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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1998/06/13 産経新聞朝刊
【教育再興】(70)広島の教育(10)沸き上がる声 「常識」通用する学校に
 
 文部省、県や市町村の教育委員会、教師、親らが一体となって、是正に向けて動き始めた広島県の教育。正常化を願う声は産経新聞社にも多く寄せられている。その一部を紹介すると。
 福山市内のある男性。小学校卒業を前に、卒業証書を西暦表記するかどうかの希望を、先生がクラスの一人ひとりに尋ねたことがあった。この男性の子供が「元号でいい」と答えると、先生は「君は今までなにを勉強してきたのか」と問い返したという。
 また尾道市内で中学生と高校生の子供をもつ保護者は、その中学校の卒業生のなかに「君が代」を歌えない子供がいたため、オーストラリア留学が決まった際に親が教えたケースがあった、と話した。「学校では国際交流を推進する、と言っているが、自分の国の国歌も知らない子供に国際交流ができるでしょうか」
 海外赴任の経験が長かった福山市内の男性は、アフリカのある国で現地の学校の近くを歩いていたときの経験を例に挙げた。「その学校に通っている生徒が走ってきて、『国旗掲揚中なので足を止めて脱帽し、視線を国旗にあわせてください』といったんです」。その常識が日本では通じないことがある、とこの男性はいう。
 広島市内の小学校と中学校に通う子供をもつ別の保護者は、文部省の調査を「遅過ぎた」と批判する。「子供は成長が早い。一年間で何センチも身長が伸び、中学校、高校は三年たったらもう卒業。一刻も早く是正してほしい」と話した。
 
 「その中学校では、四年前から急に組合加入の先生が増えた」。広島市内の市立中学校教師も、こう語り始めた。それまで通常に行われていた卒業式が、その年から「君が代」が流れた途端に教師が着席するようになった。国旗・国歌に反対する授業も行われた。
 「教師の姿勢は子供たちに敏感に影響する。反抗的な態度を取る生徒が、多くなったような気がする」
 さらにこの教師はいじめ問題への影響にも言及した。「組合が強いと、昼休みの給食時間に先生が教室にいない。いじめが起きても、教師は『休憩時間のことだから』と知らないふりをする。校長と休憩の取り決めをするのはいいが、いじめがあると分かっているのなら、教室にいるのが普通の教師ではないか」
 高校の現場からも、教師の告発の声が聞こえる。県東部の県立高校教師は「組合に所属していないと仕事がやりにくい」と打ち明ける。広島県高校教職員組合の組織率は九割以上。この教師も組合に加入している。
 「非組合員は、共同の仕事をするときに協力してもらえない。年休を取ろうとしても『年休は組合が勝ち取ったもの』と嫌みを言われる」と証言する。
 運動会の万国旗の中で日の丸だけが切り取られていたケースがあったと証言する別の広島市内の小学校教諭はこう話した。
 「自分の国を愛さず、自分の先祖がやってきたことを『間違っていた』と教え込まれ続けるとどうなるか。今の子供たちは、そんな『壮大な実験』の犠牲者なのではないか」
 
 校長の証言も寄せられた。広島市立小学校の校長は「長く同じ学校にいる組合の教職員が強い態度に出るケースが多い」と話す。赴任したばかりの教師が「休み時間に掃除しましょう」と提案すると、時間外勤務となるためか、職員会議で猛反対されるという。「学校をきれいにすることは、教師として当たり前だと思うのですが…」
 修学旅行や野外活動などによって教職員が超過勤務になると、慣例として「回復」と呼ばれる措置がとられる。十二時間の超過勤務があった場合、その後約二週間かけて終業時間を一時間ずつ早めることもある。その教師は「回復」によって、平日でも午後四時前に学校から帰ることができるという。
 校長は「超過勤務分を調整することには問題がないとしても、民間の会社ではなかなか想像できないこと」と話した。
 
 文部省の是正指導から約二週間たった六月上旬。県高校PTA連合会の総会で、三木日夫会長は「教育の正常化を目指し、保護者の立場から支援しよう」と呼びかけた。そして総会の後、「教職員は自分のための職場をつくるのではなく、子供のための学校をつくることに努力してほしい。教職員組合と管理職側の力と力のせめぎあいよりも、『常識』が通用する学校になってほしい」と。
 三木会長のこの言葉は教職員や保護者ら改革を望むすべての人の思いと共通する。
 
■教職員組合の組織率
 広島県内の公立高校で、県高校教職員組合(高教組)に所属している教職員(事務職などを含む)数は平成8年10月現在で約5500人。全体の93.0%を占める。高教組尾道地区支部の定期大会資料によると、昨春、新規採用された教職員のうち90.8%が所属。福山、尾道、三次の3地区では組織率100%となっている。
 公立小・中学校では広島県教職員組合(広教組)に所属している教職員は全体の38.0%にあたる約6450人。一方、全広島教職員組合(全教広島)には、広島市を中心に9.1%の約1600人が所属している。
 ちなみに、全国では、平成8年10月現在の日教組の組織率は33.0%、全教は9.6%。
 
 あなたの周辺で起きた教育問題に関する事例や試みについて、情報や意見を手紙でお寄せください。あて先は〒100−8078 東京都千代田区大手町一ノ七ノ二、産経新聞東京本社(FAXは03・3275・8750)の社会部教育再興取材班まで。


 
 
 
 
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