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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/07/20 毎日新聞朝刊
[特集]学校はどう変わるか・中教審答申(その3) 中教審答申の要旨
 
 第15期中央教育審議会が出した第1次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方」の要旨は次の通り。
 
第1部 今後における教育の在り方
 【子供たちの生活の現状等】
 今の子供たちは積極面もある一方、ゆとりのない生活、社会性の不足や倫理観の問題、自立の遅れ、健康・体力の問題などがある。家庭や地域社会の教育力は低下の傾向にある。これからの社会は、国際化、情報化、科学技術の発展などが一層進展し、変化が激しく、先行き不透明な時代になる。
 【今後の教育の基本的方向】
 豊かな人間性など時代を超えて変わらない価値のあるものを大切にするとともに、社会の変化に的確かつ迅速に対応する教育が必要だ。
 これから求められる資質や能力は、変化の激しい社会を「生きる力」で、それは、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断・行動し、よりよく問題を解決する能力だ。また、自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性とたくましく生きるための健康や体力だ。
 今後の教育では、学校・家庭・地域社会全体を通して「生きる力」をはぐくむことを重視する。そのために、個性重視の考え方は一層推進されるべきだ。学校・家庭・地域社会の連携とバランスをとり、家庭や地域社会の教育を充実する。子供たちの生活体験・自然体験を増やし、子供と社会全体の「ゆとり」を確保しなければならない。
 【特に重要な課題】
 過度の受験競争の緩和。(これは今後、本審議会で引き続き検討する)
 いじめ・登校拒否の問題は、現代社会の在り方に深くかかわり、社会全体に投げかけられた課題だ。同質志向を排除して、個を大切にし、個性を尊重する態度やその基礎となる価値観を育成する。
 子供の「転学」の一層の弾力化、適応指導教室の積極的活用、登校拒否の子供のためのバイパスとして「中学校卒業程度認定試験」の有効活用など、家庭などと連携した開かれた学校運営をする。
 登校拒否の子供の指導には、もとの仲間や生活に戻ることのみにこだわることなく、子供が登校拒否を克服する過程でどのように個性を伸ばし、成長するかという視点を重視し、ゆっくり時間をかけて取り組むことも重要だ。
 
第2部 学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方
第1章 これからの学校教育の在り方
 「生きる力」の育成を基本とし、知識を教え込むことになりがちだった教育から、自ら学び、自ら考える教育への転換を目指す。学校はその実現のため、「ゆとり」のある環境で、一人一人の子供を大切にした「ゆとり」のある教育環境を展開する。
 【次の教育課程の改訂に当たって】
 教育内容を基礎・基本に厳選し、授業時数を縮減する。単なる知識や暗記に陥りがちな内容、学校段階・学年間・教科間で重複する内容などを精選する。
 新たな社会的要請に対応する内容を学校教育で扱うには、その必要性を十分吟味し、厳選する。
 一人一人の個性を生かすために、教育課程の弾力化、指導方法の改善、特色ある学校づくりを一層推進する。中学校では、各教科の授業時数の選択幅の拡大などをする。高校では、必修教科・科目の内容や単位数の削減、生徒の選択の拡大。総合学科が当面通学範囲に必ず用意されるよう整備を進める。
 横断的・総合的な指導を推進するため、各教科の教育内容厳選で時間を生み出し、「総合的な学習の時間」を設ける。その学習活動については、国際理解、情報、環境、ボランティア、自然体験などが考えられるが、子供たちの発達段階や学校段階、学校や地域の実態に応じて、各学校の判断で創意工夫する。その際、試験の成績によって数値的評価は行わない。
 【将来における教育課程の改訂のために】
 教科の再編・統合を含め、早急に検討に着手することが必要だ。このため、教育課程審議会にそれらを継続的に調査審議する常設の委員会を設け、その成果を施策に反映する。
 【新しい学校教育の実現のための条件整備】
 教員1人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近づける。教員養成・研修や採用の改善をし、学校外の社会人を活用する。スクールカウンセラーなど専門家との連携を進める。
 
第2章 これからの家庭教育の在り方
 子供の教育や人格形成に対し、最終的な責任を負うのは家庭。家庭教育は、家族との触れ合いを通じ、「生きる力」の基礎的な資質・能力を育成する、すべての教育の出発点である。
 家族が一緒に過ごす時間のため、社会全体で「ゆとり」を確保するための条件整備を進め、父親の家庭教育参加に企業の協力を呼び掛ける。
 【充実方策】
 新しいメディアを活用するなど学習機会を充実させ、日常的な生活圏で子育ての支援ネットワークづくりを進める。ボランティア活動などで親子共同体験を持つ。
 
第3章 これからの地域社会における教育の在り方
 【充実方策】
 遊び場の確保、学校施設の活用、社会教育・文化施設の整備と新たな事業展開、新たなスポーツ環境の創造などで、活動の場を充実させる。活動機会として、祭りや伝統芸能の継承・復活、ボランティア活動、都市部と過疎地域の交流、長期の自然体験などがある。指導者の養成・確保をする。地縁的な結びつきによるだけではなく、同じ目的や興味・関心で結びつき、子供たちを育てる教育の場「第4の領域」を育成する。
 【体制の整備】
 市町村教育委員会などが核になり、地域のさまざまな機関が参加する「地域教育連絡協議会」や公益法人などとして事業を実施する「地域教育活性化センター」を設置する。民間教育事業者の文化・スポーツ活動とも連携する。
 
