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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1994/01/18 毎日新聞朝刊
[社説]防衛 大綱見直しは時代の要請だ
 
 細川護煕首相が、日本の防衛力整備の基本方針である「防衛計画の大綱」の見直しに積極的だ。
 「ポスト冷戦」の防衛力はどうあるべきか。この課題は宮沢前政権時代から検討されてきたが、まだ明確な道筋は示されていない。政治改革関連法案の成立は未確定、来年度予算も未策定という状況で、本当に首相はやれるのだろうかと心配したくもなるが、世界的な緊張緩和・兵力削減の潮流の中で、大綱見直しは当然のことであり、その意味で首相の意欲はそれなりに評価したい。
 首相が就任後、大綱見直しに初言及したのは、昨年秋の自衛隊観閲式での訓示。首相は「大綱が時代の要求に適合したものか整理してみる必要がある」「日本は軍縮についても世界に率先してイニシアチブをとっていくべきだ」などと述べた。
 さらに首相は今月四日の記者会見でも大綱見直しを明言。今春にも首相の下に諮問機関を作り、今夏までに内容を固め、一九九五年度防衛予算から反映させたいと語った。
 防衛庁側はこれまで、諮問機関は防衛庁長官の下に置き、見直し結果は九六年度予算から反映させるとのスケジュールを考えていたが、首相は官邸主導で見直し、そのスケジュールも一年、前倒しにしたわけだ。
 現在の大綱は七六年十月、三木内閣時代に閣議決定された。限定的、小規模な侵略は、原則として独力で排除することを目標に、平時の防衛力整備に重点を置いた基盤的防衛力構想を採用した。「別表」には陸上自衛隊の定員や陸海空三自衛隊の部隊編成、装備体系が示されている。
 大綱をもとに実際の装備の購入などは、五年ごとに定める中期防衛力整備計画(中期防、九一―九五年度)の中で決めている。この方式で防衛庁は過去十八年間、米ソ対立を背景にソ連を潜在的脅威として正面装備を中心に増強を続けた。すでに前中期防で「別表」の水準を達成、現中期防でその水準を維持しているというのが同庁の説明だ。
 アジア・太平洋地域には、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核疑惑や弾道ミサイル開発、中国の海軍力増強など不安定要因がなお存在してはいるが、ソ連は崩壊し、ロシアからの脅威は大きく減った。日本とロシア、中国との安保対話も始まっている。こうした周辺情勢を総合的に判断しながら、新しい多角的な防衛構想を策定していくことは時代の要請と言っていい。
 問題は自衛隊のどこを、どう見直すかだ。首相は「引き締まった高精度の防衛体制」を目標に「量」を減らす一方、ハイテク化などにより「質」を向上させる考えという。
 具体的には陸上自衛隊の現在の定員十八万人を十二万―十五万人に減らす案などが検討されている。予備自衛官制度の充実、対潜哨戒機P3C百機体制やスクランブル(緊急発進)体制、巨額な戦闘機購入の見直しなども検討対象という。
 いずれも異論はないが、定員削減の過程で、懸案の国連平和維持活動(PKO)協力隊の別組織化を検討してはどうか。また来年度予算で二機追加予定の空中警戒管制機(AWACS)やパトリオットミサイル追加導入案に連立与党内から慎重論が出ているが、これをどうするのか。大綱見直し以前の課題として首相は明確な方針を示すべきだろう。
 九五年は戦後五十年の節目の年だ。新しい防衛構想は次の五十年、二十一世紀に向けた日本の指針を明示したものでなければならない。
 
 
 
 
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