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第8回 誘導・警告ブロック改善検討会 議事録
 
1. 日 時 平成14年9月13日(金)14:00〜16:00
 
2. 場 所 弘済会館4F「桜」
 
3. 出席者(敬称略)
 
【委員】
末田委員長(徳島大)、田内委員(岡山県立大)、加藤委員(日本ライトハウス)、笹川委員(日本盲人会連合)、田中委員(日本点字図書館)、山本委員(JR東日本)、清水委員(東武鉄道)、荒川委員(都交通局)、四ノ宮委員(鉄道総研)
【オブザーバー】
水信、山下、村田、竹村(以上 国土交通省)
【事務局】
鈴木、藤浪、水上、青木、佐藤(以上 鉄道総研)、岩佐、菅井(以上 交通エコモ)
 
4 提出資料
 
・資料8-0 第7回誘導・警告ブロック改善検討会議事録(案)
・資料8-1 島式ホームにおけるブロック敷設間隔の下限値を決定するための実験について(案)
・資料8-2 混合ブロックのホーム縁端からの距離の上限値(敷設範囲)についての検討(案)
・資料8-3 混合ブロックの施工時における留意点(案)
 
5. 議事概要
資料8-0 第7回誘導・警告ブロック改善検討会議事録(案)
 質疑は特になかった。
 
資料8-1 島式ホームにおけるブロック敷設間隔の下限値を決定するための実験について(案)
 資料8-1について討議が行われた。主な論点は(1)実験時の状況、(2)「結論」についてであった。
(1)実験時の状況などについて
・被験者の歩幅はどうであったか。本課題は1本線の検出に近いと思われる。1本線を越えると後退しなければ混合ブロックとわからないので、すり足のようになるのではないだろうか。
→(事務局)歩幅は計測してないが、ビデオで観察すると、「慎重派」ですり足になっている人がいた。一方、歩幅の大きな人もいた。そのような人では線を跨ぐことがあった。ただ、線を跨いでもブロックが「ある―ない―ある」で2番線のブロックを見つけるケースもある。P200で通過する場合は、点と線を一緒に踏み、また点と線を一緒に踏む、すなわち200mm位の歩幅のことがあった。P400やP500で通過してしまう例では、平板を踏んでいても2番線を検出できていない。そのような人の中には、線をブロック検出の手がかりにしていることがあり、線を跨ぐと2番線が検出できない。
・白杖と足底のどちらで、どのように検出していたか。
→(事務局)内省報告によると、2番線を「足だけ」で見つけた人と「杖だけ」で見つけた人の割合は半々である。「杖で線を見つけて足で確信した」、という人も多く、最終的に判断したのは足の方が多いと思われる。杖で見つけた場合の多くはスライドである。通過した例では、杖を浮かせ線に触れない場合があった。杖先にボールが突いているタイプでは、杖を滑らせ線に触れてわかることが多い。間隔が狭過ぎると、1番線の線にぶつかりはねて、2番線の線を越えて見つけられないこともあった。
(2)「結論」について
・結論の最初の部分で、ピッチを600mm以上確保し「新たに島式ホームを設ける場合は、できる限り2920mm以上確保するのが理想的である」、次に「ピッチ400mm程度までは実用上妥当である」、「やむを得ず2920mmのホーム幅を確保できない島式ホームでは、混合ブロックの内方線の中心から中心までの距離を400mm以上確保すべきである」という部分は、これで良いか。
→現状のホーム幅を考慮して、やむを得ない場合に400mmまで許容するということなので、ホーム幅について言及する際に「400mmが標準で、600mmが理想」とはならないことが必要だろう。
→首都圏に限らず狭いホームがあるが、鉄道事業者が「施工上の留意点」を読んだ時に、新規の駅では600mm以上というのは読み取れるが、既存の駅で、400mm以上では全て混合ブロックにすると読める。既存駅では400mmと600mmの間はどうするのか。400mm以上は全て付けるのなら、600mmという数字の意味がなくなるという気もする。
→新たな島式ホームを設ける時に、場所によっては2920mmを確保できない場合があり、また、法律上はこれ以下も認められる。新設時でもこれは、理想ということにせざるを得ないと思う。
→視覚障害者は何両目に乗ったかがわからない。また、関西では何両目かを示す点字はない。点字を読めない人も多い。混合ブロックが敷設されてない場合に、それがあるものと思い込んでいると、ホームの向こう側に落ちてしまう危険性もある。従って、混合ブロックがない場合は、音声による情報提供で補うという条件が必須であると思う。また、新設駅、大規模改良時に、ある程度のホーム幅を最低値とすることを議論する上では、ピッチ間隔の数字は本化した方が良いと思う。既存の駅で、暫定的にどうするというのはあっても良いが。
→(事務局)新設駅でホーム幅2920mmなどについて断言するには構造規則などとの整合性、また、音声案内については車両の側とも調整を行う必要がある。従って、方針を示すのは必要だと思うが、最終報告書で断言するのは難しい。
→報告書などで強調した場合に、それが必ずしも義務化されるということではない。
・既設駅で、ホームが凸レンズの場合に、短軸方向が400mmになる所まで敷設するということは良いか。
→狭い所でも400mmが確保できる場合は全面的に混合ブロックを敷設し、やむを得ない場合は、「島式ホームで2720mmを確保できない場所では既存の点状ブロックで対応」となるのではないか。
・新設の島式ホームの場合は600mmが理想的であるというのが、実験データに基づいた提案で、既存の駅で、2920mmを確保できない場合は、一本線は400mmまで付加するということで良いか。つまり、既存の駅では、二本立てではなく400まで敷設するということで良いか。
→(異議無し)
→それでは、「新たに島式ホームを設ける場合はできる限り2920mm以上のホーム幅を確保するのが理想である」という書き方、それから「やむを得ず2920mmのホーム幅を確保することができない島式ホームでは、向かい合って敷設される混合ブロックの内方線の中心から中心までの距離を400mm以上確保すべきである」という案は了解頂いたということになる。
・次に、それより狭い場合は、点状ブロックのままということで良いか。一本線があることを過信して、跨いで行くという危険性を考えて、それを防ぐには400mmで線状付加をやめた方が良いという実験データからの結論であるが。
→(異議無し)
・報告書には出来れば図を入れて欲しい。
→事務局内で相談の上、最終的には委員の方にお配りすることにする。
・「情報提供」とあるが、現在、車内放送で「ホームとの段差がある」などを案内している。限られた時間の中でこのレベル以上のものを行うという意味なのか。
→ある駅のホーム始終端部で幅が狭くなっていることを、例えばインターネットで知らせる、車内でアナウンスする、あるいは、団体を通して通知することなどと思われる。
→利用者の側からは、放送案内は有り難いが、車掌によって行わなかったり、声が小さかったりして必ずしも信用はできない。混合ブロックがなく点ブロックだけの所では、ドアを開けないで欲しい。
→(事務局)その場合は、ドアを開けないことも案内しなければならないという問題がある。何れにしても、案内を統一してきちんと行えば役に立つと思われ、車内放送などと書いておくことにより、案内に努めて欲しいという意で、これを書くこと自体はネガティブなことではないのでは。
・情報提供の部分にはアンダーラインを引くとことになるか。
→ホーム上の構造物など、何がどこにあるということも含め、そのようなデータを利用者に情報提供することは非常に重要なのではないだろうか。
→「より高い安全性を確保するためには、利用者がホームの形状を知ることができる仕組み(例えば車内放送による情報提供やインターネットによる情報提供など)」の部分にアンダーラインを引くということで良いか。
→本委員会では、ブロック以外のことについては、実験がなく、議論が詰められていないとすれば、敢えてアンダーラインを引く必要はないのでは。
→線が付加できない所はそれ以外の方策を考える必要があることをこれまでも議論してきた。その意味で、未敷設箇所の方策の一つとして情報提供ということはあっても良いと思う。
→これまでも、狭い所はブロックだけでは解決できないということであった。今回の検討会で、その方策の中味まで詰めることはできない。ただ「車内放送」が最初に来ているので、すぐにでも変えなくてはいけないともとれるが、情報提供で周知する必要があること自体は書いても良いのでは。
→「車内放送」というのは運用とのあたりが出てくる。
→それでは( )内はとった方が良いか。
→車内放送が困難であれば、ホーム上の放送もある。利用者の観点からは「音声による情報提供」というのは入れておいた方が良いと思う。
→( )内を削除して、「仕組み」とだけ書くと、ハード的なものとも取れる。ここで言えるとすればソフト的な対応による情報提供になると思う。音声というのを書くかどうか。
→「利用者がホームの形状を知ることができるように情報提供に努めることが望まれる」との表現か。
→「仕組み」の部分を「情報提供」に変えるということで良いか。
→(異議無し)
 
