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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/04/22 毎日新聞朝刊
入学式の日の丸・君が代、義務化の効果ずしり――本社全国調査
 
◇29の都府県で実施率上がる
 新学習指導要領により今春の入学式から義務付けられた日の丸掲揚・君が代斉唱の実施状況について、毎日新聞社が二十一日までに全国調査したところ、ほぼ六割にあたる二十九都府県で昨春入学式より実施率が上がっていることが分かった。特に大きなトラブルや混乱はなく、数値の上では義務化が「効果」を上げた格好。一方、教師、父母らの反発は各地でみられ、不信、対決の影を落とした学校現場は少なくない。義務化をめぐる論議は微妙に尾を引く所が多そうだ。
 
●処分
 入学式にあたり、日教組は非公式に「処分者は出さない」戦術を打ち出し、文部省やほとんどの都道府県教委とも「強制」の言葉を避けたことから、深刻な組織的対立は表面化しなかった。今回の調査でも、日の丸掲揚、君が代斉唱の拒否教員の「処分」について、ほとんどの都道府県教委は「今のところ考えていない」としている。
 しかし「幸い今回はなかったとしても、掲げられた日の丸を降ろした場合や、掲げようとするのを実力で阻止した場合などは対応を検討する」(神奈川県教委)と含みも。また、文部省の通知を受けて各都道府県教委が進めている詳細な実施状況調査について教組側は「処分を目的としたものではないか。思想調査のおそれもあり、人権侵害だ」(沖縄県教組)など反発、不安の声が上がっている。こうした微妙な問題から、「日の丸・君が代」の実施推定率も明らかにしない教委がある。
 結局、現場の校長や教師らが最も苦しむ結果となった。
 
●板ばさみ校長ら
 校長と教師らの話し合いが平行線のまま、式当日を迎えた東京都立向丘高では、校長が収納室から日の丸を取り出そうとしたところ、教師たちが「結論は出ていない」と抗議、結局掲揚はとりやめになった。都教委は「校長の責任で実施するよう」と見切り実施を促すともとれる指導をしており、学校現場の管理職は悩んだ。同校教頭は「式の直前に混乱を起こしては、来賓や入学生に迷惑になると考えた。苦しい心中を察してほしい」と語る。
 あくまで現場で合意するまで実施しないという学校も。名古屋市のある小学校では、三月末の職員会議で「国民の間でも賛否が分かれる君が代の強制には反対」の意見が出たため、今後一年間話し合いを進めることにし、今春の実施を見送った。校長は「合意が得られない以上、話し合いを続けるしかない」と言う。
 山梨県塩山市立小のある校長は「君が代の『君』についての解釈が分かれ、私自身も児童に説明できない。私が校長でいる間は実施しない」と自らの判断で君が代斉唱をしなかった。
 
●地域・生徒
 地域ぐるみで拒否した所も。山梨県西八代郡・市川大門町教委管内の全小中学校(六校)は、指導強化に反発して卒業生や父母らが「考える会」を発足させ、町長らに申し入れた結果、各校とも「混乱を避けたい」と日の丸、君が代とも見送った。
 京都市立安井小では、入学式を盛り上げようと二―六年生四百二十人が自分の似顔絵を式場の体育館二階の手すりに張り出したが、新任の校長が「私のイメージする式の雰囲気ではない」と撤去させた。教師、父母らは「日の丸を掲げるためで、子供の心を踏みにじった」と反発したが、校長は「厳粛な雰囲気が大事」と突っぱねた。
 
●トラブルと対策
 教師たちの間でも意見が割れた長野県佐久市内のある中学では、君が代はメロディーのみにしたが、三年生の半数は起立を拒否、退場する教師もいて一時騒然となった。
 また高知県香美郡のある中学では、校長が用務員に指示して式の間、校庭の隅に目立たぬよう日の丸を掲げさせたケースもあった。
 第二次大戦の戦禍や苦難の戦後史体験から、日の丸、君が代に対してひときわ複雑な県民感情が交錯する沖縄。日の丸掲揚率は一〇〇%といいながら三割は「正面掲揚」はしなかった。また君が代も大半は教委が用意した歌詞入りテープを流しただけ。一方、管理職側は君が代の時、着席できないよう式次第を工夫したり、教師や父母のイスを用意しなかった学校も。
 沖教組は「教育の“本土化”を狙ってか、県教委の姿勢は本土以上に強硬」と怒る。


 
 
 
 
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