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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/01/04 産経新聞朝刊
【主張】教育基本法改正 「戦後」の歪み正そう 尊敬される日本人育成を
 
 制定から半世紀以上が経過した教育基本法の改正の方向がようやく見えてきた。昨年十一月、文部科学省の中央教育審議会は「国を愛する心」や「伝統文化の尊重」などを求めた中間報告を発表した。現行法にない重要な教育理念が盛り込まれている。答申に向け、さらに議論を重ね、子供たちが日本に誇りをもてる教育の道しるべとなる根本法規に仕上げてほしい。
 占領下の昭和二十二(一九四七)年三月に制定された現行の教育基本法は「人格の完成」「個人の尊厳」など、世界共通の教育理念をうたっている。しかし、肝心な日本人としてのありようや規範についての規定が欠落していることは、これまで、しばしば指摘されてきた通りである。
 
◆曲解された「不当支配」
 普遍的とされる現行規定についても、欠陥が露呈している。例えば、第一〇条の「教育は不当な支配に服してはならない」とする規定は、一部に「国は教育に介入できない」「国の学習指導要領に法的拘束力はない」などという一方的な解釈を生み、逆に、過激な教師集団などによる“不当な支配”を招いた。第五条の「男女共学」も、占領軍の指示でやみくもに進められた感が強く、良き校風まで失ってしまった学校が多い。
 改正法案に新たに盛り込まれようとしている「国を愛する心」は、子供たちが尊敬される日本人として国際社会で生きていくために欠かせないものである。日本の国旗・国歌を尊重し、外国の国旗・国歌にも敬意を払う態度や、日本の歴史と文化を愛し、外国の歴史にも理解を示すバランスのとれた国家意識の育成にもつながる。
 家庭教育についても、新たな規定が設けられる見通しだが、踏み込んだ議論が少し足りないようだ。中間報告は「これからの教育には、学校・家庭・地域社会の連携が必要」としている。それはその通りだが、それだけではないだろう。家庭の教育力の低下は、戦後教育が個人主義を強調しすぎたあまり、社会の最小単位である家族の価値を軽視してきた結果でもある。家族愛や家族の絆(きずな)の大切さが分かるような形にしてもらいたい。
 中間報告には、「性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会を実現することが重要な課題」というくだりがある。誰も反対できない文言だが、このままでは、男らしさ、女らしさまで否定する過激なジェンダーフリー教育を加速しかねない。
 新しい教育基本法を考えるうえで、拉致事件から学ぶものも多い。
 
◆拉致事件に学ぶべきだ
 年末開かれたシンポジウムで、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父、滋さんは「拉致事件を通じて、国家のあり方、愛国心、家族のあり方を教えてほしい」と訴えた。母、早紀江さんは「めぐみが帰ってきたら、いなくなった夜(昭和五十二年十一月十五日)につくっていたホワイトシチューを食べさせてあげたい」と話した。北朝鮮から二十四年ぶりに帰国した蓮池薫さんの兄、透さんは「弟は故郷(新潟県柏崎市)に帰って昔の光景に接し、日本は自分たちを見捨てていなかったんだと深く心に刻んだ」と語った。
 これが「家族愛」「郷土愛」「国を愛する心」というものだろう。中教審の委員も参考にすべきである。
 戦後、歴代文相は何度か、教育基本法の欠陥を補おうと腐心してきた。昭和二十六年、天野貞祐文相は失効した教育勅語に代わるものとして、国民実践要領を示した。三十一年、清瀬一郎文相は「教育基本法には、国への忠誠と家族の恩愛の情が欠けている」と批判した。三十五年、荒木万寿夫文相は「良き日本人づくりが欠けている」として、中教審に「期待される人間像」の検討を指示し、その答申が四十一年に出された。いずれも、健全な家族観や国家観を取り戻そうというねらいだったが、教育界や言論界から反発を受け、成功しなかった。
 今回の中教審での見直し論議は、森喜朗前首相の私的諮問機関、教育改革国民会議の要請を受けたものである。四月までに答申をまとめ、それに基づく改正法案が六月までの通常国会に提出される予定だ。今度こそ、実りある成果を期待したい。


 
 
 
 
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