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海事の国際的動向に関する調査研究事業報告書(海上安全) 別冊 AISの国際的動向に関する調査研究

 事業名 海事の国際的動向に関する調査研究
 団体名 日本海難防止協会 注目度注目度5


別添1
 
船用AISの実際の使用法に係るガイドラインの要点
1 ガイドラインの目的(sec. 1、2)
 本ガイドラインは船員に対し舶用AISの実際の使用法、及びAISの限界と可能性について情報提供することにある。船員は舶用AISを使用する前に、本ガイドラインを完全に理解し、表示される情報を正しく判断することを含め機器の操作に習熟する必要がある。
 
2 当直士官への注意喚起(sec. 2)
 全ての船がAISを搭載しているわけではない。当直士官は自分以外の船、特にプレジャーボート、漁船、軍艦や、VTSを含む海岸局がAISを搭載していないかも知れないことを常に考慮し、また、AISの搭載を義務付けられている船であっても、状況によっては船長の判断でAISを切っているかもしれないことを考慮すべし。
 
3 使用周波数の自動切換え(sec. 7)
 チャンネル87Bと88B以外の地域周波数を利用する地域を航行する場合、舶用AISは、陸上局からのメッセージにより自動的に当該地域周波数に変更する機能を持っている。AIS陸上局又はGMDSSのA1局がない場合には、手動で変更しなければならない。
 
4 情報の自動発信(sec. 10)
 船の情報はAISを通じ当直士官が知らない間に継続的かつ自動的に発信される。陸上局は、ポーリング機能を使用して個別の船の最新情報を入手したり、一定の海域内を航行する船舶からポーリングで情報を入手するかもしれない。
 
5 AISの作動(sec. 21)
 AISは航行中、錨泊中を問わず常に作動させておく必要があるが、船長が、AISを継続作動させることが自船の安全とセキュリティを脅かすと信ずる場合にはAISの電源を切ることができる。右は海賊や武装強盗が行なわれる海域を航行する場合が考えられる。AISの電源を切った場合には、理由を付して航海日誌に常に記録しなければならない。
 
6 衝突回避状態でのAISの使用(sec. 39-43)
 AISは、衝突予防の判断をする際の助けとして活用され得るが、AISは新たな航海情報の一つでしかなく、レーダー自動追尾機能やVTSを支援こそすれ代替しない点、及びAISの使用がCOLREGに基づく操船上の責任を無くすものではないことを銘記すべき。
 
7 将来的なAISの活用方法
(1)VTSの運用におけるAISの活用(sec. 44)
 例えば、AIS非搭載船に関する情報、或いはVTSレーダーでのみ捕捉できた船舶に関する情報をAIS経由で提供する。
(2)GNSS補正値情報の提供(sec. 47)
(3)強制船位通報制度における自動通報(sec. 48)
(4)捜索救助活動(sec. 49)
 海・空合同捜索救助活動での活用。遭難船の位置が周囲の船のAISに表示されることで捜索救助活動を容易にする。
(5)航路標識(sec. 50)
 灯浮標にAISを装備し、位置、灯質、海・潮流、気象、視界に関する情報を提供する。
(6)総合的な情報システム(sec. 51)
 航海計画、運行管理といった国際的な海運情報システムに活用できる。当局にとっては船舶の動静監視や危険物の流れを把握できる。
 
別添2
 
バイナリーメッセージ/IAI
(IAI: インターナショナル・アプリケーション・アイデンティファイアー)
 
