日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1995/04/05 産経新聞朝刊
【主張】心弾む新学期、五日制の課題
 
 桜前線の北上とともに、日本列島が躍動を始める。こんな季節に子供たちが入学、新学期を迎えるのは自然のリズムにあっているのかもしれない。
 ことしは、ことのほか心弾む四月である。学校週五日制が今月から、月二回に拡大されるからだ。一回が二回に増えたというよりも、完全五日制へ近づいたという前向きの受け止め方がほしい。教育の地平を開く新たな段階を迎えて、「なぜ五日制なのか」「なんのための五日制か」を教師や保護者だけでなく社会全体で改めて考え、認識の共有化を図ることが大事だろう。
 五日制は、ゆとりを取り戻し個性と創造性豊かな子供を育てようという教育改革の観点から導入された。この理念を生かすには、学校、家庭、地域の三者がそれぞれの持ち味を生かして教育力を発揮することが求められる。言い換えれば、五日制は学校はもちろん、家庭、地域、企業社会に変革をもたらすものでなければならない。
 月一回の五日制でも、家庭や地域の風景に変化があった。親子の共通体験や対話が増え、年齢を超えた交わりや行事が目立つようになった。地域が賑やかになり始めたいまこそ、子供たちをめぐる環境整備を急ぎたい。
 学校はどうだろうか。知識の量よりも、自ら学ぶ意欲や社会変化に主体的に対応できる能力を重視する「新学力観」に立つ教育が「五日制教育」の柱だが、まだ根付いていない。それどころか、「新学力観」を説く一方で、旧来の学力観(受験学力)による学力向上運動に血道を上げる自治体が少なくない。新学力観の徹底と教育内容の精選が最大の課題である。
 学習指導要領の改訂が不可欠だが、それが実現できない現状では、教育課程の自主的な編成を教育現場に期待したい。現行の標準時間にとらわれず、教科や行事などの精選に思い切って踏み込んでほしい。たとえば、教科の枠を超えた「総合学習」の試みや部活動の地域クラブへの移行、教育的意義を考慮した上での行事の廃止、簡素化などである。こうした取り組みは教科の再編、学習形態の多様化と開発につながり、学校改革への夢を広げる。
 ただ、「あまりに多くのことを教えることなかれ、されど教えるべきことは徹底的に教えろ」という学校教育の基本は守られるべきだろう。体験・問題解決型学習の「総合学習」や「生活科」はややもすると、系統立った知識の習得がおろそかになりがちだ。戦後一時期の「這い廻る経験主義」の轍を踏まないようにしてもらいたい。


 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。





サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
11位
(28,844成果物中)

成果物アクセス数
494,237

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年5月20日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【国連について】
8.私はこう考える【自衛隊について】
9.私はこう考える【憲法改正について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から