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神戸空港の平成17年度開港に向けて
神戸市みなと総局 参与 山本 朋廣
 
建設が進む神戸空港島(平成15年9月撮影)
 
 神戸空港は、平成17年度の開港をめざして、神戸のポートアイランド沖で建設を進めている海上空港です。
 神戸市は、平成7年の阪神・淡路大震災によって甚大な被害を被りましたが、神戸空港は、地域の経済を立て直し、活力と魅力あるまちとして再生するために不可欠な都市基盤として建設を進めています。
 
神戸空港の建設状況
 
 神戸空港の建設は、平成11年9月の現地着工以来順調に進んでおり、全体工事の進捗率(出来高べース)は今年7月末で約66%に達しています。空港島の埋立はターミナルおよびエプロン(駐機場)部分を中心に進んでおり、全体面積272haのうち、4割を超える109haが海上に現れています。今年度中には島南側の空港施設部分(153.6ha)がすべて陸地化する予定であり、来年度末には滑走路や照明施設等の基本施設の整備が概ね完了する予定となっています。
 空港島とポートアイランドを結ぶ連絡橋についても、橋脚8基の据付を既に終えており、今年11月より桁架け工事を開始し、来春には工事関係車両の通行が可能となる見込みです。
神戸空港のプロフィール
 
設置管理者 神戸市(第3種空港)
位置 ポートアイランド第1期南約3Km
滑走路 2,500m
空港島面積 272ha
旅客需要 319万人(開港時) 403万人(平成22年度)
開港予定 平成17年度
アクセス 新交通システム(ポートライナー)で都心(三宮)から約16分
事業費 約3,140億円
 
 
神戸空港の必要性
 
 関西圏の国内航空旅客数は、平成13年度で2,410万人となっており、平成6年度から13年度の伸び率は年平均3.4%と経済成長率を上回る勢いで増加しています。昨年開催された国の交通政策審議会航空分科会の資料によれば、関西圏の国内航空旅客は今後も2.2〜2.8%の割合で伸び、平成24年には3,140万人に達するものと予測されています。
 関西圏においては、関西国際空港は国際線及び国内線の拠点空港、伊丹空港(大阪国際空港)は国内線の基幹空港、そして神戸空港は神戸都市圏の国内航空需要に対応する地方空港として位置付けられており、これら3空港が適切に機能を分担しながら増加する航空需要に対応していくことが期待されています。
 
 現在の伊丹空港では、周辺地域の環境対策上(騒音)、発着回数や運航時間帯に制約があるため、増加する航空需要に円滑に対応していくには神戸空港が必要となってきます。先の交通政策審議会答申においても、神戸空港は「300万人を超える後背圏の航空需要に対応するとともに、神戸市以西の需要に対して伊丹空港の容量制約を緩和し、利用者利便を高める役割を有する」と明記されています。
 
 
空港と神戸のまちづくり
 
 神戸空港は、震災を乗り越え、活力と魅力ある神戸をつくるうえで、人・物・情報の新しい交流拠点として大きな役割を果たします。
 空港を活用したまちづくりとして、神戸市では「集客観光都市」、「情報文化都市」、「医療産業都市」という都市像をめざしています。
 神戸の歴史は神戸港をベースに培われた内外との交流の歴史であり、現在も事業所ベースで約3割が観光関連となっています。このため、観光、コンベンション等で全国から神戸に人々が集まる「集客観光都市」づくりが神戸経済の本格復興に向けて大きな力になると考えています。
 また、空港の開港によって多彩な人材が神戸に集い、企業活動や市民文化等の分野で神戸発の新鮮な情報が発信されるような「情報文化都市」づくりの進展が期待されています。すなわち、販路の開拓や取引の拡大を通して、情報感度の向上やインキュベータ(新規起業)の機会増大が予想されるとともに、神戸での芸術・文化公演の増加など、文化交流活動が活発化することが期待されています。
 さらに、神戸市では国の「都市再生プロジェクト」として認められた「神戸医療産業都市構想」を進めていますが、神戸空港はこの構想の実現にも大きく貢献すると見込まれています。
 この構想は、ポートアイランド第2期を中心に再生医療等の研究機関と先端医療産業を集積することで、神戸経済の活性化と高度な医療サービスの提供をめざすものです。
 このプロジェクトにおいては、付加価値の高い医薬品、医療機器の輸送や、短時間輸送を要する細胞、組織の輸送に航空機が重要な役割を果たします。また、重症患者や医師、研究者等の迅速な移動にとっても、2点間の高速移動を可能とする航空輸送が不可欠なものとなっています。







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