現在、ホーチミン市は、車両登録に際して、自宅で車庫所有の義務を課していないが、将来そのような規制があってもホーチミン市では十分対応できるであろう。ホーチミン市民の生活水準が向上するにつれ、オートバイと自転車の両方の所有数が増加している。今後も都市部のモータリゼーションはさらに進行するであろう。また、世帯の50%が2台以上のオートバイを所有している。交通需要予測によると、2003年の一日当たりのトリップ数は1,130万に達する。傾向としては、自転車のトリップの割合は減少し、オートバイの割合が増加する。また、61%の人が自家用の車を所有し、そのうちの45.5%の人が自家用のオートバイを所有している。公共交通に関して言うと、その割合は非常に少ない。ホーチミン市には84のバス路線があるが、一日の乗客数は8万人にすぎない。ハノイの人口は300百万人であるが、既に一日当たりの乗客数は10万人に達している。ハノイの人口はホーチミン市の半分にも関わらず、ホーチミン市よりバスの乗客数が多い。このことから、公共交通の整備や維持に関しては、ホーチミン市の問題はより深刻である。
 
 また、調査結果からオートバイがホーチミン市で主要な交通モードであり、低所得者もオートバイを所有していることが解った。都市部での所得の差によるモビリティの差は少ない。ハノイでも同様である。平均移動距離は7〜8キロで、ハノイの4キロより長くなっている。平均移動距離が8キロであることから、公共交通のポテンシャルは高いと考えられる。ホーチミン市における公共交通開発における乗客の潜在的マーケットの調査結果によると、人々は政府の公共交通振興策を好意的に感じており、政府に対して公共交通整備に対する適切な決断をして欲しいと思っている。
 
 今のところ、公共交通サービスの割合は低いが、多くの人がバス自体を「非常に悪い」と評価しているわけではなく、バスサービスを「非常に悪い」と評価している。ホーチミン市民の交通サービスに関する関心事は、交通安全、道路や施設、交通取り締まり、交通規制、交通抑制政策などである。その他のサービスも改善したいが、市民は現状のサービスの質に若干満足しているようであるが、ハノイの様な新車両の導入等によってサービスが改善されるなら、人々は公共交通により興味を示すと思われる。
 
 交通安全は人々の最大の関心事である。一方、交通渋滞への関心はそれほど高くはない。しかし、もし我々が公共交通整備を実施しないのであれば、人々の所得上昇とともに、自家用車の需要が高まるために、交通渋滞は自家用車による渋滞になるであろう。ホーチミン市が調査を実施し対策に乗り出さなければ、都市交通網が麻痺することになり、交通危機になる。
 
 第二の関心事は、交通事故である。ホーチミン市での毎日の交通事故は、ハノイより深刻である。毎年事故件数は増加している。政府や交通省、ハノイとホーチミン市の人民委員会で、特に注目している課題である。事故統計では、交通事故は通常の労働時間に発生するのではなく、余暇の時間と考えられる週末の午後7時以降に発生している。最悪の時間帯は午後8時以降で、ピークは夜9時から11時である。交通事故の主要原因はスピード違反、スピードの制御不能などの交通違反であり、例としては、飲酒運転、対向車線へのはみ出し、交通取り締まりの弱さ、道路安全への認識の低さ、交差点設計の不備、交通信号制御の未整備、事故データベースの未整備などである。
 
 将来の交通政策の方針であるが、HOUTRANSの専門家は、最も決定的な条件はオートバイ所有と利用の制御と公共交通への市民の支持の必要性であると見ている。調査から、ハノイとホーチミン市でオートバイ抑制に関しての政府の重要な決定の始動に対し、市民の大半は課題に対しての統一認識があると見受けられる。市民の関心事とホーチミン市の現状を考慮すると、安全と統制の取れた交通環境に基く公共交通整備の方向に向かっていると理解できる。そのため、オートバイにも規制が必要である。経済的観点からすると、将来の交通混雑による潜在的経済損失が大きいため、将来の車社会への発展は制御されるべきである。以上のことを念頭におくと、バスサービスが効率的に拡大されるべきであり、HOUTRANSの専門家と我々が解決するべき問題である。
 
 我々がHOUTRANS調査で今まで実施したことに関して、またハノイと比較しながら、ホーチミン市の公共交通をどのように考えているのか要点を説明した。都市交通課題に対しての適切な処置がなされなければ、ホーチミン市は大きな交通問題に直面するであろう。このことは、他の研究者や市や政府のリーダーからの提言と同様、この調査での我々の提言や対策にかかっている。







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