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第4章 ホーム縁端部へのブロックの連続的な敷設が困難な箇所の敷設方法の一元化
 
4.1 背景と目的
 駅ホーム上には、駅舎などの構造上の問題によりホーム縁端に敷設された点状ブロックとやむを得ず干渉するおそれのある構造物(たとえば、柱、階段の壁、駅事務室など)が存在する。このような場所におけるブロック敷設方法は、「公共交通機関旅客設備の移動円滑化整備ガイドライン」1)では明示されていない。そのため、
(1)点状ブロックをカタカナのコの字状に直角に迂回させて敷設する(図4.1の左:コの字迂回敷設)
(2)構造物がある場所だけ点状ブロックを途切れさせて敷設する(図4.1の中央:断列敷設)
(3)ブロックを連続的に一直線に敷設し、ブロックに構造物が食い込んでいる状態にする(図4.1の右:連続敷設)
 など、ホーム上の構造物の配置状況などに応じて各鉄道事業者が様々な対応をしているのが現状である。しかし、ブロックの敷設ルールが統一されていない状況では、ブロックを利用している視覚障害者が、ホーム縁端に対する自分の位置や方向を勘違いすることなどによる転落事故の可能性を排除することができない。視覚障害者がホーム上をよりいっそう安全に移動するためには、これらの箇所における敷設方法の一元化も重要な課題である。
 そこで、駅ホーム上の安全性の向上を図るため、当該箇所における点状ブロックの最適な敷設方法を提案することを目的とした検討を行った。
 
 
 
図4.1 点状ブロックと柱が干渉する場合の敷設例
左:コの字迂回敷設、中央:断列敷設、右:連続敷設
 
4.2 検討方法
 前述した代表的な3種類の敷設方法について、
(1)点状ブロックに要求される機能
(2)干渉する構造物の大きさや構造物が短い間隔で連続する場合など、ブロックが敷設される環境に起因すると考えられる問題
(3)構造物との距離などの寸法要素
の観点で、その特性を整理して検討した。
 検討の前提条件として、ホーム縁端の点状ブロックを「ホーム縁端から一定距離の位置(ホーム縁端に近いこと)を示す警告表示」と定義した。なお、実際の利用場面では、警告目的で敷設された点状ブロックを、ホームの長軸方向に移動する際の手がかりとして使用していることを無視しないこととした。また、検討段階では内外方を示すために点状ブロックのホーム内側に線状突起(内方線)を設けたブロック(混合ブロック)を採用することは確定されていなかったので、基本的に、混合ブロックではなく、点状ブロックが敷設されている状況を対象とした。
 検討は以下の方法で進めることとした。
(1)敷設ルールを決定する際は、ホーム縁端のブロックに関する考え方を整理し、決定されたルールの元で、実際にどのように使用されるか、その上での問題点は何かを整理する
(2)今後、ホームの内外を知らせるための混合ブロックが作られるのであれば、その諸元が決定した後に、その混合ブロックが敷設された状態で視覚障害者の協力を得て最終的な確認実験を実施する
 なお、実験の内容と結果は第5章に記す。
 
4.3 検討
 コの字迂回敷設、断列敷設、連続敷設について、上記の基本的な考え方に基づき、実際に敷設した場合に考えられる問題点を整理した。前述の特性整理の3つの観点の(1)が表4.1に、(2)が表4.2表4.3表4.4に、(3)が表4.5に対応している。







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