 NAV48に提案されたIAIの一例。今後、IALA、IECにおいて20−30に絞り込まれる予定。
 
1 AISシステム管理
 テキスト文書、アプリケーション承認など
2 航路の状況
 航路閉鎖情報(機雷撤去、油流出など)、航行可能時間など
3 要請
 パイロット要請、タグ要請、砕氷船要請、着岸岸壁要請など
4 特別な運航
 パイロット上下船中、伴走中、訓練・試験中、漁労中、錨地での荷揚げ中、曳航中など
5 オフィシャル・レポート
 マルポールに基づく報告、米国アンバーに基づく報告など
6 VTSからの情報
 AIS非搭載船舶の情報、船の通過点情報、気象情報、航法指導など
7 航行警報
 航路障害物、火災、爆発、衝突、乗り上げ、沈没、船体放棄、DGPS周波数変更など
8 捜索救助活動
 遭難船情報(乗船者数など)、捜索計画など
9 種々の情報
 危険物、有害物質、海洋汚染報告、軍事演習、ケーブル敷設作業、速度制限、浚渫など
10 船位通報
 ロングレンジでの呼びかけ(呼びかけの種類、呼びかける地域)など
11 パイロット
 現場の風向・風速、潮流、潮位、タグボート要請、VTSからの航路情報など
12 気象警報
 流氷、台風、低視界など
13 航路標識
 航路標識の移動、変更、流出、消灯など
 
別添3
 
スウェーデンでのAIS調査
1 MRCC、VTS見学
 2002年7月17日スウェーデン西部のイエテボリに赴き両施設を見学したところ次のとおり。
(1)MRCC
イ MRCCはスウェーデン海事局に所属し、海上における捜索救助の調整を行なっており、昨年は約1100件の事案を取扱った。右には簡単な情報提供件数も含まれる。事務所には、MRCCのほかに、ARCC、コーストガード、NAVYの運用担当者が24時間体制で当直業務に当たっており、海上における事案への対応を集約して行なう体制が整っていた。
ロ AISの端末は各所に設置され、スウェーデンの周辺海域のAIS船舶の動向、詳細情報を閲覧可能。
ハ MRCCの担当に対し、過去、AISをSAR活動に有効に活用した事例の有無を問うたところ、AIS機器は最近導入されたもので、まだ具体的な活用事例はないとのこと。たとえば、捜索救助海域を画面上に線引きし、SAR船、航空機の捜索状況をモニターするといった活用の仕方を指摘したところ、右は有効であるとは理解するも、これまで実践されておらず、ここスウェーデンにあっても、活用の仕方はこれからの検討課題と認識している由。
ニ コーストガード、NAVYにあっては、高位の士官から説明を受けることができず、取扱いも初歩的な段階との印象。ディスプレイに使用されているソフトが古いバージョンであることから、こちらもまだまだ開発途中。
ホ なお、コーストガード、NAVYとも大半の船艇にAISを装備しているが、その活用方法については実験段階にあるとのこと。ちなみに両機関の船艇にはSOLASで定めるAISとは別の専用システムに対応したトランスポンダーを装備し運用中とのことで、右もSAAB社が開発・提供している由。
 
(2)VTSセンター
イ イエテボリにあるVTSセンターで、イエテボリ港内の中央に位置する。
ロ 一日10-20隻の船舶が出入港し、入港船に対し港外20海里から強制船位通報制度が取られている。通報を受け、センターでは港内のアクセスを調整、入港船に対し適宜港外で待機させたり入港させたりの指示を行なう他、パイロットに対し入港船との会合海域の指定等をVHFで指示している。
ハ スウェーデンのパイロット・ボートには全てAISが装備されている。通常パイロットは適宜の位置で待機しており、必要なときにパイロット・ボートで現場に出かけるシステムであり、ハーバーマスターがパイロット・ボートの位置を常に把握する必要があること、及び海上において入港船にパイロットが移乗するための一連の動きをモニターする必要があるため。
ニ 管制室にはAIS端末が備え付けられていたが、常時は活用しておらず、情報が必要なときに参照するとのこと。同センターのレーダーシステムが近々改装される予定であり、その際にAISシステムとの融合が図れる由。
ホ ハーバーマスターの意見としては、イエテボリ港の港外は西風が吹くと沿岸近くは波が高くなってパイロットの移乗は危険を伴うことから、沖合いで行なうこととなり右は作業効率が悪い。AISによって前広に入港船の状況が把握できれば、港内の交通管制が効率的に行えることとなり、またパイロットの有効活用も図れることと期待しているとのこと。
ヘ いずれにしても、VTSへのAISの活用は今後の課題であり、港の規模、出入港船舶の種類・大小なども考慮しながら、今後、わが国においても独自に検討すべき案件であるとの印象を受けた。
 
