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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2000/02/12 読売新聞朝刊
教育基本法見直し 家族・地域社会などの観点含め幅広く議論 首相はヤル気満々
 
◆与野党、意見集約急ぐ 文部省、日教組に配慮し静観
 戦後教育の指針となってきた教育基本法の見直しをめぐる議論が活発化してきた。教育改革に意欲的な小渕首相が見直しに前向きの発言を繰り返し、与野党から賛否両論の声が上がっているためだ。近く発足する首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」の主要テーマの一つとなる見通しで、各党とも党内での研究、意見集約をスタートさせている。ただ衆院解散・総選挙もにらみながらの今国会で、どこまで腰を据えた教育論議が行われるかは不透明だ。
 「教育基本法の改正は復古調の愛国心を求めるもので、教育改革には有害無益だ」
 「制定以来五十年余りを経ており、教育全般に種々の問題が生じている今日、家族、地域社会、個人と公、生涯学習の観点も含め、幅広く議論を積み重ねていくことが重要だ」
 野党による事実上の代表質問が行われた十日の参院本会議。質問に立った民主党の本岡昭次参院議員会長が教育基本法改正反対を唱えたのに対し、小渕首相は持論を展開しながら、「幅広い議論」の必要性を改めて強調した。
 今国会では、自民党の森幹事長、自由党の扇千景参院議員会長らも質問でこの問題を取り上げ、見直し賛成の立場を表明している。
 四七年三月に施行された教育基本法は、憲法の精神を尊重することを前文で示すとともに、個人の尊厳を重んじ、平和を求める人間を育成するといった教育の目標、理念を定めている。 これについて、家族愛や日本の伝統文化を尊重するといった道徳の理念が欠けており、そのことが最近の学校現場で学級崩壊、いじめなどの荒廃を招く背景になっているのではないか――というのが見直し論の主張だ。
 八四年に中曽根内閣が臨時教育審議会を設置した際、教育基本法を改正して愛国心と道徳の理念を盛り込む動きが出たが、教育界の猛反発にあって断念した。最近の議論の盛り上がりは九九年の自民党総裁選がきっかけ。選挙戦で小渕首相が学校現場の荒廃、青少年の犯罪増加を踏まえ、教育改革の重要性を唱えたためだ。
 自民党は昨年末、党内に「教育基本法等研究グループ」を発足させ、見直し内容の検討を始めた。これまでの議論では〈1〉知育・徳育・体育のバランスを明確にする〈2〉「いかに生きるべきか」を発達段階に応じて教える〈3〉家庭、地域、国との関係の中で「個人」を自覚することを求める――などが論点となっており、今国会の会期末までに報告書をまとめる方針だ。
 自由党も見直しに積極的で、昨年から数回にわたって勉強会を開き、家族に関する条文、歴史の尊重などの盛り込みを求める方向で検討している。
 自自両党に比べ、公明党は見直しにやや慎重。今月二日にこの問題のプロジェクトチームを発足させたが、同法に宗教教育の条文があり、支持母体の創価学会との関係がある同党としては、あまり強い主張はできないという事情があるようだ。
 野党側では民主党の立場が微妙だ。本岡氏のような反対論がある一方、「環境教育や生涯学習の文言を盛り込んでもいい。最初から見直し論を否定すべきではない」(松沢成文ネクスト・キャビネット教育・科学技術担当)との意見もあり、党内が割れている。二月中にも調査会を発足させて意見集約する方針だが、見直しに反対している日教組と関係が深い旧社会党系議員に反対が強い一方、保守系議員の間では見直し論が強いという図式だ。「このままでは(賛否が割れたまま採決に臨んだ)国旗・国歌法の二の舞いになりかねない」との声も聞かれる。
 そうした中、首相は三月にも発足させる「教育改革国民会議」で、教育基本法の専門部会を設けて一年程度かけて議論する意向だ。法改正が短期間で実現する可能性は低いが、「総選挙で争点の一つになるのではないか」(政府筋)との見方もある。
 一方、文部省は今のところ見直し論議を静観している。日教組の反対姿勢が強いため、このところスムーズにいっている日教組との関係を荒立てたくないとの思惑も働いているようだ。
 
《教育基本法見直し論のポイント》
現行法 見直し論
前文(略)われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない(略) ▽「歴史、伝統文化の尊重」や「国を愛する心」、「家族を敬う気持ち」を持った人間を育成するという文言を盛り込む
▽家庭、地域社会、国、世界の中の個人を自覚することを求める
5条(男女共学) 男女は、互いに敬重し、協力し合わなければならないものであって、教育上男女の共学は、認められなければならない
▽戦後間もないころと違い、男女共学は当然のこととなっており、条文自体が不必要ではないか
7条(社会教育)家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない ▽「生涯学習」や「環境教育」の記述を盛り込む
▽家庭教育では、しつけを重視すべきだ
9条(宗教教育)宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない ▽人に対する感謝の念や、宗教心の育成を図る文言を盛り込む

 
 
 
 
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