資料8-2 混合ブロックのホーム縁端からの距離の上限値(敷設範囲)についての検討(案)
 資料8-2ついて討議が行われた。主な論点は、実験結果とまとめについてである。
・この実験結果のまとめについてはこの通りで良いと思う。ブロックが80cmよりホーム内方側にあり過ぎると、ブロック上で待っている時に電車が停車したことや扉が開いたことが音で確認し難いと感じている。そのような自由意見はなかったか。もしあれば報告書にその旨を記載して、この観点からも80cm程度が望ましいと記述することはできないだろうか。
→(事務局)ブロックのホーム縁端からの距離がもつ意味について、最後に自由意見を伺ったところ、電車の動静判断や扉の開閉を確認することの重要性を述べる被験者は多かった。その他には、ホーム縁端にある程度近くないと、警告ブロックとしての機能を果たさないなど様々な意見が聞かれた。
→報告書の後ろに付録のようなかたちで、それらの意見を残しておいた方が今後のためにも良い。
・まとめで、「ホームの縁端からブロックまでの距離は80cmを原則とし、最大でも100cm程度とするのが望ましい」とした方が良いと思われる。
→事務局から、新幹線ホームのブロックの敷設位置について再度確認して欲しいとの依頼があったが、社内で調べると、その敷設位置は100cmであった。100cmの根拠は特にないが、標準的に敷設されている。従って「80cmを原則とする」とすると新幹線の場合、支障が出てくる。
→(事務局)ホーム縁端ブロックは、「80cm以上離れた位置に敷設する」というのを第1項とし、第2項として「最大でも100cm程度とする」という2項立てにした。80cmから100cmの重み付けに踏み込む場合、80cmより長い様々なところをベースとして短いところへ移動する実験を行う必要性がある。それも議論はされたが、実験時間などの制約と、日本の駅全体では厳しい環境が多いという実態があり、80cmをベースとする実験だけを実施した。
→当社では、仕上げ材の都合で100cmないし110cmで敷設しており、社内では統一されている。80ないし100として、社内で出来るだけ統一するのが望ましいとすれば良いのではないか。
→他路線への乗り換えなどを考慮して考える問題だから、自社内だけの問題ではない。







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