2 SAAB社見学・情報収集
 2002年7月18日スウェーデン・サーブトランスポンダーテック社を往訪し、S社営業担当バーグストン氏及び技師ヘルマン氏から世界各国におけるAISシステムの整備状況等につき情報収集したところ次のとおり。
(1)シンガポール
イ マ・シ海峡のVTSにAIS情報を供給するため、マ・シ海峡沿岸海域に全部で6局の基地局を建設予定。1局は正・補2系統の送受信機器で構成される。
ロ 本年2月に2局を設置し一部運用開始済み。
ハ 通航船10隻による実証実験を行い、VTS関連の通報業務に関し航海士の負担が半分に軽減されたとの報告がある(詳細情報収集中)
ニ 本年8月から順次残りの基地局を整備し、本年12月には完成予定。
ホ 現在のVTSモニターにAIS情報を合成するシステムを整備中。現時点で、AISが整備されたVTSとして世界で一番進んでいる国といえる。
ヘ サーブ社はトランスポンダーを供給するのみで、ディスプレイ・ソフトの開発は他社が行なっている。この分野は比較的開発が簡単でかつ競争も激しいため、サーブ社は手を引いている。ソフトの開発は、ユーザーの希望により最も柔軟な対応ができ、またAISのこれからをユーザーが工夫していける分野である。
(2)フィンランド
イ 基地局22局分の設備を提供済みで、既に試験運用を開始している。今後もカバー・エリア拡大計画に沿って提供予定。
ロ スウェーデン・フィンランド間にはこの種情報の共有促進に関する取極があり、今後フィンランド側の整備に併せ、両国の管理局同士を接続して、情報を交換するシステム構築がなされるであろう。右は政府間の作業でサーブ社は当該計画の詳細を具には承知していないが、EU加盟国同士でもあり前記取極もあることから、情報のセキュリティ対策を話し合うだけでスムーズに接続が可能であろう。
ハ 接続方法としては、陸上系統をリース契約して接続する方法があるが、リース料が高価になる。簡単な方法としては、インターネットで接続する方法がある。
ニ 本年4月にスウェーデン側のAISシステムもアップグレードし、セキュリティ面での向上を図ったところ。
(3)その他の国々
イ 香港−蘭HITT社のVTS構築にあわせ、AIS基地局11局を提供。
ロ 米国−セントローレンス川沿いにAIS局10局を提供。
ハ トルコ、ギリシャ、マレーシア、カナダ、リトアニア、オーストラリア(実証実験中)
(4)航路標識へのAISトランスポンダーの装備
イ SAAB社は日本のゼニライトブイ社に小型・省電力型のトランスポンダーを開発し提供している。
ロ このトランスポンダーはブイなどの標識が取り付けられ、ブイの位置、灯質などの情報を提供する他、ブイに潮流計、温度計、風向風速計を取り付け、トランスポンダー本体に設けられた外部入力を利用して、船舶向け発信すれば、リアルタイムの情報を提供することができる。
ハ スウェーデンでもこの種取り組みは見られず、現時点においては世界中でゼニライト社だけであろう。
 
3 AIS搭載大型フェリーの見学
(1)19日ストックホルム港に早朝入港したストックホルム〜タルク〜ヘルシンキ(フィンランド)間を定期航行する200メートル型大型フェリーSILJA SYNPHONYに乗船しブリッジを見学、同船船長、航海士から説明を受けた。
(2)ストックホルム港への出入港に際しては諸島の狭い海峡を通りながら55海里の距離を平均14ノットで航走している。気象・海象が安定している時にあっても、屈曲部が多い海域であり通航船も多いことから神経を使うところである。更に霧・もやがかかったり、降雪により前方の視界が極端に制限された場合には、AISが大きな役割を果たすものと期待している。
(3)本船は来年7月から搭載義務が発生するが、それに先んじて搭載し現在慣熟訓練中である。
(4)AISの登場により航法や航海術が変わるかとの質問に対しては、どんなに技術が進歩しても船を動かすのは人間だと答えておこう。レーダーを使用しての伝統的な運航というのは今後も無くなることはないと思っている。
(5)気象情報は、一日1回、気象サービス会社から契約によって今後の気象予報を入手している。また、別のルートで、インターネットを通じて過去の風向・風速の履歴情報などを入手しており、現在は非常に役立っている。
 また、ストックホルム港東側の諸島出口にある灯台は、灯台で観測した気象情報を提供している。現在はこちらから電話をかけて自動音声で提供される情報を入手しているが(日本の船舶気象通報と同じもの)、今後はAISを通じてリアルタイムで情報提供されることとなると聞いており、右は省力化とリアルタイム情報という点で非常に役立つものと期待している。
別添4
 
