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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2002/02/25 毎日新聞朝刊
[新教育の森]中教審「学び」逃避傾向に警鐘(答申)
 
◇新・教養のススメ−−「幅広い年代で」強調
 中央教育審議会(鳥居泰彦会長)は21日、これからの教養教育や教員免許制度改革などに関する三つの答申をまとめた。昨年1月の省庁再編に伴って大学審議会など七つの審議会を統合した新中教審の初の答申で、21世紀の教育改革の方向を示す内容となっている。中でも「新時代の教養教育」を論じた答申は、大学の中だけで語られてきた「教養教育」について発想を転換し、幼児期から成人まで幅広い年代で必要だとして各段階で教養を身につける方策を提言した。
 教養教育の答申で、中教審は「便利さと物質的な豊かさを手に入れながら、生活や社会全般において豊かさを実感しにくい。価値観が揺らぎ、個人も社会も自信や将来展望を持ちにくい」と日本の現状を分析した。
 このため、「学ぶことの目的意識が見失われ、まじめに勉強したり努力することを軽んじる傾向がある」と述べ、子供や若者に目立っている「学びからの逃走」に警鐘を鳴らした。
 こうした時代にこそ「自分の立脚点を確認し、目標の実現に向けて、主体的に行動する必要がある」と呼びかけ、「新しい時代の教養」がこれを実現する力になると位置付けた。
 
★ゲーム時間制限
 答申は「幼少年期」「青年期」「成人」に分けて、年齢別に「教養を身につける方策」を示した。
 幼少年期(12、13歳まで)では「教育の原点は家庭にある」と述べ、善悪を区別する心や譲り合う心、社会で生きていくための基本的な決まりを子供に身につけさせる必要性を強調した。
 しかし「子供に毎日決まった手伝いをさせる」「テレビやゲームに費やす時間を制限する」など、本来親の裁量に任されるべき内容に立ち入った提言も目立つ。これが「教養」とどう結び付くのか、こうした提言にどこまで実効性があるのか、疑問視する声もある。
 小中学校段階では、確かな基礎学力を育てるため「反復練習や個別の家庭学習の課題設定、放課後の個別指導や補習」の実施を求めた。基礎・基本の着実な定着が、その後の「教養」に大きく影響するという見方だ。
 子供の学習進度に合わせて「発展的な学習や補充的な学習」の充実も求めており、1月に遠山敦子文部科学相が打ち出した「学びのすすめ」と重なる部分が多い。
 
★高校でも“卒論”
 高校段階では、知識をさらに深めることや論理的な思考力、表現力を身につけることを求めている。
 来年から高校でも導入される「総合的な学習の時間」を使って、「卒業論文」や「思索の記録」などを生徒に書かせ、討論を通じて論理的な思考を養う。また、死や病、挫折など、喪失感をもたらす人生の側面を学ばせ、人生全体を見渡す機会も提供すべきだと強調している。
 このほか、進路指導で将来の生き方を考えさせる指導をしたり、ボランティアやスポーツ活動などを通じて人間の幅を広げることも必要としている。
 
★大学の教養、再生
 91年の大学設置基準改訂で「人文科学」「自然科学」などの履修単位の制約がなくなり、大学が独自にカリキュラムを編成できるようになった。このため多くの大学が「高校の授業の焼き直し」などと酷評されていた教養課程の授業をやめ、学部の専門教育を行うようになり、国立大学では「教養部」が次々に解体された。
 その結果、学生は専門以外の幅広い科目を学ぶ機会が減り、「何のために学ぶか」などを考えた経験がなく、学問に向かう基本的な動機に欠ける者も目立ってきた。この反省から、答申では新しい教養教育の指導体制作りを求めている。
 複数の分野にまたがる学際的なテーマの授業を複数の教員で担当したり、実験・実習を取り入れることや、ゼミナール方式の少人数授業の実施▽ほかの大学のモデルになるような教養教育を実践している大学を「重点大学」として支援する――など、具体的に提言している。
 
◇「朝の10分読書」「必読書30冊」提案
 答申では、幼児期から大学までを通して「国語」「読書」の重要性を指摘している。幼少年期は国語教育の充実を求め、家庭では絵本や昔話の読み聞かせをし、学校でも名文や詩歌の素読や暗唱、朗読を勧めている。「朝の10分間読書」も読書の楽しみが分かり、集中力がつくと期待している。
 高校では、学校ごとに「必読書30冊」を選び、卒業までに読むことを例示した。大学でも、和漢洋の古典を中心とした「グレートブックス」のリストを学生に示し、読破を求めるとしている。
 若者の活字離れが指摘される中、どこまで本に目を向けさせることができるか。
 
◇その他の答申(要旨)
 このほか中教審がまとめた教員免許制度と、大学などが社会人を受け入れる方策についての答申要旨は次の通り。
 
【今後の教員免許制度のあり方について】
■免許の総合化、弾力化
 中学、高校の理科、数学などの免許を持つ者が小学校で専科の担任として教えられるようにする▽小学校の教員が中学校の免許を取ったり、中学校の教員が高校の免許をとるなど、隣接する校種の免許を教員が取得するのを促す▽幼稚園、小、中、高校の免許の総合化は中長期的課題として専門的研究を進める
 
■免許更新制
 ほかの主な資格では有効期限のあるものはなく、一般の公務員にも任期制がないことなどを考えると、教員に免許更新制を導入し、適格性を判断したり、新たに研修を課すのは慎重にならざるをえない
 
■教員の資質向上策
 人事管理システムをつくり、指導力不足の教員などが教壇に立たないようにする▽懲戒免職になっても「情状が重い」と判断されなければ免許を取り上げられない制度を改め、免許取り上げの対象を拡大する▽教職を10年経験した教員に、勤務成績や研修実績に応じた研修を実施▽学校の自己点検・評価の結果を保護者や地域に公開する学校評価システムを確立する
 
■特別免許状の活用
 教員免許のない社会人などが、都道府県の検定を受けて取得する特別免許状の制度を活用するため、対象を大卒者以外にも拡大し、有効期限も撤廃する▽都道府県が教員採用に社会人特別枠を設けるよう促す
 
【大学などの社会人受け入れの推進方策について】
■長期履修学生制度の導
 職業を持ちながら学ぶ機会を拡大するため、個人の事情に応じて大学なら4年、短大なら2年という修業年限を超えて履修し、学位を取れる仕組みを導入する。長期履修学生が在学できる最長年限は大学、大学院、短大、専門学校が学則などで定める。修業年限分の授業料総額を学生が在学を希望する年限で分割して納入できるようにするなど、配慮する
 
■専門大学院1年制コース
 高度な専門職業人を養成する専門大学院に1年制コースを設置する。主に実務経験のある者を対象とし、社会人に配慮した教育研究環境や事務体制を整備する
 
■通信制博士課程の制度化
 社会人が修士課程修了後に高度な研究を行う機会を拡大するため、通信制博士課程を制度化する


 
 
 
 
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