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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/08/26 毎日新聞夕刊
ミサイル防衛、日米で共同研究 集団安保・宇宙利用・予算…問題山積−−TMD構想
◇北朝鮮の“脅威”に対応
 冷戦構造の崩壊で日本の伝統的“仮想敵国”ロシアの軍事的脅威は低下した。代わって最近クローズアップされているのが核開発疑惑、新型弾道ミサイル実験の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の“脅威”。そんな中、防衛庁はこのほど米国と将来のミサイル防衛構想を共同で研究することで合意した。この「戦域ミサイル防衛」(TMD)構想とは、どういうものだろう。いきさつと問題点を探ってみた。
 八月二日、訪日したウィズナー米国防次官は北朝鮮のミサイル開発を「(東アジア地域への)本当の脅威と考えている」と述べ、TMDの必要性を強調した。その裏には、各国が独自のミサイルシステムを持ち、ミサイル攻撃の脅威に備えがある欧州よりも、日本に持ちかける方が早いという米国の狙いがあるようだ。
◇スターウォーズ計画中断後浮上
 TMDは、大陸間弾道ミサイルを宇宙空間で破壊しようという、レーガン政権時代に浮上したSDI、いわゆるスターウォーズ計画が、米国の経済停滞などから中断したあと浮上。米本土を守る「国家ミサイル防衛」(NMD)構想とともに同盟国、在外米兵力を守るため一九九一年から開発、配備が進んでいる。
 一方、日本側は「北朝鮮の射程千キロというミサイルは日本・在日米軍を標的にしたもの」(防衛庁)と位置づけながらも、「労働1号」が実際に日本に向けて発射された場合「現在の防空システム、防空能力では全く対処できない」(石塚勲・航空幕僚長)のが現実。このためミサイル防衛システム整備の必要性は大いに強調したいところだ。そこに米のTMD構想提案。技術力と経済力のある日本と共同開発したいとする米と、思惑が一致したわけだ。
 TMDは、ミサイルが発射されると、その赤外線を警戒衛星がキャッチし、ミサイルの方向、速度などの情報を伝える。情報は地上の解析センターで分析、絞り込み作業を経て、ミサイル迎撃システムである「パトリオット改良型」、「新型ホーク」、海上に展開する「強化型イージス艦」などに伝達。迎撃ミサイルを発射して、上空で撃ち落とす。湾岸戦争でお茶の間の網膜にすっかり焼き付いた仕掛けだ。
◇自衛隊情報網の統合も急務
 さらに、米国が二〇〇〇年をめどに進めている四軍(陸・海・空・海兵)相互の情報伝達網を整備する新通信システム「統合戦術情報配布システム」(JTIDS)のノウハウと実際の運用を日本に開放するかという問題も関係してくる。 現在自衛隊では、航空自衛隊のバッジ・システムが探知した目標の情報は上空に展開する同じ空自の戦闘機やパトリオット部隊には即座に伝わるが、陸上自衛隊のミサイル部隊、さらに海上自衛隊のミサイル搭載艦艇などにはストレートには伝わらない。この昔ながらの情報断絶を解消するために、情報通信の統合システムの確立は自衛隊でも急務とされている。「自前でやるか、米JTIDSをもらうかの選択がある」(自衛隊幹部)という状況。
 米はTMDに十八億ドル(九四年)の予算をかけており、日本との共同研究ではかなりの負担を求めてくることは確実。TMDを日米共同でやる場合の問題点として防衛庁の畠山蕃事務次官は「(1)集団安保(2)宇宙の平和利用(3)費用対効果――をクリアしなければならない」と述べている。
 「脅威」を強調することで防衛力整備を図る防衛庁としてはTMDはノドから手が出るほど欲しいものだが、国民のコンセンサスもできておらず、防衛予算が伸び悩む現状で、果たして実現するのか。TMD問題は予算、宇宙利用、集団的自衛権などの政治的問題のほか、自衛隊内部の統合通信システムの確立、陸海空の指揮系列問題などを抱えながらも、現実には動き出している。どうする連立政権。
◇防衛庁は情報提供の義務あり
 軍事評論家・江畑謙介さんの話 TMDが本当に必要かどうかは国民が判断することだが、防衛庁は国民が客観的に判断するための情報を提供する義務がある。脅威といっている北朝鮮のミサイルも命中精度や開発段階が不明。脅威を具体的に明らかにすべきだ。TMDを日米共同でやれば経済的分担、研究期間短縮などいい面もある。一方、米国が日本の技術の民需転用を制限する可能性もある。(この記事には図「戦域ミサイル防衛システムの概念図」があります)
 
 
 
 
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