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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1994/07/17 毎日新聞朝刊
[社説]社会党 「自衛隊」での転換は本物か
 
 村山富市首相(社会党委員長)が、現在の「自衛隊は違憲状態」とする同党の基本政策を見直し、二十日からの衆参両院での代表質問の場で、新見解を表明するという。
 今のところ「現状の自衛隊は合憲」としたうえで「国際情勢を見ながら将来、縮小する」との表現にすることで党内調整が進んでいるようだ。
 社会党は長く、日米安全保障条約破棄、自衛隊違憲論に立ち、これが党内左右両派の対立点となり、抗争・分裂を繰り返してきた。
 その後、日米安保条約については存在を認めるとし、自衛隊については違憲状態とする考えにまで変わってきていた。
 昨年には、綱領的文書「九三年宣言」で、縮小過程にある自衛隊は合憲との文案をまとめたが、党内左派の反対にあい、党大会に提出できないまま棚上げされた経緯がある。
 このため細川内閣に入閣した社会党の六閣僚が、国会で自民党議員の質問を受け、「違憲状態だ」と答弁、さらに突っ込まれて「党固有の政策と連立政権の合意に基づく政策は別であり、閣僚としては内閣の方針に従う」と苦しまぎれの使い分け答弁を重ねたことは記憶に新しい。
 それほどまでに、もだえ苦しんできた基本政策を一気に変えようというのだから、同党にとってみれば、コペルニクス的転換である。首相はすでに日米安保については「堅持」を表明済みだが、残る自衛隊について、どんな新見解を示すか、ここはじっくりと注視したい。
 首相は安保・自衛隊問題で「いくら理屈を並べてみても、現実がここまできたら、後戻りはできない」との考えを、後藤田正晴元副総理・法相に表明したと伝えられている。また「自分が割り切ってやれば党の方もだんだんついてくる気がする」と語っているとも聞く。
 この底流には、細川政権時のように、単なる閣僚なら言い逃れできたとしても、陸海空三自衛隊の最高指揮官としての立場を考えれば、もう「使い分け」は通用しないとの判断があってのことだろう。
 新見解策定に当たって首相に注文したいことがある。
 第一は、これまでの「違憲だが法的に存在してる」といった分かりづらいものではなく、明快な見解を示してほしいということだ。
 重箱のスミをつつく式のところもあったが、かつての防衛力増強路線の中で、社会党が一定のブレーキ役を果たしたのも事実だ。「社会党らしさ」を生かしながら、同党が目指す冷戦後の安保・自衛隊像はどういうものかを明示すべきだ。
 第二は、今回の軌道修正には「首相になったから、慌てて急転換する」といった印象が強い。確かに自社さ連立政権構想には「安保・自衛隊の維持」が盛り込まれてはいるが、本来なら連立政権に参加する前に、憲法判断を示しておくべきだったのではないか。
 欧州各国の連立政権では、こうした重要政策については、事前に連立各党で調整を済ませておくのが常識だ。手順が全く逆だと言わざるを得ない。その点、どう説明するのか。
 第三に、新見解の内容は首相に一任されたようだが、党内論議を経ていないだけに、首相個人の見解に終わる恐れはないかということだ。左派などが反発して、九月三日に予定される臨時党大会で否定されるようなことになれば首相の党内指導力は地に落ちる。首相の確固とした決意を聞きたいものだ。
 
 
 
 
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