 
バルト海沿岸における航行安全及び緊急措置能力に関する宣言
(HELCOMコペンハーゲン宣言)(抜粋)
 
 2001年9月10日、コペンハーゲンで開催されたHELCOM(ヘルシンキ・コミッション)閣僚会議において、「バルト海における航行安全及び緊急措置能力に関する宣言」を採択した。
 
ヘルシンキ・コミッション:
バルト海沿岸諸国で構成される委員会。参加国はデンマーク、エストニア、フィンランド、ドイツ、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ロシア、スウェーデンの9カ国。
 
 ヘルシンキ・コミッションは次の方策につき合意した。
 
I バルト海沿岸の航路の改善
II Rout Tとthe Soundにおけるパイロット使用の拡大
III 水路保全業務の促進確保と電子航海図の利用に係る方策の採択
IV AISの利用の拡大
・各国政府に対し、AIS情報に基づく船舶の陸上監視のための国内システムの構築を要請する。バルト海沿岸内A1海域は遅くとも2005年7月1日までに全てカバーされなければならない。
・各国政府に対し、各国のAISモニタリングシステムを統合したバルト海沿岸共同監視システムの構築を要請する。
・危機解析のための基礎及び今後の検討に資することを目的として、事務局がバルト海沿岸の船舶交通に係る信頼度の高い統計を含む年次報告を作成するため、各国政府に対しAISデータを提供することを要請する。
・スウェーデンを主体とした専門家WGを設置し、AIS情報の交換・提供とバルト海沿岸の海上交通監視システムの構築を促進する。専門家WGの付託事項は別添のとおり。
V 欧州委員会による海上安全及び汚染防止の確保のための活動の支援
VI バルト海沿岸におけるシングルハル・タンカー使用の段階的廃止
VII パリMOUに基づくPSCの実施
VIII バルト海沿岸を特別繊細海域に指定する利益の検討
IX バルト海沿岸貿易に携わる者に対する航行安全情報及びガイダンスの提供
X 海難調査に係る共通の手続きを定めることによる安全と環境への貢献
XI 緊急時の適切な対応機能の確保(火災消火、緊急輸送、緊急えい航能力)
XII 避難水域の確保
XIII 海上における適切な油処理能力の確保
XIV 締約国に対する海岸クリーンアップ作戦における相互協力の要請
XV 1992年のバルト海沿岸における海洋環境保護条約の改正
XVI 独による「バルト海の船舶交通の輻輳が環境に与える影響」に係るIMO/HELCOM/EC合同ワークショップ開催の提案を歓迎
 
専門家WGの付託事項
 
 欧州規模のデーター交換のための標準的な互換性と既製品の活用を確保するとの欧州の努力を支援し、現存する要件とIMOが確定しEUが発展した情報が遵守されているとの原則に立って、
 
 WGの任務は、
 
・各国のAISモニタリング・システムが他のバルト海沿岸国のシステムとリンクできることを確保する。
・船が船位通報線を航過すると自動的に登録されるといった、統計情報の管理に関する運用面、技術面、ソフトウェアーの開発について共通で取組む。
・情報が記録されることを同意する。
・バルト海を航行する船舶交通に係る情報の信頼性を維持・確保するため、それぞれの通報線の設定に同意する。
・統計情報をいかに事務局に提供するかを合意する。
・各国国内のAISモニタリング・システムの建設と運用に係る相互支援と経験情報の交換を確保する。
・バルト海沿岸国間でのAIS情報の交換について検討し解決策を探す。
・法的枠組みを考慮するとともに、AIS情報の取扱いとバルト海沿岸国間における情報交換のための方策を検討する。







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更新日: 2019年9月14日

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