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2001/04/28 毎日新聞朝刊
小泉首相、改憲の姿勢明確化 会見内容(要旨)
 
《冒頭の発言》
 首相に就任し、就任前には思ってもみない緊張感と重圧を感じる。心身の重圧のもと、初の組閣をしたが、(自民党)総裁選の公約通り(自民党の)派閥にとらわれず民間、若手、女性を起用する適材適所の人事に腐心した。日本が平和に発展していくため一番大事なことは、第二次世界大戦を反省することだ。日本が戦争に突入したのは国際社会から孤立したためであり、二度と戦争を起こさないために大事なのは国際協調だ。今日までの日本の繁栄を支えてきたのは日米の友好関係だ。中国、韓国、ロシアなど近隣諸国との善隣外交も極めて重要だが、日米友好関係を基礎に関係改善を図っていく。
 内政の面では、経済の再生が大課題だ。私は「構造改革なくして景気回復なし」と言っている。かつては成功していた機構が21世紀の社会では通用しないことが多々ある。構造改革(を進め)、新しい時代に対応できる体制を取っていきたい。民間でできることはできるだけ民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねる。役所がやらなければならない合理性があるかどうか徹底的に検証し、構造改革に取り組んでいく。重要政策を推進していく中で、最も大事なことは、国民が政治を信頼してくれることだ。わけても首相に対する信頼は大変重要だ。総裁選で自分が発言したことに全力を傾注する。
 
《参院選の目標議席》
 少なくとも自民、公明、保守3党で過半数以上はほしい。
 
《憲法改正》
 憲法9条の問題は、戦争の後遺症が強い。今の政治課題にのせるのは難しい。しかし、侵略の危険があった場合、訓練していない市民に戦えというのは政府として無責任だ。侵略に抵抗する決意を示すのが自衛隊だ。それを憲法違反という議論をさせておくのは自衛隊に失礼だ。
 集団的自衛権は「権利はあるが行使できない」というのが(政府の)今の解釈だ。これを変えるのは難しい。今後、「憲法で本来、行使ができる」というのであれば、改正した方が望ましい。一番国民に理解されやすいのが首相公選制だ。他の条文は触れない。首相公選制のためだけの改正は国民から理解されやすい。改正手続きもより鮮明になる。むしろ国会議員に反対があって、国民には賛成が多いと思う。これは政治の面での構造改革だ。総理を選ぶ権利を国会議員から国民に移管する政界の規制緩和だ。国会議員の推薦資格を要件に国民投票で首相を選ぶのは天皇制と矛盾しない。天皇制を維持しながら、首相公選制を導入したい。他の条文は一切いじらない。


 
 
 
 
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