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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/01/12 毎日新聞朝刊
[新教育の森]精神疾患で休職の教員、過去最多 「リピーター」問題に
 
◇遅れる予防、復帰対策
◇教育改革や保護者の要求…増えるストレス
 心の病気で休職する教員が増えている。文部科学省の調査によると、02年度に精神性疾患を理由に休職した公立学校の教員は過去最多の2687人に上り、病気休職者に占める比率は初めて5割を超えた。しかし、統計に表れるのは氷山の一角とみられ、休職と復職を繰り返す「リピーター教員」も増えている。矢継ぎ早の教育改革などで職場のストレス要因は増える一方、予防や現場復帰の対策は遅れがちだ。【横井信洋】
 東京都教職員互助会の三楽病院(東京都千代田区)の会議室。精神性疾患で休職中の教員8人と校長経験者のアドバイザー、精神神経科の医師らの模擬授業を見た。
 「それでは授業を始めます。まず道徳資料を出してください」
 「先生、道徳資料は2枚あります」
 「はい。絵が描いてあるほうを出してください。きょうは〇〇さんに読んでもらいます」
 三楽病院は97年度から都教委が選んだ約30人について年3回、10人ずつ職場復帰訓練をしている。週1、2回の模擬授業のほか自分の体験を話し合う集団精神療法、太極拳、社交ダンスなどがある。期間は3カ月だ。
 病院の訓練が終わり、第2段階の学校訓練が可能と判断された教員は、所属校に行く。午前中に職員室に出勤することから始め、徐々に勤務時間を延ばす。指導案の作成から授業参観、自習の監督やチームティーチングの補助、通常に近い授業へと進んでいく。
 三楽病院の精神神経科部長、中島一憲医師によると、同科を訪れる教員の初診患者は170〜200人で推移していたが、98年に250人を超え、その後も増えている。
 新学習指導要領の導入や学校完全週5日制が始まった02年は342人で、03年は400人近くになった。「新たに始まった総合的な学習の時間の負担や書類作成量の増大、絶対評価の難しさを訴える患者が多かった」と振り返る。特色ある学校作りをめざすための新しい仕事や、保護者の過大な要求もストレスの要因になり、「ぎりぎりまで努力する燃え尽き型と、ストレスに耐える力が弱い出勤困難型に大別される」という。
 だが、中島医師は「重症者が増えたわけではないことに注意すべきだ」と話す。精神科の敷居が低くなり、重症になる前に相談に訪れる教員が増えている。初診の教員のうち、半数程度は軽い抑うつで、1〜5回の通院で回復するという。
 中島医師は患者の増加よりも、休職と復職を繰り返す「リピーター教員」の存在を問題視する。
 「診察室で笑顔を見せた」「家庭で家事ができるようになった」。こうした理由で主治医が安易に復職を認めたりすれば、長続きせずに再び休職することになる。復職後に本人への負担を軽くすることや、管理職が相談に乗ることを怠って、再発につながることもある。
 同院で復帰訓練を受ける教員の4割がリピーターだという。中島医師は「リピーターを防ぐためには、念入りな復帰訓練が最も大切だ。自治体も積極的に訓練制度を導入すべきだ」と指摘する。
 都教委によると、99年度に復帰訓練を受けた32人のうち23人が、00年度は30人のうち15人が完全に復職している。
 一方、指導力不足が原因で精神性疾患になる場合もある。資質に欠ける教員が人並みに仕事をできずに過度にストレスを感じ、抑うつ状態になるケースもある。三楽病院でも明らかに教員に向かない患者には転職を勧めることもあるという。
 ある都立養護学校の校長は、まじめに努力している教員と指導力に問題のある教員は区別すべきだと強調する。この養護学校の約100人の教員のうち、50歳代の女性と40歳代の男性が精神性疾患を理由に休職中だ。
 この2人について校長は「学校に1、2カ月出てきても、2、3枚程度のリポートや、通知表を書けないことをきっかけにまた休む。休職期間中も給与は出るので、前任校では休職を繰り返しながらマイホームを建てた教員もいた」と語る。
 
◇2年目まで8割支給、3年目は共済組合が補てん−−休職教員給与
 文科省の調査では、昨年度に精神性疾患で休職した公立学校の教員は前年度比で184人増え、病気休職者全体の50・7%になった。教員全体では345人に1人の計算になるが、休職に至らない病気休暇や病気を抱えて勤務を続ける教員は含まれていない。
 三楽病院の中島医師も文科省調査は精神性疾患の教員全体から見れば氷山の一角と分析する。「リピーター教員についても東京以外の自治体から相談を受けることも多くなった」と話す。
 教員の職場復帰について、89年度に始めた東京都のように病院の訓練と学校での訓練を組み合わせる例は少ないが、長野県や香川県など復帰前の研修・訓練を取り入れる自治体は増えている。兵庫県は昨年度から近畿中央病院(伊丹市)に委託して東京方式の復帰プログラムを始めた。
 都の場合、病気休暇で最長6カ月、引き続き3年間までの休職が認められている。休職1、2年目の給与は正規の8割。3年目は無給だが、共済組合からの補てんでやはり8割が保障される。都は今後、残業手当代わりに支給されている教職員調整手当を休職者には支給しない方針だ。
 (この記事にはグラフ「公立学校教員の病気休職者」があります)


 
 
 
 
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