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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/11/11 毎日新聞朝刊
[社説]邦人救出 法改正はあいまいさ残すな
 
 海外で騒乱などが起きた時に、在外邦人救出のため政府専用機や自衛隊輸送機を派遣する自衛隊法改正案の政府案が九日、衆院安全保障委員会に提案された。すでに提出済みの自民党案とともに審議が始まる。
 同委員会は野党委員の方が多い「逆転委員会」だが、連立与党が多数を占める衆院本会議では政府案の方が可決され参院に送付、今国会で成立する見通しという。
 世界を見渡した場合、幸いにも今ただちに邦人救出が必要な緊急事態は起きていない。ただいつ起きるかわからないし、海外に住む日本人は多くなる一方だ。緊急な脱出を迫られた時に、日本だけ救出機が来てくれなかった、といった在外邦人の声が、湾岸危機の時などに噴出したことは記憶に新しい。
 そうした事態に備えるための態勢をあらかじめ整えておくのが政府の義務であることは論をまたない。しかし今回の政府案には、いくつかの矛盾や問題点がある。徹底した委員会審議を通じ、そうしたあいまいさを解消していくべきだ。
 先の通常国会で自公民三党の賛成により衆院で可決された自民党案(衆院の解散でその後、廃案)には、派遣機種や武器の携行などが明示されていなかった。
 このため連立政権を構成する社会党が「自民党案通りだと自衛隊の海外派兵に道を開く」として法改正に反対する姿勢をとった。
 その後、社会党は連立政権維持の立場と、「妥協しなければ自民党案が成立してしまう」との危機感から党内調整を進め、連立与党は社会党の主張を一部取り入れることで与党案を策定。これを受け政府は五日、法案を閣議決定した。
 政府案は、焦点だった派遣機種については「政府専用機」(ボーイング747ジャンボ機)としたうえで、派遣先の空港の滑走路が短く政府専用機の着陸が困難な場合などは、自衛隊の輸送機(C130)を利用することを盛り込んだ。
 これと併せて政府は、いわゆる歯止めとして「派遣先の空港、飛行経路で、航空機の安全が確保されない場合は邦人輸送を実施しない」「派遣先の状況、機種や機数、人数などを勘案し、自衛隊機派遣については必要に応じて閣議決定する」「いかなる場合でも戦闘機は使わない」「派遣先国での防護のための武器は携行しない」などの運用方針も閣議決定した。
 矛盾の最たるものは「安全が確認されない場合は飛ばさない」という点だ。安全なら、これまでのように民間の定期便やチャーター機で十分ということにならないか。自衛隊機派遣が先にありきの法案では、との批判が出ているのはこのためだろうが、安全に関する判断基準や確認方法もあいまいである。詰めた論議が必要だ。
 また自衛隊機派遣については「必要に応じて」閣議決定するとしているが、歯止めとしては弱い。シビリアンコントロール(文民統制)の面からも、派遣すべてを閣議決定とすべきではないか。
 社会党の姿勢にも疑問がある。政権与党の責任を果たすため、従来の党方針から踏み出し現実的選択をしたということだろうが、では「自衛隊は違憲」とする基本政策との整合性はどうなのか。同党は、野党のままでは出来なかった歯止めが入り、連立政権の意義が発揮されたと自賛しているが、この矛盾をどう説明するのか明確に答える責任がある。
 
 
 
 
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