第4章 学校・家庭・地域社会の連携
 社会に対し「開かれた学校づくり」を進める。地域の人々や父母の非常勤講師・学校ボランティアとしての参加、学校施設の開放と余裕教室の活用、学校と社会教育施設の複合化を検討する。
 本来家庭や地域社会で担うべきものを学校が担っている現状を改善する。日常生活のしつけや、学校外での巡回補導・指導などは、家庭や地域社会が担う。
 部活動は、教育活動の一環としての意義は評価しつつ、勝利至上主義の一部の行き過ぎは改善を図る。学校や地域の実態を踏まえ、地域社会にゆだねることが適切かつ可能なものはゆだねていく。学校外活動を学校においても評価する方法を検討する。
 
第5章 完全学校週5日制の実施について
 学校週5日制は、子供たちに「ゆとり」を確保し、「生きる力」をはぐくむという今後の教育の在り方と軌を一にするもので、教育改革の一環として21世紀の初頭を目途に完全実施を目指す。
 教育内容を厳選するなど、学習指導要領を改訂する際には、学校週5日制の円滑な実施に資するよう、全体として授業時数の縮減を図る。
 学力の評価は、単なる知識の量の多少ではなく、「生きる力」を身につけているかどうかによってとらえる。
 【完全実施に当たって特に留意すべき事項】
 文部省が関係省庁と連携し、学校外活動提供の体制整備の指針を作成。それを参考に市町村教育委員会が実施プランを作る。その際、幼稚園や小学校低学年で土曜日に保護者が家庭にいない子供、障害等のある子供への配慮を要する。
 過度の受験競争の緩和のため、土曜日の塾通いについて、親の理解や塾関係者の節度ある行動を要望する。土曜日などの部活動は行き過ぎがないよう、適切に指導する。
 全国的に統一して実施することが望ましい。国公立と歩調を合わせた導入を私立に強く要望する。
 
第3部 国際化、情報化、科学技術の発展等社会の変化に対応する教育の在り方
第1章 社会の変化に対応する教育の在り方
 子供たちが感動を覚え、疑問を感じ、推論するなどの過程を大切にし、教科の枠を超えた横断的・総合的な教育活動を展開する。
 
第2章 国際化と教育
 異文化に対する理解や、異なった文化を持つ人々と協調して生きていく態度を育成する。我が国の歴史と伝統文化への理解を深め、日本人としての自己の確立を重視する。
 小学校における外国語教育については、教科として一律に実施する方法は採らないが、国際理解教育の一環として「総合的な学習の時間」や特別活動などで、地域や学校の実態に応じ、英会話等に触れる機会や外国の生活や文化に慣れ親しむ機会を持たせることができるようにする。その際、ネイティブ・スピーカー(その言語を母国語とする人)などの活用を図る。
 海外在留の子供たちや帰国した子供たち、日本在留の外国人の子供たちの教育の改善・充実をする。
 
第3章 情報化と教育
 情報や情報機器を主体的に選択・活用し、情報を積極的に発信していくための基礎的な資質や能力「高度情報通信社会における情報リテラシー(情報活用能力)」の育成をする。小・中・高を通じ系統的・体系的な情報教育を進める。
 情報通信ネットワークを本格的に活用し、学校をはじめさまざまな機関とネットワークを形成、へき地や病気療養児の学習への積極的活用を図る。近い将来、すべての学校がインターネットに接続することを目指す。教育などに関する情報を収集し、データベース化し、全国に提供する教育情報のナショナルセンター機能を整備する。
 人間関係の希薄化や自然体験の不足など、情報化の「影」の部分を克服しつつ、心身ともに調和のとれた人間や情報モラルの育成に努める。
 
第4章 科学技術の発展と教育
 子供たちの「発見する喜び」や「創る喜び」などの体験を通して、科学への興味・関心を高め、科学的なものの考え方を育成する。それを適切に評価できるよう入学者選抜を改善する。子供たちが直接物に触れ、動かすなどの五感を使った体験ができるよう科学博物館などを整備するほか、大学・企業の施設見学やセミナー開催を促進する。
 
第5章 環境問題と教育
 「環境から学ぶ」「環境について学ぶ」「環境のために学ぶ」という視点に立つ。自然保護関係者など社会人の活用をする。体験的学習を重視し、自然観察や野外活動など自然に親しむ機会を充実する。身の回りのできることから環境問題に取り組むためにもボランティア活動を奨励する。
 
今後の検討課題
 この1次答申後、高校教育の改革・大学教育の改革、大学・高校の入学者選抜の改善、いわゆる中高一貫教育の導入や教育上の例外措置などをはじめ「一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善」について審議を開始する。それとともに、国際社会で活躍する人材の育成や創造性の涵養(かんよう)などを含め「国際化、情報化、科学技術の発展等社会の変化に対応する教育の在り方」を、引き続き審議する。


 
 
 
 
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