日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2000/10/05 産経新聞朝刊
【主張】教員の組合活動 授業時間内とは言語道断
 
 三重県の学校教員らが三年間で、勤務時間中に六十万時間を超える組合活動を行っていたことが分かった。県教育委員会は、不当に支給された給与十億円以上の返還を求めるという。組合活動と教育活動は峻別されなければならず、当然の措置である。
 三重県では昨年来、北川正恭知事らの指導のもと、勤務評定の形がい化や国旗・国歌の指導の不徹底など、教職員組合による適正を欠いた教育の実態に次々とメスが入り、正常化がはかられている。勤務時間中の組合活動調査もその一環である。
 同県の公立学校の教職員は八割以上が日教組系の三重県教職員組合(三教組)に属し、「日教組王国」といわれる。平成七年に北川県政が誕生するまでは、三教組などの推薦を受けた革新色の強い知事の県政が六期二十三年続いた。このため、多くの学校では、勤務時間中の組合活動を校長らも暗に認めていたという。そうした“悪しき慣例”を断ち切ろうとする北川知事らの毅然とした姿勢を評価したい。
 同じような例は、他の自治体にもあるとみられる。教組の勢力の強い都道府県教委は、この三重県方式を参考に実態調査を行ってほしい。
 広島県では、教員が組合活動で学校を離れるさい、いったん年休届を出し、後で破棄する“破り年休”が明らかになり、給与の返還が行われている。小学生の土下座要求が表面化した東京都国立市でも、教員の勤務時間中の組合活動が問題になり、都監査委員は都教育長に対し給与支出の損害額補てんを勧告した。神奈川県でも、同様の問題が鎌倉市議会で指摘され、全県に波及しようとしている。
 公立学校の教職員など地方公務員にも、原則として争議行為以外の組合活動が認められている。しかし、教師が組合活動を行う場合は、授業に支障をきたさないことが常識ではないか。
 森喜朗首相の諮問機関、教育改革国民会議は先月の中間報告で、「教師の意欲や努力が報われ評価される体制づくり」を求めた。勤務評定の見直しや教員養成課程の改善、教員免許の更新制など課題は山積しているが、その前にやらねばならないことがある。組合活動と教育活動のけじめである。
 組合活動は、原則として授業時間以外に行う。授業中に組合活動を行う必要が生じた場合は、事前に校長に届け出る。代わりに授業をする教員の手当てもしておく。まことに情けない限りだが、教員の資質改善のためには、こんな基本的な職場教育から始めなければならないのが、日本の公立学校の実態なのだ。


 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。





サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
12位
(35,690成果物中)

成果物アクセス数
533,472

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2023年5月27日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【中国について】
2.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
3.私はこう考える【天皇制について】
4.私はこう考える【国連について】
5.私はこう考える【ダム建設について】
6.私はこう考える【死刑廃止について】
7.私はこう考える【北朝鮮について】
8.私はこう考える【自衛隊について】
9.私はこう考える【憲法改正について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から